ブロックチェーン間のネイティブトークンをシームレスに実現
- ATPは鍵のオーナーシップ交換により、異なるブロックチェーン間でネイティブトークンを直接交換可能にする
- Bitcoin, Ethereum, Solana, Sui, Moneroなど、ECDSAとEDDSAに対応するあらゆるブロックチェーン間で互換性を持つ
- TSSとCanisterを活用した高度なセキュリティと効率性
- DEX、レンディング、OTC、プライバシー保護型アプリケーションなど多様なユースケースに対応
Account Transfer Protocol (ATP)とは
Account Transfer Protocol(ATP)は、従来のブリッジやラップトークンなど手法とは異なり、セキュアな環境で鍵のオーナーシップを交換するというアプローチを採用しています。このプロトコルにより、あらゆるステートマシン間でネイティブトークンの交換が可能となり、クロスチェーンの相互運用性における新たなアプローチを確立します。
ATPは現在、Internet Computer上のCanisterを活用して開発されており、高度なセキュリティと効率性を兼ね備えています。なお、ATPを活用すると鍵生成にECDSAとEDDSAに対応するすべてのブロックチェーン上のトークンを交換することができます。
詳細はGithubからリンク
Account Transfer Protocol v1 – Github
Why do we need ATP?
クロスチェーン間のアセット交換をアトミック性を持って実行するために、現在主流なものとしてスマートコントラクトベースのアプローチとアトミックスワップを活用したアプローチがあります。アトミックスワップは、アトミック性を持って当事者間のアセットを交換するのに便利な方法ですが、取引のカウンターパーティを見つける難易度が高く、一部のケースを除いて一般的なユースケースにはなっていません。
スマートコントラクトベースのアプローチにおいては、AMMの仕組みがスマートコントラクトベースをアプローチに変化をもたらし、カウンターパーティを見つけ出すことが容易にできるようになりました。しかし、開発者はLayer2や新しいEVM互換のチェーンに対応するために、すべてのブロックチェーン上でスマートコントラクトをデプロイする必要があります。
すでにEVM互換のブロックチェーンだけでも50を超えるため、対応チェーンを増やそうとしたときのメンテナンスコストの高さと複雑性から、異なるVM間では特に利便性が低く、specificなアプローチとなっています。
Account Transfer Protocolは、新しいステートマシンを作るのではなく「アカウントのオーナーの所有権」を制御することにより、あらゆるブロックチェーン間のアセットの交換をアトミック性を保ちながらカウンターパーティの発見コストが低い仕組みを提供します。
Features

TSS(しきい値署名)を活用したTransferable Account生成
複数の当事者間で暗号鍵を分散管理するTSS技術により、単一の障害点を排除しながら、安全に移転可能なアカウントを生成します。Transferable Accountとは、ATPにおける中心となる概念です。TSSを活用した、移転可能なアカウントを指します。
ATPの利用者はTransferable Accountにアセットをロックし、Transferable Accountの所有権をカウンターパーティに移転することでアセットの移転を行います。
Canisterを活用したセキュアなAccount所有者の移転
Internet ComputerのCanister技術を利用し、Transferable Accountの所有権の移転プロセスを安全かつ透明に実行します。これにより、従来のクロスチェーン技術で課題となっていたDappsのメンテナンスコストを軽減します。
サポートしているブロックチェーン
- アカウント生成にECDSAを活用しているすべてのブロックチェーン(下記は一例)
- Bitcoin
- Ethereum(EVM互換のサイドチェーン、Layer2すべて含む)
- Optimism
- Arbitrum
- Base
- BNB Chain
- Polygon
- Avalanche
- Cardano
- Polkadot
- Litecoin
- Tron
- アカウント生成にEDDSAを活用しているすべてのブロックチェーン(下記は一例)
- Solana
- Near Protocol
- Flow
- Algorand
- Tezos
- Stellar
- Cosmos (IBC対応チェーンをすべて含む)
- Hedera Hashgraph
- Aptos
- Sui
技術的仕様
ATPにおけるAccountは、Transferable Accountと呼ばれ、所有権を移転することを前提としたアカウントが生成され、アカウントのオーナーはそのアカウントにアセットをデポジットし、所有権をカウンターパーティへと移転します。ATPにおける基本的なデータ構造は下記のとおりです。
// ATP アカウントデータモデル
#[derive(CandidType, Clone, Serialize, Deserialize)]
pub struct Account {
id: String, // アカウント識別子
owner: Principal, // オーナーのPrincipal ID
public_key_sec1: Vec<u8>, // SEC1形式の公開鍵
public_key_x: Vec<u8>, // 公開鍵のX座標
public_key_y: Vec<u8>, // 公開鍵のY座標
algorithm: SignatureAlgorithm, // 署名アルゴリズム(ECDSA/EDDSA)
curve: Curve, // 使用する楕円曲線(secp256k1/ed25519など)
account_state: AccountState, // アカウント状態(Locked/Unlocked/Active)
approved_address: Option<Principal>, // 承認されたアドレス(オプショナル)
}
// アカウント状態の列挙型
#[derive(CandidType, Clone, Serialize, Deserialize, PartialEq)]
pub enum AccountState {
#[serde(rename = "locked")]
Locked,
#[serde(rename = "unlocked")]
Unlocked,
#[serde(rename = "active")]
Active,
}
Use case
ATPはデジタル上のあらゆる取引する権利を個人の主権へと帰し、様々なユースケースを提示します。
- クロスチェーンDEX(分散型取引所)
異なるブロックチェーン上のネイティブトークンを直接交換可能なDEXの構築が可能になります。これにより、ユーザーはラップトークンを使用することなく、より直接的で効率的な取引体験を享受できます。 - クロスチェーンレンディング
複数のブロックチェーン間での貸借サービスが実現し、より柔軟な担保トークンの設定と貸出ができます。 - OTC(相対取引)
異なるチェーン間での大口取引をより安全かつ効率的に実行できるようになります。 - プライバシー保護型分散アプリケーション
ユーザーのプライバシーを保護しながら、異なるブロックチェーン間でのトランザクションを可能にします。 - プライバシー保護型のファイル売買プラットフォーム
デジタル上のコンテンツとデジタル上のアセットをセキュアに交換することが可能になります。
問い合わせ先
詳細情報や技術的な質問については、以下までお問い合わせください:
- ウェブサイト:www.mycel.land
- X / Twitter:@mycelmycel
- Discord:Mycel Discord
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