YouTubeの仮想通貨関連ビデオ削除
YouTubeから仮想通貨ユーチューバーが、とんだクリスマスプレゼントを受け取る事態に発展しているようだ。12月23日から唐突に始まった仮想通貨関連コンテンツの削除事件。今に至って、YouTube側による削除が加速している。
当初、限定的な影響と指摘されていたものの、多くのチャンネル登録者を抱えるインフルエンサーらを始め、数多くの仮想通貨関連チャンネルへ影響が拡大し続けている。現在削除の影響を受けていることが確認されたユーチューバーは25チャネル以上にも及ぶ。
Updated list (it's growing fast) pic.twitter.com/STyni4IkqV
— Omar Bham (Crypt0) (@crypt0snews) December 24, 2019
昨日報じたように、コンテンツを削除された20万人以上のチャンネル登録者を持つ仮想通貨ユーチューバーChris Dunn氏は、「害のある、あるいは危険なコンテンツ」「規制された商品の販売」を理由にビデオを削除された。
ベテラン仮想通貨投資家でもある同氏はこれまで10年以上、同様のコンテンツを作成してきたが、トラブルはなかったという。
また、8万人を超えるチャンネル登録者を抱える「The Moon」を運営するCarl Eric Martin氏は「これは最も純然たる検閲だ」と訴え、「YouTubeでビットコインがこのように検閲されるのは正気の沙汰じゃない」とメディアCrytproPotatoのインタビューで答えた。
今回のYouTubeによるビデオ削除がビットコインを根本的に害することはないだろうが、ビットコインや金融の自由についての学びを妨げる可能性があると主張している。また、仮想通貨コミュニティの活動は主要メディアではなく、YouTubeやTwitterなどのソーシャルメディア上で活発に行われている事実にも言及した。
多くの従業員が休暇を取るクリスマスから新年というタイミングは、違反警告を受けコンテンツを削除されたり、最悪の場合チャンネルが閉鎖されるような事態に陥ったチャンネル運営者にとって、再審査請求により長くかかるなど、かなり不利な時期でもあると見られる。
前出のチャンネルリストを作成した「Crypt0」のOmar Bham 氏は、「卑劣なタイミングだ」とYouTubeおよびその親会社であるグーグルを強く非難した。
また、昨年、グーグルならびにフェイスブックが仮想通貨に関する広告の全面禁止措置をとった事例(のちに部分的に解除)にも触れ、中央集権型ソーシャルメディア大手の持つ比類なき影響力を危惧する姿勢を見せている。
法的観点
仮想通貨にとっては深刻な事態だが、YouTube側は正式なコメントを発表していないため、仮想通貨に対する意図的な攻撃だとする意見や単なるポリシー違反という意見など、その理由に関しては様々な憶測が飛び交っている。
そんな中、仮想通貨関連の法律に詳しい業界弁護士Jake Chervinsky氏は、ツイッターで次のように解説している。
I'm guessing the YouTube crypto crackdown has to do with potential violations of Securities Act § 17(b), the "anti-touting" provision, which requires promoters of securities to disclose any compensation they received for their promotion. I'm surprised it took this long, honestly.
— Jake Chervinsky (@jchervinsky) December 25, 2019
YouTubeの仮想通貨に対する取り締まりは、証券法17(b)の「反タウト(大げさな宣伝)」条項に対する潜在的な違反と関係があると思われる。
これは、証券のプロモーターが販売促進をするにあたって受け取った報酬を開示することを要求するものだ。正直なところ、ここまで時間がかかったことに驚いている。
この反タウト条項を根拠に、ソーシャルメディア上でICOを大々的に宣伝したボクサーのFloyd Mayweather氏やDJ Khaled Settle氏などが、米証券取引委員会から告訴され、その後和解した経緯がある。
しかしChervinsky氏も、証券法に抵触するかどうかは可能性の一つに過ぎず、単にYouTubeが特定のカテゴリーに入るビデオを削除するアルゴリズムに合致したことも考えられると述べている。
仮想通貨業界からのサポート
このような事態に対し、業界の代表格であるバイナンスは、影響を受けたYouTubeチャンネル運営者に対するサポートを示すため仮想通貨コミュニティに結束するように呼びかけ、専用ツイッターアカウントを設けた。
また、バイナンスCEOのCZ氏自身も「仮想通貨コミュニティが、ブロックチェーンを利用した独自の検閲耐性のあるソーシャルメディアプラットフォームに挑戦してみる好機なのかもしれない」とツイートした。
It may be time the #crypto community take a stab at its own blockchain-enabled sensorship-resistent social media platform.
— CZ Binance (@cz_binance) December 25, 2019
Lots of challenges though, spam, scam, trolls, incentives, copyright, token economics, governance, stickiness, privacy… But
It’s about time!