仮想通貨市場の回復で収益増
暗号資産(仮想通貨)コングロマリット企業デジタルカレンシーグループ(DCG)は2024年第1四半期(1~3月:1Q)の決算を発表した。1Qの連結売上高が前年同期比51%増の2億2,900万ドル(約356億円)に達している。
DCGの完全子会社である仮想通貨取引所ルノ、ビットコインマイニング企業ファウンドリー、資産運用会社グレースケールのそれぞれが、仮想通貨市場の回復に支えられ、大幅な利益を上げた。
グレースケールは、ビットコイン(BTC)価格上昇により1億5,600万ドル(約243億円)、ファウンドリーは主にステーキングと機器の販売収入から5,100万ドル(約79億円)の収益を得た。
また、ルノも仮想通貨市場の価格変動が大きくなる中、取引量が増加し1,600万ドル(約25億円)の収益を上げている。
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GBTCの状況
グレースケールが提供するビットコイン現物ETF「GBTC」では資金流出が続いていたが、3日に初めて、合計6,300万ドル(98億円)の流入があったところだ。その後6日にも390万ドル(約6億円)の流入があり、7日にはふたたび2,860万ドル(約44億円)の流出に転じた。
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1月にGBTCがETFに転換されて以来、174億ドル(約2.7兆円)が流出してきたが、グレースケールの収益は第1四半期を通じて安定していた。YChartsによると、GBTCが管理する資産は8日時点で181億ドル(約2.8兆円)を超えている。
ビットコインETFとは
ビットコインを投資対象に含んだ上場投資信託(Exchange Traded Fund)のこと。投資信託とは、投資家から集めたお金を1つの資金としてまとめ、株式や債券などに投資して運用される金融商品。運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みになっている。投資信託の中でもETFは証券取引所に上場しているため、株式と同様に売買ができる。
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苦境に直面
DCGはここ数年、様々な難局に直面してきた。傘下の仮想通貨融資企業ジェネシスが、スリーアローズ・キャピタルやFTX破綻のあおりを受けて負債を抱え、2023年に破産申請している。
ジェネシスはその後2023年9月、DCGに融資した1万8,000 BTC以上が満期を迎えても返済されていないとしてDCGを提訴した。
また、DCGは2023年11月、損失の一部を埋め合わせるため、ニュースサイトのコインデスクを全額現金取引で仮想通貨取引所Bullishに売却した。取引の金額は明らかにされていない。
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