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「Web3の未来をリードするのはアジアの国々」Parity Asia製品工学トップが見解示す

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政府の積極的姿勢

ブロックチェーンインフラ企業Parity Technologies Asiaの製品工学部門を率いるElaine Zhu氏は17日、アジア太平洋地域(APAC)の国々がWeb3の未来を形作る上で主導権を握るとの考えを明らかにした。

仮想通貨メディアCryptoSlateへの寄稿記事でZhu氏は、政府の規制整備への積極的取り組み、高度なスキルを持つ人材、業界をリードするプロジェクトが注目する地域であることを、その理由に挙げている。

Zhu氏は、第一に政府の進歩的な規制整備の姿勢が、Web3の発展にとって重要な要素の一つであると指摘。シンガポール、香港、そして日本の取り組みを紹介した。

Web3とは

現状の中央集権体制のウェブをWeb2.0と定義し、ブロックチェーン等を用いて非中央集権型のネットワークを実現する試みを指す。代表的な特徴は、仮想通貨ウォレットを利用したdAppsへのアクセスなど、ブロックチェーンをはじめとする分散型ネットワークのユースケースがある。

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日本については、昨年7月に東京で開催されたWebXカンファレンス「WebX2023」において、岸田文雄首相が寄せたビデオメッセージで、Web3が「新たな資本主義の形態の一部」であるとの見解を示し、「新たな社会変革につながる可能性を秘めている」と高く評価したことを取り上げた。

関連:日本最大級のweb3国際カンファレンス「WebX」レポート

日本については、英金融メディアFinanceFeedsも先月、規制に準拠した世界的な暗号資産(仮想通貨)決済のリーダーとなる可能性について言及。その背景には、Web3産業を支援する日本政府の姿勢があると述べた。

関連:日本が仮想通貨決済の世界的リーダーになる可能性、英金融メディアが評価

今年、政府がこれまでに主導した注目される動きは以下の通り。

  • 1月25日:自民党政調審議会でDAO(自律分散型組織)のルール作りに関する提言が了承、金融庁をはじめとする関係省庁への申し入れを行う。
  • 2月16日:投資事業有限責任組合(LPS)による仮想通貨の取得・保有が可能に。VCによる仮想通貨投資を容認する閣議決定。Web3企業の資金調達の選択肢が広がる。

関連:日本VCのWeb3企業への投資促進へ LPSの仮想通貨取得に関する法案が閣議決定

シンガポールの動き

Zhu氏はシンガポールで注目される動きとして、昨年8月にシンガポール金融管理局(MAS:中央銀行)がステーブルコインの規制の枠組みを発表したことを取り上げた。シンガポールドルあるいはG10通貨の価値と紐づけられた、単一通貨ステーブルコインに適用される規制となるが、価値の安定性、資本、額面での償還や開示要件などが定められている。

Web3についてMASは昨年8月、金融分野の技術とイノベーションに最大約160億円(1億5,000万シンガポールドル)を拠出すると発表。「イノベーション加速分野」としてWeb3に資金が提供されるという。

またMASは昨年11月、今年半ばから段階的に発効する仮想通貨規制案についての最終的な回答書を発表。仮想通貨などのデジタル決済トークンのサービス提供者に対し、投資家保護のための運営上のガイダンスを発行するとしている。

香港の動き

Zhu氏は香港が仮想通貨ハブとしての地位を固めつつあると主張。仮想通貨取引所に対する規制環境が整備され、昨年6月からライセンス制度を含む新たな規制の施行が開始されている状況に言及した。

また昨年2月、香港金融管理局(HKMA)が国連および国際決済銀行の協力のもと、8億香港ドル(約136億円)のトークン化されたグリーンボンド(環境債)の発行に成功した事例を紹介した。

直近の動きとしてはHKMAが今月7日、香港のトークン化市場の発展を支援するため、新しい中央銀行デジタル通貨(CBDC)プロジェクト「Project Ensemble(プロジェクト・アンサンブル)」を開始したと発表した。同プロジェクトは、ホールセール型CBDC(wCBDC)を通じて、トークン化されたマネーの円滑な銀行間決済を促進する金融市場インフラの探索を目指すという。

関連:香港金融管理局、現実資産(RWA)トークン化のCBDCプロジェクト開始

デジタルネイティブの活躍に期待

Zhu氏は、アジア太平洋地域の「最も価値ある建設的な要素」として、高度なスキルと意欲を持つ「デジタルネイティブ」(物心ついた頃からインターネットやパソコンのある環境で育った世代)に期待を寄せている。同氏は、デジタルネイティブの活動は、APACで最も顕著だと主張する。

APACでは政府と業界のリーダーらが協力することで、新たなテクノロジーの導入に関するさまざまな困難や課題に対処し、成功を収めてきたとZhu氏は指摘し、次のようにまとめた。

優れた技術力、革新的な規制、急成長するデジタルネイティブ経済の集中により、APAC諸国はWeb3を定義する革新的な原則を途切れることなく受け入れている。そして、この地域はWeb3技術の世界的進歩の触媒としてだけでなく、リーダーとしての役割を果たす態勢を整えている。

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