CoinPostで今最も読まれています

英中銀総裁「デジタルマネーは公益に合致するかどうか評価すべき」

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコインには消極的見解を維持

英国の中央銀行であるイングランド銀行のAndrew Bailey総裁がステーブルコインの持つ可能性と、必要な規制要件について語った。また同時に、ビットコイン(BTC)などの暗号資産(仮想通貨)に関しては再度批判的な見解を示している。

Bailey総裁は、英国の金融セクターの業界団体TheCityUKが開催した会議に出席し「デジタルマネーは重要なイノベーションの源」であり、同時にそれが「公益に合致するかどうか評価しなければならない」と述べた。

デジタルマネーの中でも、法定通貨などに価値を裏付けされるステーブルコイン、また中央銀行デジタル通貨(CBDC)については、金融システムの中で重要な位置を占める可能性があるとする。

これに対してビットコインについては、これまでと同様に以下のような批判的見解を並べた。

ビットコインなどには価値の安定性をもたらす裏付けがない。裏付けがないためにそれ自体の内在的(本質的)価値もない。ビットコインを集めたり所有したりするのを好む人々がいるという意味では、外在的な(外側から与えられた本質的ではない)価値があるかもしれないが、その外在的な価値も非常に不安定だ。

また仮想通貨は「通貨」ではないために「仮想通貨」という言葉は誤解を招くもので「暗号資産」という言い方が適切だとも言及している。

「ステーブルコインは価値の保存手段になり得る」

一方、ステーブルコインについては「裏付けとなる資産が存在するため、本質的な価値を持つ可能性がある」と説明。イングランド銀行の金融政策委員会は、ステーブルコインの設計や規制に関して研究を行っているという。

総裁は、ステーブルコインについて「主に交換手段として機能するが、価値の保存手段ともなり得る」ものだと指摘、通貨として信頼されるための条件が公益の観点から注目されるとした。

まず決済に関する規制がステーブルコインにも適用される必要があり、これについて当局はすでに考慮を始めているという。

また、総裁によるとステーブルコインに対する規制は、従来の銀行資産を守る規制と同様な特徴を持つ必要がある。例としては法的請求権、資本要件、流動性要件、ストレス時に中央銀行からの支援を受ける資格、破綻時に預金者を補償する仕組みなどが挙げられた。

特に重要な要件は、ステーブルコインの裏付け資産が、つねにコイン発行残高以上に準備されるようにすることだという。総裁はステーブルコインと並ぶ新たなデジタルマネーの形式として、中央銀行が発行し価値を固定するデジタル通貨(CBDC)についても触れた。

CBDCやステーブルコインのリスク

その際、総裁はステーブルコインやCBDCが大々的に採用されることについてはリスクがあることも認識していると話す。

例えば、現在は商業銀行のお金が、銀行口座という形で、価値の保存や決済手段という機能を提供しており、そうすることで実体経済への資金貸し出しも可能にしている。

もしCBDCなど新たな形態のデジタルマネーがこれを置き換えることになれば結果的に商業銀行の貸し出し能力の効率性を低下させてしまうことに繋がる。またデジタルマネーへの需要がどの程度あるのかなども不明確だ。

そこで、もし仮にステーブルコインやCBDCを導入するとすれば、そうしたデジタルマネーへの移行速度や規模を制限し、金融安定性への脅威がないことを確実にすることも対策として考えられるという。

Bailey総裁は、スピーチで全体的にデジタルマネーのイノベーションの重要性を強調し、新たなデジタルマネーの導入により短期的には金融市場が混乱する可能性があるものの「長期的には市場は適応していくはずだ」とも語った。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
05/19 日曜日
12:00
ビットトレードのビットコイン・ピザ・デー記念キャンペーン シバイヌなどが当たるチャンス
暗号資産(仮想通貨)取引所ビットトレードの特別企画。ビットコイン・ピザ・デーを記念して、シバイヌ(SHIB)やドージコイン(DOGE)も含む豪華景品が当たるラッキールーレットキャンペーンが開催される。2024年5月20日から24日までの期間限定。
11:30
オプション市場では6.5万ドルと7万ドルストライクに建玉集中、翌週の展望は?|bitbankアナリスト寄稿
CPI発表後のテクニカル分析や6.5万ドルと7万ドルストライクに建玉集中するオプション市場を踏まえ、bitbankのアナリスト長谷川氏がビットコインチャートを図解。今週の暗号資産(仮想通貨)相場考察と翌週の展望を探る。
11:00
週刊ニュース|金持ち父さん著者キヨサキ氏のBTC投資推奨に高い関心
今週は、金持ち父さん著者ロバート・キヨサキ氏による仮想通貨ビットコイン・金・銀投資の推奨、ジャック・ドーシー氏のビットコインについての発言、GameStop株やミームコインの暴騰に関するニュースが最も関心を集めた。
05/18 土曜日
21:00
Clearpool Prime、アバランチでデビュー RWA対応のプライベート・クレジット市場
Clearpool Primeがアバランチでローンチし、RWA分野に新たな進展。機関投資家向けに安全かつ効率的な取引環境を提供するプライベート・クレジット市場。
17:20
バイナンス上場銘柄の80%が価値低下、ミームコインは異例の上昇 過去6か月の分析
31トークン分析が示す課題 暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(グローバル版)で、過去6か月に新規上場したトークンの80%以上が、その後に価値を落としていることがわかった。ミ…
13:00
米国のビットコイン現物ETFへの5月の流入額、4月の流出上回る
ブルームバーグのETFアナリストは、5月に入ってからの米国ビットコイン現物ETFへの流入は、4月の流出を埋め合わせたと指摘した。
11:10
米下院、SECの仮想通貨規制役割明確化の「FIT21法案」を採決へ
米国下院は、仮想通貨に対する規制を明確化し、CFTCに追加権限を与える「21世紀のための金融イノベーション・テクノロジー法」の採決を行う。
10:15
米コインベース、「来週イーサリアム現物ETF承認確率は30~40%」
米仮想通貨取引所コインベースはイーサリアムの今後を予測するレポートを発表した。ETH現物ETFが承認される時期などについて分析している。
08:50
仮想通貨取引所クラーケン、欧州でUSDT非対応を検討
テザーCEOは最近、MiCA規制を批判し、仮想通貨USDTで規制を受けるつもりはないと述べた。この姿勢が、欧州で事業を行っているクラーケンが、それらの通貨ペアの提供を停止する理由と見られる。
08:00
「仮想通貨上昇の鍵はマクロ経済」コインベース分析
仮想通貨相場上昇の鍵は今もマクロ経済であるとコインベースは分析。他にも、イーサリアム現物ETFの審査など規制動向も注視すべきだとした。
07:10
ソラナ価格、月末までに200ドル復帰か ヘッジファンド創設者が予測
仮想通貨ソラナの今後の価格について、ヘッジファンドSyncracy Capitalの創設者は強気な予測を示した。その根拠とは?
06:10
zkSyncエアドロップ期待再燃、分散化加速のアップグレードを実施予定
zkSyncは未だ独自の仮想通貨をリリースしていないが、主要zkロールアップであるライバルのStarkNetは2月にエアドロップを実施した。
05/17 金曜日
17:34
東京ビッグサイトで第5回ブロックチェーンEXPO【春】開催へ 無料申し込み募集開始
東京ビッグサイトで、日本最大級のブロックチェーン専門展である第5回ブロックチェーンEXPO【春】が開催されます。最新の研究からアプリケーションまで、ブロックチェーン技術のすべてが一堂に出展するイベントは必見です。
13:00
ワールドコイン、秘匿化技術で生体認証データの保護・オープンソース化を発表
暗号資産(仮想通貨)でベーシックインカム実現を目指す、ワールドコイン・ファンデーションが生体認証データ保護にSMPC技術を導入。そのシステムをオープンソース化した。セキュリティとプライバシーを強化するとともに、システムの普及拡大を目指す。
12:32
短期トレンド変化のビットコイン続伸なるか、ミームコインが牽引する場面も
CPI発表で急反発を見せた暗号資産(仮想通貨)相場ではビットコイン(BTC)が下降チャネルをブレイクアウトした。16日には賛否両論渦巻くミームコインが相場を牽引する場面も。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア