
議員の大半がステーブルコイン法案支持
米国下院の金融サービス委員会は11日、決済ステーブルコインの枠組みを作るための法案を検討する公聴会を開催した。議員の間では、超党派でステーブルコイン法案を成立させようという気運が高まっている。
同委員会のフレンチ・ヒル委員長(共和党)は2月、ブライアン・ステイル議員(共和党)と共に、ステーブルコインを規制する法案(通称:STABLE法案)の草案を発表していたところだ。
また、上院でもビル・ハガティ議員(共和党)が、ステーブルコインを規制する法案「米国ステーブルコインの国家的イノベーションの指導と確立」(通称:GENIUS法案)を提出している。
米ブロックチェーン協会のロン・ハモンド氏は、11日の公聴会で、民主党議員の大半と共和党議員全員がSTABLE法案を支持していることが示されたと指摘し、次のように予測した。
この超党派の支持は、上院銀行委員会が13日に行うGENIUS法案の審議にも反映されるだろう。そして今後2~3か月以内に、両院のステーブルコイン法案を統合した「STABLE GENIUS法案」の投票を行う準備が整うとみられる。
トランプ政権の暗号資産(仮想通貨)に関する作業部会も1月、ステーブルコインを含むデジタル資産に関する規制枠組みを半年内に策定することを掲げていた。
特に、様々な論者が、ドル建てステーブルコインは世界の通貨における米ドルの優位性をデジタルにも拡大するものだと認識している。
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ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
BNYメロンやPaxosも要望訴える
11日の公聴会で、ビル・ヒュージンガ議員はステーブルコインには決済システムの簡素化など「計り知れない可能性」があるとして、次のように続けた。
議会が行動を起こす時が来ている。立法者として、米ドルが引き続き主要な準備通貨であることを保証するために、必要な規制の明確化を行うことは私たちの責任だ。ステーブルコインにより、米ドルの優位性を保つことができると考える。
公聴会に出席した、BNYメロン銀行のキャロライン・バトラー氏は、現状について、ステーブルコインを管理する統一された連邦枠組みがないと指摘した。
そのため、ステーブルコインの関連企業は、様々な州法、連邦法、ライセンス、認可制度に対処している状況だとしている。ステーブルコインを発行できる者や、ステーブルコイン準備金の構成資産に関する規則などを策定する米国全体の統一枠組みを歓迎する格好だ。
また、ステーブルコイン発行企業Paxosのチャールズ・カスカリラ共同創設者兼CEOは、ステーブルコイン発行と従来の銀行業務との明確な区別を唱えた。
ステーブルコイン発行企業は、銀行と異なり、預金を受け付けたり融資を行ったりはしないと指摘。通貨監督庁(OCC)をステーブルコイン発行者の規制機関に指定することは正しい選択だと意見している。
STABLE法案は、ステーブルコイン発行者の承認・監督権限を、通貨監督庁(OCC)に与える内容を盛り込んでいる。カスカリラ氏は、この点を支持する形だ。
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OCCとは
米財務省に所属する独立機関の一つ。米国で連邦法によりライセンスを受けて営業する国法銀行などを監督している。