- EU理事会が第21次対ロシア制裁を正式承認
- 石油価格上限を1年間44.1ドルに凍結
金融・仮想通貨を制裁
EU理事会は23日、ロシアのウクライナ侵攻に対する第21次制裁パッケージを正式承認したと発表した。銀行部門と仮想通貨ネットワークへの規制を強化する内容で、計218団体・個人が新たに資産凍結・渡航禁止・取引禁止の対象に指定された。
EUの制裁措置は、EU域内の企業および個人が制裁対象に指定された機関・事業者と取引することを禁じるものだ。資産凍結・渡航禁止・取引禁止の3種類があり、指定された団体・個人にはこれらが組み合わせて適用される。
今回の制裁パッケージでは、モスクワ証券取引所を含む94のロシア金融機関が制裁対象に加わり、指定済みの銀行総数はロシアの国際接続銀行213行のうち半数を超える100行超に達した。このうち33行には取引禁止措置が適用され、国際銀行間通信協会(SWIFT)から切り離される。
また、制裁回避の経路として利用されているとEUが判断した複数の仮想通貨プラットフォームとの取引が直接禁止されたが、対象事業者名は公表されなかった。
EUの外交政策を統括するカヤ・カラス外務安全保障政策代表は声明で、今回が4年間で最多の制裁指定数となると説明した上で、「100行超の銀行・仮想通貨事業者、シャドーフリート船40隻超、石油精製所、ロシアの長距離ドローン製造に関与する軍事産業50社超を対象に加えた」と説明した。
仮想通貨規制の経緯
EUによる仮想通貨制裁は段階的に強化されてきた。2022年のウクライナ侵攻直後にロシアの主要銀行がSWIFTから切り離されると、ロシアは2024年に仮想通貨による国際決済を合法化し、制裁を回避する代替手段として仮想通貨ネットワークへの依存を高めた。
EUは今年4月23日に採択した第20次制裁パッケージで、ロシアおよびベラルーシ拠点のすべての仮想通貨サービス事業者との取引を全面禁止した経緯がある。法定通貨ルーブル連動型ステーブルコイン「RUBx」とロシアのデジタルルーブルへの取引禁止も盛り込まれ、同年5月24日に発効した。今回の第21次制裁では規制の射程がロシア国外の事業者にも拡大され、第三国を経由した制裁回避への対応が強化された。
関連記事:ロシア、対外貿易での仮想通貨決済を正式解禁 7月1日施行
ロシアは7月1日、ビットコインとステーブルコインを対外貿易決済に正式解禁した。認可プラットフォーム8社経由に限定され、中国・インド・トルコとの取引が主な対象。国内決済は引き続きルーブル専用となる。
原油・エネルギーへの対応
今回のパッケージには、ロシア産原油の価格上限を1バレル44.1ドルに1年間据え置く措置も盛り込まれた。この上限はEUの海運・保険・金融サービスを利用する取引に適用されるもので、上限を超えた価格での取引にはこれらのサービスを提供できない仕組みだ。原油価格の上昇に伴って予定されていた上限の引き上げを停止したもので、見直しがなければ1バレル58.5ドル程度に上昇する見通しだった。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長はXへの投稿で「市場変動によってロシアの戦争継続が恩恵を受けないよう、原油価格上限の調整を1年凍結する」と述べた。
一方、エネルギー分野では加盟国からの要求を受けた例外措置も盛り込まれた。ギリシャの要求を受け、EU企業によるロシア産液化天然ガス(LNG)の第三国向け移送については1年間(自動更新付き)の適用除外が設けられた。ロシア産LNGのEU域内向け輸入は、引き続き1月1日から禁止される予定だ。



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