CoinPostで今最も読まれています

2018年の仮想通貨「盗難被害」が約1900億円、日韓中心に前年比400%増|出口詐欺の実態とは

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

2018年の仮想通貨の盗難被害が約1900億円
米企業CipherTraceが「仮想通貨AMLレポート 2018」を公開。仮想通貨の盗難被害総額は2017年の3.6倍以上に及び、日本と韓国の被害額は全体の58%を占めた。世界各国で急増する「出口詐欺」の実態も探る。

2018年の仮想通貨の盗難被害が約1900億円

米仮想通貨調査企業CipherTraceは、最新報告書『仮想通貨AMLレポート 2018』を公開し、17億ドル(約1800億円)に相当する仮想通貨が盗難被害に遭ったことを発表した。

この内、約1000億円は仮想通貨取引所やウォレットなど保管および交換サービスから盗まれており、これは2017年の被害総額の3.6倍以上に及ぶ。580億円相当のXEMが不正流出した「コインチェック」事件などがあったことで、日本と韓国の被害額が全体の58%を占めた。

レポートの中で、「犯罪者は国際アンチマネーロンダリングと反テロ資金の規制が2020年より有効となる前に、詐欺やハッキングの手段で手に入れた資金を洗浄する必要がある」と指摘している。

出典:ciphertrace

急増する出口詐欺

しかし、特筆すべきは急増する出口詐欺(インサイド・ジョブ)や不正行為で、2018年のQ4(10月〜12月)では、投資家や仮想通貨のユーザーから資金を騙し取る「出口詐欺」が主な犯罪行為となっていたため、本文では、これに関して詳しく見ていく。

まずCipherTraceは仮想通貨業界に関する脅威や問題点のトップ10を整理したが、その主要項目を以下のように取り上げる。

  1. 携帯電話のSIMスワップ=被害者の携帯SIMに侵入し、ウォレットや口座の情報を盗む
  2. 仮想通貨ダスティング=マネーミクサーから仮想通貨を送金し、被害者の名誉を損なう
  3. 経済制裁回避=イランやベネズエラが仮想通貨を利用し、経済制裁を回避する
  4. 仮想通貨ミクサー=仮想通貨取引所で金銭洗浄する
  5. 闇マネーサービス業務=銀行が大元の金融機関の正体を知らずに無免許の金融サービスに銀行業務を提供

同報告書によると、2018年において投資家は出口詐欺の被害を受け、約8億ドル(875億円)分の損失を被っている。

実際の事例

出口詐欺とは、ICOや取引所などにおいて、創設者や運営側がユーザーの資金を騙し取り、持ち逃げすることだ。

2018年に起きた、主な仮想通貨関連出口詐欺事件は、以下のような事例がある。

  • 2018年4月、ベトナムの仮想通貨企業Modern Techが、ICOの「Pincoin」から6億6000万ドルを調達した。最初のうちは投資家に利益を渡していたが、すべての資金を巻き上げて逃げたことが後日判明。
  • 2018年10月、カナダの小規模仮想通貨取引所MapleChangeは、ハッキング被害を受け、913ビットコイン(当時の時価総額で約600万ドル)を失ったと称して、ユーザーへの返済を不可能とし、取引所および公式SNSのアカウントを閉鎖した。
  • 2018年11月、韓国、Pure Bitという取引所を立ち上げるために、イーサリアムによるICOで300万ドルを調達しこれを持ち逃げしようとしたが、取引所Bithumbが犯人の口座を凍結し、警察も介入したせいか、犯人はすべての資金を投資家へ返済した。

直近では1月29日、カナダのトロントに本社を置く仮想通貨取引所「QuadrigaCX」が、ユーザーに知らせずにメンテナンスを行なったことで、利用者から批判の声が上がっている。

以前、カナダの5大銀行の一つであるCIBCが同取引所の業務口座を凍結し、ユーザーから預金を引き出しできなくなったため、裁判まで起こした同取引所だったが、勝訴したにも関わらず、利用者から資金を引き下ろせない状況にあるなど、依然として問題は解決されていない。

仮想通貨業界はいまだ世界基準の規制が定まっておらず、各国による規制のレベルも異なる中、出口詐欺など様々な詐欺が起こり得るため、注意を払う必要があると言える。

QuadrigaCXに関する詳しい内容はこちら

問題山積のカナダ仮想通貨取引所「QuadrigaCX」利用者に報告をせずサービス停止
カナダ仮想通貨取引所「QuadrigaCX」に、数時間アクセスできない状況が続いている。同取引所は、サービス停止後しばらくして、メンテナンス中との声明を発表したが、利用者らに対して、メンテナンスに関する事前報告を一切行なっていなかった。
▶️本日の速報をチェック
CoinPostのLINE@

スマートフォンへの「プッシュ通知」で、相場に影響を及ぼす重要ニュースをいち早く知らせてくれる「LINE@」の登録はこちら。大好評につき、登録者11,000名突破。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
05/10 金曜日
12:43
ビットコインなど仮想通貨相場反発、ビットバンク関連会社のセレスがストップ高
暗号資産(仮想通貨)市場ではビットコイン(BTC)が反発、株式市場では大手取引所ビットバンク(bitbank)を持分法適用関連会社にするセレスの決算が好感され株価がストップ高となった。
11:30
米仮想通貨大手DCG第1四半期決算 売上高が前年比51%増
仮想通貨コングロマリット企業DCGは2024年第1四半期(1~3月)の決算を発表した。連結売上高が前年同期比51%増の約356億円に達している。
10:25
米SECの審査で、仮想通貨ウォレット企業の株式上場が延期
仮想通貨ウォレットのスタートアップ企業Exodus Movementは、米SECのためにNYSE Americanへの株式上場が遅延していると発表した。
09:45
リップル社、DeRecの創設メンバーに参加
リップル社とXRPL Labsは、仮想通貨や個人情報に関する取り組みを行うDeRec Allianceの創設メンバーに加わった。これからユーザー体験を簡素化し、Web3の普及に取り組んでいく。
08:20
米マラソン、1Qに270億円相当のビットコインを採掘
マラソンの純利益は、仮想通貨ビットコインが3月に過去最高値を更新し73,000ドルまでに到達のこともあって前年同期比で184%増の3.372億ドルに押し上げられた。
07:15
ロビンフッドCEO、米SECと争う姿勢示す
米国が仮想通貨へアクセスできるように守っていくとロビンフッドのCEOが発言。同社は米SECからウェルズ通知を受け取っており、争う姿勢示している。
06:45
バイナンスやOKX、TON基盤「Notcoin」のマイニング開始予定
仮想通貨Notcoinとは、「タップして稼ぐ」のトークンマイニングの仕組みを通して、多くのテレグラムユーザーをWeb3に取り込む目的のバイラル・ゲームだ。
06:12
カナダ当局、バイナンスに6.8億円の罰金
仮想通貨取引所バイナンスについては昨年11月アメリカで財務省と和解しており、マネロン対策と制裁法違反で合計43億6,800万ドルの罰金を支払うことになった。また、退任したCZ氏は先月末に懲役4か月の判決が下された。
05/09 木曜日
18:49
TOKEN2049で注目を集めたCoinW、セキュリティと透明性へのコミットメント
豪雨の中、8000人以上が参加したTOKEN2049で、CoinWが安全性と透明性をテーマにブランド力を際立たせた。有識者パネル等を通してプロモーション展開に注力し、世界をリードする暗号資産(仮想通貨)取引所としての地位を固める。
18:45
Astar zkEVM「Yoki Origins」NFTミントが150万枚突破、ユーザー基盤は月間100%増
Astar Networkが提供するイーサリアムレイヤー2「Astar zkEVM Powered by Polygon」のローンチに合わせた「Yoki Origins」キャンペーンでNFTミントが150万枚を突破。ユーザー基盤も月間で100%増加し、5月31日のフィナーレに向け盛り上がりを見せている。
15:00
米下院、SECによる仮想通貨保管のガイドライン覆す決議案を可決
米国連邦議会下院は、議会審査法に基づき、証券取引委員会が発行した仮想通貨の保管に関する会計公報121号(SAB121)を覆す決議案を可決した。ホワイトハウスはこの決議案に拒否権を行使すると警告した。
14:00
米ロビンフッド1Q決算報告 仮想通貨収益倍増
大手取引アプリ米ロビンフッドは2024年第1四半期(1~3月)の決算報告を発表。仮想通貨収益が前年同期比で倍増していた。
13:20
DeFimansが中高生向けにWeb3講座を開催 筑波大学附属駒場で
株式会社DeFimansが筑波大学附属駒場中・高等学校で中学1年生から高校2年生を対象にWeb3講座を開催。ブロックチェーンとAIの活用案を考えるワークショップなど次世代育成に注力。
12:00
米トランプ前大統領、NFT購入者と夕食へ 仮想通貨に肯定発言も
米トランプ前大統領は独自NFTの特典として購入者らと夕食をとって過ごす。トランプ氏は仮想通貨に対してさらに肯定的な発言をしたところだ。
11:10
トランプ前大統領が異例発言、仮想通貨業界を味方に
今回の発言を受け業界の一部からトランプ氏を次期大統領として支持する声が増えているが、政治家として支持者を得るためのリップサービスにすぎないとの懸念も見られている。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア