重要情報の提供を要請へ
破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXは8日、米デラウェア州の破産裁判所から、サム・バンクマン=フリード前CEOらの内部関係者を証人として召喚できる認可を得た。
召喚の目的は、FTXや顧客の資産をどのように使用したかなどについて情報や文書を要求すること。対象者は姉妹企業アラメダリサーチのキャロライン・エリソン元CEO、FTXの共同設立者ゲーリー・ワン氏、バンクマン=フリード前CEOの両親らが含まれる。
FTXは破綻に関する利害関係者への価値を最大化するように取り組んでおり、そのためには内部関係者の召喚が非常に重要であると以前から主張してきた。内部関係者の中には協力的な人とそうでない人がいるという。
同社は内部関係者を召喚し、FTXの資産や取引、口座、事業運営、個人資産、コミュニケーションの記録などについて、情報や文書を提供するよう求めていく。
また今回FTXは、内部関係者だけでなく、関係のある第三者を召喚する認可も得た。
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内部関係者の状況
FTXは昨年11月に米連邦破産法11条(チャプターイレブン)にもとづいた破産を申請。その後は、米エネルギー企業エンロンなどの破産を監督した経験を持つジョン・J・レイIII新CEOが中心となり、FTXの財務状況の確認を行うなど、破産処理を進めている。
チャプターイレブンとは
日本の民事再生法に似た再建型の倒産法制度。経営を継続しながら負債の削減などを実施し、企業再建を行う。申請後に債権取り立てが停止され、債務者は負債の整理に取り組み、原則120日以内に再建プランを策定する。
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レイ氏はCEOに就任後、これまで40年以上事業の再構築に携わってきたが、FTXのような状態は見たことがないと説明。信頼できる財務情報がなく、システムの完全性や規制の監督が欠如していると指摘した。そして、企業の管理は、経験が不足した、問題のある可能性がある少数の人々によって行われていたと説明し、前例がない破綻だと述べている。
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FTXの内部関係者については、サム前CEOが逮捕後に保釈され、両親の家で厳しい監視下に置かれた。今年に入りサム前CEOは、詐欺など8つの刑事告発について無罪を主張している。
一方で、エリソン氏やワン氏は、FTXの顧客に対する電信詐欺の共謀などの刑事責任を認めた。両名は検察に協力しているという。