
動画配信サービスには、生の動画ファイルを様々な帯域やデバイスに合わせて再フォーマットする「トランスコーディング」という工程が必須ですが、この処理には膨大なインフラコストがかかります。
そのため、新興の動画スタートアップは初期ユーザー獲得に成功しても、高額なストリーミング費用のせいで資金が逼迫し、最終的に広告やデータ販売に頼るか、サービスを縮小せざるを得ない状況がしばしば見受けられます。
ライブピア(LPT)はこれらサービスプロバイダーが負担する配信コストの問題を解決するために生まれました。ブロックチェーンのスマートコントラクトと分散型ネットワークを活用することで、動画のエンコードや配信を大幅に効率化し、アプリケーションプロバイダーが抱える高コスト問題も改善。結果として、クリエイターや動画配信事業者がより高い収益を得られる環境を提供しています。
さらに、2025年にはビットバンク上場も予定され、国内投資家のアクセスが容易になっています。この記事では、ライブピアの基本情報、技術的優位性、そして将来性について詳しく解説します。
目次
ライブピアの概要と基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
通貨コード | LPT |
公開日 | 2018年5月 |
トークン流通基盤 | イーサリアム、Arbitrum(ERC-20) |
発行上限/流通量 | 2025年3月時点の流通量は約3800万枚(時価総額ベース推定) |
時価総額 | 350億円:市場170位 |
過去最高値 | 2021年11月:約68.50ドル(約10,300円換算) |
LPTトークンの役割
LPTは、ガバナンス投票、ステーキング、及びネットワーク参加者への報酬に活用されます。トークン保有者は、オーケストレーターへの委任(デリゲーターとして)を通じ、ハードウェアの運用負担なしに収益を得ることが可能です。2022年初頭には、効率向上を目指してイーサリアムのレイヤー2「Arbitrum」へ移行し、手数料低減とネットワーク拡張性が実現されています。
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運営・開発体制
ライブピアは、ソフトウェアエンジニアで起業家のDoug PetkanicsとEric Tangによって2017年に設立されたLivepeer, Inc.が開発・運営を担っています。Crunchbaseによれば、複数のラウンドで延べ約5000万ドルの資金調達に成功しており、主要投資家としてCoinbase Ventures、Tiger Globall、CoinFundなどが参加。さらに、2021年にはストリーミングメディアサーバー技術企業MistServerを買収し、コンテンツ配信技術の強化を図っています。
主な実績と技術的特徴
ライブピアは、ブロックチェーン技術を活用した分散型動画配信プラットフォームとして、効率的なトランスコーディング処理とデータ配信を実現しています。従来型クラウドサービスと比較して、ライブピアはライブストリーミングトランスコーディングコストを最大80%削減できるとされ、実際に2024年第4四半期では約3500万分の動画処理が行われ、前年比15%増を記録。トランスコーディング料金は暗号資産(ETHやステーブルコイン)で支払われ、同四半期の総額は約7万3000ドル(前四半期比18%増)に上ると報告されています。

出典:Messari
ライブピアのネットワーク構造
この実績は、ライブピアネットワーク内で、アプリケーションから送信された動画がゲートウェイノードで受け取られ、オーケストレーターがGPUを用いてトランスコーディングや必要なAI処理を行う仕組みをベースにしています。

出典:Livepeer
また、ゲートウェイとオーケストレーター間では、チケットベースのマイクロペイメントシステムが採用され、実際の処理に対して正確に報酬が支払われています。さらに、デリゲーターがLPTのステーキングを通じてネットワークの安全性と運用インセンティブを支えることで、全体としての低コストかつ高効率な動画配信基盤が構築されています。
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ライブピアの将来性
オンライン動画配信はインターネット帯域の約80%を占めるほどに成長しています。そんな中、中央集権型サービスに変わる新たな選択肢として、分散型技術へのニーズが高まっています。
従来、NetflixやAmazon Prime Videoといったサービスでは、厳格なポリシーや割高な仲介手数料が収益を圧迫していましたが、ライブピアはこれらの課題に対応する低コスト・高効率な配信基盤を実現。また、近年注目される生成AI機能の導入により、リアルタイムの動画解析や編集にも対応し、新たな表現方法の発展も期待されています。
ライブピアを中心とするエコシステムも拡大し、ライブイベントやスポーツ中継など、リアルタイム性が求められるシーンでのユースケースも拡大中です。
リアルタイム動画生成AI 「Livepeer AI」
ライブピアは、AI技術を活用したリアルタイム動画解析・編集機能「Livepeer AI」を提供しており、映像の各シーンを瞬時に認識し、最適な画質調整やエフェクト適用を自動で行うことで、従来の手作業に頼らず迅速で正確な動画処理を実現します。

出典:Livepeer
この機能は、特にライブイベント、スポーツ中継、エンターテイメント番組など、リアルタイム性が求められるシーンで効果を発揮します。
エコシステムの拡大
- Livepeer Studio:
動画配信アプリケーションやサービスを簡単に構築できるツールセット。 - Beem:
映画制作者向けのウェブ3.0対応のインタラクティブな動画配信プラットフォーム。ライブピアを利用し、プレミア上映をストリーミング配信しながらファンに直接チケット販売ができる仕組みを提供。 - Fishtank:
ライブピアの技術を統合し、2024年第3四半期には100万人の視聴者と300万ドルの収益を達成するなど、分散型動画配信による実績を上げています。
ライブピアの期待とリスク
ライブピアは、国際的な金融規制やデータ保護法(例:米国のSECガイドライン、FinCENのAML/KYC基準、欧州連合のGDPR)に基づいた運営を行い、透明性と信頼性の確保に努めています。
しかし、 国によっては暗号資産関連活動が制限されるなど、規制リスクが存在するほか、データプライバシーやコンテンツモデレーションに関する課題も議論されています。
また、オーケストレーターとしてネットワークに参加するには高度な技術と十分な計算資源が必要であり、これがハードルとなる可能性も指摘されています。さらに、分散型の特性上、中央集権型サービスのような検閲が困難であるため、表現の自由が促進される一方で、誤情報の拡散リスクや、メディアの断片化、多様化による混乱も懸念されます。
総じて、ライブピアは規制に沿った運営を強化することで信頼性を高めながら、低コスト・高効率な動画配信基盤という期待されるメリットを提供しています。一方で、技術的参入障壁や国際的な規制の不確実性、そして分散型ゆえのコンテンツ管理の難しさといったリスクにも向き合わなければならず、今後の市場環境や政策動向にも注意が必要です。
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