- 共和・民主の超党派議員が仮想通貨窃盗対策法案を提出
- 米国の仮想通貨被害は2024年に約1.8兆円、前年比22%増
当局が結集するタスクフォース目指す
米国のランス・グッデン下院議員(共和党)とジョシュ・ゴットハイマー下院議員(民主党)は11日、「連邦仮想通貨窃盗取締・協調法案」を提出した。暗号資産(仮想通貨)の盗難防止や、捜査、訴追における米国の能力を強化するための法案である。
具体的には、司法省内に仮想通貨窃盗対策タスクフォースを設置し、司法省、国土安全保障省、財務省、および法執行機関を結集させ、主要な調整機関としての役割を担わせるものだ。
背景としては、仮想通貨の盗難被害や、米国および世界中の被害者が被る損失が拡大していることを挙げた。
米連邦捜査局(FBI)の2025年インターネット犯罪レポートによると、米国では昨年、仮想通貨関連の被害総額が約1.8兆円報告されている。前年比22%増加した。
関連記事:仮想通貨犯罪で年間1.8兆円の被害 AI詐欺の現状も=FBI統計
FBIの2025年インターネット犯罪レポートによると、米国で仮想通貨関連犯罪の被害額が1.8兆円に到達した。AI生成の偽動画・音声を悪用した投資詐欺も報告されている。
ゴットハイマー議員は、次のようにコメントしている。
この法案は、司法省、国土安全保障省、財務省を連携させて犯罪者を追跡し、被害者を支援し、地方の法執行機関が必要とする政府からの支援を確実に提供する。
つまり、単一の政府窓口、効果的で連携のとれた対応、犯罪者を追跡するための明確な行動指針が確立されるということだ。
また、グッデン下院議員は法案は消費者を保護し、仮想通貨エコシステムへの信頼を強化するものだとも説明した。
仮想通貨業界団体である「デジタル商工会議所」や、ビットコインの価値と利点を啓発する非営利団体「サトシ・アクション・ファンド」も、この法案を支持している。
法案の内容
法案の主な条項としては、次のようなものが挙げられている。
- 司法省内に専門タスクフォースを設置。司法長官が議長を務め、国土安全保障省、財務省、法執行機関の上級代表者が参加する。
- 州および地方自治体が採用できる標準的な手順書を作成。証拠収集、ブロックチェーンフォレンジック、被害者支援に関する内容を盛り込む。
- 議会に対し、連携の成果や推奨される改善策について年次報告書を提出することを義務付ける。
- イノベーションを守るために、新たな規制や犯罪定義を作ったり、行政機関の権限を拡大することは避け、犯罪取締りと当局間の連携に焦点を当てる。
なお、ブロックチェーンフォレンジックとは取引履歴を分析して、資金の流れや関係者を特定する調査手法のことだ。
仮想通貨の盗難に関しては、近年、北朝鮮関連のハッキンググループの犯行も目立つ。サイバーセキュリティ企業クラウドストライクのレポートによると、北朝鮮関連の攻撃者はAI(人工知能)も活用し、2025年に数十億ドル相当の仮想通貨を盗んでいた。
関連記事:AI悪用で深刻化する北朝鮮の金融業界サイバー攻撃、2025年被害額が前年比51%増に=レポート
クラウドストライクの最新レポートで、北朝鮮関連ハッカーが2025年に約20億ドル相当の仮想通貨を金融業界から窃取と判明した。AI活用やIT工作員潜入など手口も巧妙化している。
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