- 銀行危機時はGDP比0.8%多く資金流入
- 預金ドル化は資本規制で25から32ポイント低下
ドル化との共通点と相違点
国際決済銀行(BIS)は21日、預金ドル化とステーブルコインの流入動向を比較した作業論文を公表した。130を超える国・地域の預金データと、2017年から2024年までの184カ国のステーブルコイン流入データを分析し、両者が似た要因で拡大する一方、資本規制の効き方には明確な差があると結論づけた。
論文はBoris Hofmann氏らエコノミスト3人による共著で、6月30日付の最終版がBISのワーキングペーパー第1370号として発表された。ステーブルコインの時価総額は2023年以降ほぼ3倍に拡大しており、USDTとUSDCの2銘柄だけで市場全体の8割超を占めるという。
ドル化とは、自国通貨に代えて米ドルなど外国通貨を預金や取引手段として使う現象を指す。新興国・発展途上国(EMDEs)では外貨預金として定着してきたが、BISはステーブルコインが同様の役割を担い始めていると位置づける。
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BISが2026年版年次経済報告書でステーブルコインの構造的課題を指摘。貨幣の等価交換性の欠如や金融安定リスクを分析し、中央銀行主導の統合台帳構想を次世代通貨システムの道筋として提言した。
資本規制、ステーブルコインには及ばず
論文が最も強調するのが、資本規制の実効性の違いだ。自国での外貨預金開設に許可が必要な国では、預金ドル化の比率が制限のない国より25から32ポイント低いことが統計的に確認された。一方、ステーブルコインの利用を居住者・非居住者間で制限している国とそうでない国を比べても、流入額のGDP比に統計的に有意な差は見られなかった。
背景には流通の仕組みの違いがある。外貨預金は銀行など規制対象の金融機関を通じて行われるため、当局が承認制などで直接コントロールしやすい。
対してステーブルコインはパブリックブロックチェーン上を流通し、規制の及ばない主体を経由して保有・移転されるケースが多いため、資本規制の外側で拡大しやすいと分析している。
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危機時の流入増と物価への影響
流入を促す要因にも違いがある。為替の変動が物価に伝わりやすい国ほど預金ドル化とステーブルコイン流入の双方が増える傾向は共通していたが、銀行危機の経験は預金ドル化には効かず、ステーブルコイン流入だけを押し上げていた。銀行危機の頻度が1標準偏差上振れした国では、GDP比で0.8ポイント多い流入が確認されたという。
一方、預金ドル化が物価に与える影響は一様ではなかった。中程度のドル化は複数の推計でインフレリスクを高める傾向が確認されたが、ドル化が進んだ国ほどインフレの振れ幅は抑えられる傾向が示された。論文は、高度にドル化した経済は基軸通貨側の金融政策の信頼性を一定程度取り込んでいる可能性があると解説している。



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