NFTなどデジタル財産権にも焦点
香港のWeb3(分散型ウェブ)大手企業アニモカブランズは、メタバース企業に投資する最大約2,750億円(20億ドル)のファンドを計画している。NikkeiAsiaが30日に報じた。
アニモカのYat Siu代表取締役会長は、このファンドは「Animoca Capital(アニモカキャピタル)」という名前で、2023年に最初の投資を行う予定だと述べている。
ファンドの規模は約1,400億円(10億ドル)から約2,750億円(20億ドル)を目標としているところで、資金調達はまだ行っていないと説明。投資対象については、地域的な制限は設けず、グローバルに出資していく見込みだ。NFT(非代替性トークン)のようなデジタル財産権にも焦点を当てていく。
Siu氏は、アニモカへの投資家の中には、これまでアニモカが出資する企業へのエクスポージャー(価格変動の影響を受けること)を求める者もいたが、現在は、より直接的にWeb3企業への投資を求める声が高まっているとした。
特に、初期段階よりも、企業がある程度成長してからの、中・後期段階を対象とした出資が安全性の面から望まれている。アニモカの新ファンドも、こうしたレイトステージへの投資に重点を置いていく姿勢だ。
Siu氏は、暗号資産(仮想通貨)業界の停滞についてもコメントしている。投機とは別に、ゲームを中心として毎日多くの人々が仮想通貨に関わる活動をしており、ユースケースが維持されていることを指摘。仮想通貨業界は回復するだろうと意見した。
Web3とは
現状の中央集権体制のウェブをWeb2と定義し、ブロックチェーン等を用いて非中央集権型のネットワークを実現する試みを指す。代表的な特徴は、仮想通貨ウォレットを利用したdAppsへのアクセスなど、ブロックチェーンをはじめとする分散型ネットワークのユースケースがある。
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Web3企業に積極投資
アニモカブランズは、メタバース系分散型ブロックチェーンゲーム「ザ・サンドボックス」を傘下に持つ企業として知られている。他にゲームでは、Blowfish Studios、Grease Monkey Games、Eden Gamesなども所有している。
Web3への投資が最も活発な企業の一つで、The Block Researchによると、2022年上半期に60件以上の投資を行い、今年9月の時点でそのポートフォリオは合計340件以上に達した。
ブロックチェーンゲームから、メタバース、DeFi(分散型金融)、デジタルウォレットまで投資先の分野は多岐にわたる。
アニモカは、仮想通貨市場が低迷する中でも活発に、自社への資金調達も行っている。
9月には、シンガポールの政府系ファンドTemasekや、Boyu Capital、GGV Capitalが主導する資金調達ラウンドで約151億円(1.1億ドル)を調達。資金を戦略的買収や投資、人気知的財産のライセンス確保、オンラインユーザーのデジタル財産権促進への取り組みなどに充てていくとしていた。
7月にも、約103億円(7,500万ドル)の資金調達を完了したと報告している。
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メタバース業界団体にも参画
アニモカは、「Web3のためのオープンメタバース・アライアンス(OMA3)」の立ち上げにも携わっている。OMA3は、メタバースの業界標準を定め、相互運用性を実現しようとするDAO(自律分散型組織)だ。ブロックチェーンに基づくメタバースを提供する企業すべてに、参加を呼びかけている。
OMA3は、特にユーザーが自分の情報を管理する力を強化することを提唱している。
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自律分散型組織(DAO)とは
自律的に機能する分散型組織を指す。「Decentralized Autonomous Organization」の略。一般的な企業などとは違い、経営者のような中央管理者が存在しない。参加メンバーやアルゴリズムによって運営管理が行われる。
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