仮想通貨市況
1日の暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比0.4%安の272万円(20,127ドル)で推移。一時18,600ドルまで急落すも、日本時間8時過ぎには2,000ドル急騰する場面もあるなど乱高下した。
先物市場のTotal Liquidationsでは、13日のような大規模なロスカットは確認されておらず、現物主体の売りをこなした可能性がある。
CMEのイーサリアム(ETH)先物は、DeFi(分散型金融)市場の混乱を背景に現物価格を下回って推移。マイナス乖離は過去最も低い水準まで落ち込んだ。
昨日までの相場では、指数悪化で軟調な株式市場の影響のほか、流動性危機と信用不安の渦中にある「Three Arrows Capital(3AC)」が英領バージン諸島の裁判所から清算を命じられたことが報じられ、市場心理が再び悪化。2万ドル水準の節目を再び下回ったことで急落を助長した。
同じく問題の渦中にある仮想通貨融資企業「Celsius Network(セルシウス)」は1日、資産を保護し流動性確保と安定運用のために尽力していることを報告した。
セルシウスは先月12日、顧客資産の引き出し(出金)を突如凍結して混乱を招いた。債権トークンstETHトークンなどの高リスク運用で財務難に陥ったと見られ、「破産法適用」の申請を視野に事業整理のコンサタントを雇用したとの報道もある。
また、The Blockの報じたところによれば、最大手取引所を運営するFTXは「セルシウスのバランスシート上の負債状況は想定より悪い」として救済を断念した。一方、3ACの貸し手の1つで同じく苦境に陥ったとされるBlockFiに対しては、2.5億ドルの融資契約締結を発表。買収を視野に救済する方針を示す。
関連:仮想通貨取引所FTX、セルシウスの救済は見送りか=The Block
シーズン騰落率は過去最悪に
FRB(米連邦準備制度)の金融引き締め政策に伴う株式市場の大幅下落も重なり、ビットコイン相場は前四半期比で過去最悪のシーズン騰落率-56.2%を観測した。2018年Q1の-49.7%を超える規模だ。
月間騰落率で見ても2022年6月は歴代ワースト記録となっており、2018年の仮想通貨バブル崩壊時や、2020年3月のコロナ・ショック、2021年5月の暴落局面の下落率を上回っている。
足元では売りの過熱が顕著であることから、今後数週間で3ACやセルシウスなどの清算及び業界再編が進めば、目先の悪材料が出尽くし相場のアク抜けにつながるとの見方もある。
blockworksが6月30日に報じたところによれば、大手金融機関JPモルガンは「仮想通貨市場における債券周りの混乱は、もうまもなく終息する」と予測した。
Three Arrows Capital(3AC)などの事例を念頭に、弱気相場における高リスク運用の脆弱性を指摘しつつ、「より大規模な事業体が事態収束のために介入し始めている」ことを示唆した。CME(米シカゴ・マーカンタイル取引所)先物に基づくネット・レバレッジ指標では、すでに十分な解消が進んでいることを示しているという。
なお、データ分析企業CryptoQuantのKi Young Ju(@ki_young_ju)CEOは1日、米最大手取引所コインベースの「プレミアム・インデックス(Coinbase Premium)」が22年4月以来、初めてプラスに転じたことを報告した。
Coinbase price premium daily close turned positive for the first time since April 2022.https://t.co/Uv9ph17DOn https://t.co/ZEorApSlTT pic.twitter.com/te0xDUihCu
— Ki Young Ju (@ki_young_ju) July 1, 2022
同指標は、Coinbase Proの価格(USD通貨ペア)とバイナンスの価格(USDT通貨ペア)の間のギャップを表したもので、グローバル基準に対して米機関投資家、及びクジラ(大口投資家)のセンチメントとポジション傾向を分析できる。
過去の例では、2021年にビットコインが過去最高値を更新していた時期の”Coinbase Premium”は、実に50ドル以上のプレミアム(上乖離)を維持していた。
Ki Young Ju氏は、今朝方ショートカバーを伴い急反騰したBTC(5分足)チャートとともに、コインベースのプレミアム・インデックスの推移に着目。「この上昇だけで必ずしも強気シグナルとは言い切れないが、直近安値付近の押し目買いの騰勢に機関投資家の存在があることは明白だ」と指摘した。
いずれにせよ中・長期では、歴史的水準で高止まりするインフレ指数が反転せず「金融引き締め」の流れが継続する限りは、株式市場の下落と連動する可能性が高く十分留意したい。
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