サム前CEO、すべての罪状で有罪判決
破綻した米大手暗号資産(仮想通貨)取引所FTXのサム・バンクマン=フリード前CEOは2日、ニューヨークの地方裁判所において7つの罪状すべてについて有罪判決を受けた。インナーシティ・プレスなどが伝えた。
FTXの貸し手や顧客に対する電信詐欺、および商品詐欺、証券詐欺、マネーロンダリング、電信詐欺の共謀などで有罪を言い渡された格好だ。サム氏には最長115年の懲役刑が言い渡される可能性がある。
ルイス・カプラン判事は3月28日に量刑(刑罰の程度を決めること)を予定している。サム氏は1月の罪状認否の際より、全ての容疑(当初は8つ)に対して無罪を主張してきた。
サム氏の弁護士を務めるマーク・コーエン氏は次のような声明を出した。
われわれは陪審の決定を尊重する。しかし、われわれは今回の結果に非常に失望している。バンクマン・フリード氏は無実を主張しており、今後も精力的に告訴を続けるつもりだ。
サム氏は今回有罪とされた7つの罪の他、さらに5つの容疑にもかけられているところだ。これらの容疑は、デリバティブの売買に関連した顧客に対する詐欺、FTXの投資家に対する証券詐欺、贈収賄の共同謀議、無許可での送金業運営、銀行詐欺の共同謀議となる。
これらの容疑に関しては、今回とは別に2024年3月に裁判が行われる予定となっている。
FTXとは
バンクマン=フリード被告が率いていた仮想通貨取引所。2019年の創設後、急速に頭角を表し、業界最大手バイナンスに次ぐ大手取引所へと成長していた。その後に経営破綻し、昨年11月に破産申請を行なっている。
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元側近らの証言
破綻したFTXについては、その破産プロセスを進めている新生FTX経営陣も、極度に杜撰な経営体制であったと指摘する報告を行っていたところだ。
今回の裁判で陪審員らは、サム氏がFTXの顧客から約1,200億円(80億ドル)以上を搾取し、その資金を姉妹会社アラメダリサーチに不正流用した計画に関わっていたと判断した。流用資金をバハマの不動産、新興企業への投資、政治献金に費やしていたとしている。
こうした判断は、陪審員が法廷で様々な証言を聞いてからなされたものだ。
サム氏のFTXにおける元側近らは、顧客の資金を不正流用するにあたってサム氏が指示していたと申し立てていた。
また、ノートルダム大学の会計教授も専門家として検察側で証言。数十億ドルの顧客資金がバハマの不動産(サム氏が住んでいた約45億円のペントハウスを含む)、仮想通貨スタートアップ、政治献金などに流用され、再投資されたという分析を披露していた。
また、アラメダリサーチのキャロライン・エリソン前CEOは、サム氏が、中国の仮想通貨取引所2社に保管していた約1,500億円(10億ドル)の凍結を解除するために、中国政府当局者に賄賂を支払うよう指示したとも主張している。
この件については、外国贈収賄として来年実施される別の裁判で公判が行われる予定だ。
サム氏の両親も訴訟に直面
サム氏の両親も今回の裁判のほとんどの日程に出席し進行を見守っていたが、彼らも訴訟に直面している。
FTXの債務者らは9月、サム氏の両親がビジネスと法務の両方に関してFTXグループに助言を行うなど事業に深く関与していたと主張。FTX資産を不正に流用していたとして訴訟を起こした。
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