ガス代低下で焼却量減少
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)では、主にガス代(ネットワーク手数料)の低下により、焼却(バーン)されるETHが大幅に減少している。
例えば直近では5日に610 ETH、6日に652 ETHが焼却された。今年の4月までは、1日あたりに焼却されるETHの量は平均で2,500~3,000ETHを超えていたところだ。
ガス代は現在、約8~10Gwei(ギガウェイ)で推移しており、これは今年に入ってから最低水準となっている。
ガス代低下の背景としては、レイヤー2(L2)スケーリングソリューションへアクティビティが移行していることや、3月に完了した大型アップグレード「Dencun」が挙げられる。
「Dencun」では、L2手数料を大幅に引き下げる「プロト・ダンクシャーディング(Proto-Danksharding)」が実装された。
BLOB(ブロブ)と呼ばれるデータパケットをブロックに添付するもので、これは一時的にしか保存されないため、ブロックチェーン永続ストレージを圧迫せずに大規模データ転送を可能にする。
このブロブをより多くのL2が導入するにつれ、平均的なガス代も下がってきている形だ。
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デフレーション低下へ
焼却量が減少することは、イーサリアムのデフレ抑制にも結びつく。
イーサリアムでは、2021年8月に「ロンドン」アップグレードでEIP-1559が実装されたことで手数料モデルが変更された。トランザクションにかかる基本料金の一部が焼却されるようになったこともその一環である。
ネットワークの混雑時には基本料金が高くなるため、それだけ焼却によって多くのETHが削除される。つまり、供給量が減りデフレーション傾向に繋がる形だ。
一方で、現在は手数料低下により、その一部として焼却される量も減ることで、短期的にはよりインフレ傾向への移行に関連するとみられる。
Ultrasoundmoneyによると、現在イーサリアムの供給成長率は約0.5%であり、穏やかなインフレモードに移行したところだ。一方で、ネットワーク上のアクティビティが活発化した場合には、取引手数料が増加して焼却量がふたたび上昇する可能性もある。
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