はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

米トランプ関税懸念でビットコイン様子見基調 ブラックロックは1ヶ月ぶりの売りに転じる

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

米中貿易摩擦が再燃

ドナルド・トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が近く電話会談を行う見通しとなった。両国間の貿易合意を巡る対立が激化する中、レアアース輸出規制の撤廃が主要議題となる。

トランプ政権の関税政策は法的困難にも直面している。米国際貿易裁判所が関税措置の多くを違法と判断して差し止めを命じたため、現在連邦高裁で審理中となっている。7月9日に期限を迎える関税猶予措置について、米政府は延長しない方針を示している。

貿易摩擦の再激化を受けて、欧州株式市場は下落し、米株式市場も不安定な動きを見せている。企業が関税を懸念して慎重姿勢を強める中、米製造業活動は縮小し、輸入指数は16年ぶりの低水準を記録した。

このような米中貿易摩擦の深刻化は、リスク回避の投資行動を促進する可能性がある。伝統的な安全資産への資金流入が加速すれば、株や仮想通貨といったリスク性資産からの資金流出圧力が高まる恐れがある。

両首脳の電話会談が実現すれば1月以来初の公式対話となるが、根深い対立構造の解決には時間を要するとみられる。

仮想通貨市況

暗号資産(仮想

BTC/USD日足

通貨)市場では、ビットコイン(BTC)は前日比+1.0%の1BTC=106,150ドルに。

機関投資家の資金フロー

機関投資家による仮想通貨投資に変化の兆しが見えている。

資産運用会社CoinSharesの週次レポートによれば、先週の上場投資商品(ETP)への資金流入は2億8600万ドルとなり、7週間連続の流入を維持したものの、前週と比較して勢いが大幅に鈍化していることが明らかになった。

米トランプ政権の関税政策をめぐる不確実性が市場のボラティリティを引き起こし、投資家心理の悪化を招いたため、運用総資産(AuM)は過去最高の1870億ドルから1770億ドルに減少した。

地域別では、米国が1億9900万ドルの流入で国際的にトップを維持した。香港が5480万ドル、ドイツが4290万ドル、オーストラリアが2150万ドルの流入で続いている。一方、スイスは3280万ドルの流出となり、年初来で純流出となった数少ない国の一つとなった。

市場全体では流入が見られた一方で、ビットコイン関連商品からは流出が発生した。ビットコインは今週好調に始まったものの、米ニューヨーク裁判所が米国の関税を違法とする判決を下したことで週半ばに反転し、800万ドルの小幅な流出で週を終えた。これは6週連続で流入が続き、総額96億ドルに達した後の初めての流出となる。

対照的に、ここのところビットコイン(BTC)の騰落率をアウトパフォームしているイーサリアム(ETH)は6週連続で流入額が増加し、総額は11億9000万ドルに達した。先週は3億2100万ドルの流入増となっている。一方、XRPは2週連続で流出し2820万ドルとなった。

このような資金移動は、投資家のリスク選好度に変化が生じていることがうかがえる。

ブラックロックがBTC売りに転じる

最大手資産運用会社ブラックロックが1か月以上にわたって継続してきたビットコイン購入戦略を転換し、初めての売却に踏み切ったことが明らかになった。

アーカム・インテリジェンスのオンチェーンデータによると、昨日4,113BTC(約4億2,940万ドル相当)をコインベース・プライムに預け入れており、売却に動いた可能性がある。これは、機関投資家レベルでのポートフォリオ戦略の変化を示すシグナルと言えそうだ。

同社が運用するiShares Bitcoin Trust(IBIT)も5月30日に過去最大となる4億3,080万ドルの資金流出を記録した。これは同ETFにとって2月26日の4億1,810万ドルを上回る過去最大の流出額となっている。さらに5月30日には、11のスポットビットコインETF全体で2日連続の純流出となり、その総額は6億1,610万ドルに達した。

Master Venturesの創設者カイル・シャッセ氏は今回の動きについて、「個人投資家のパニック売りではなく、供給を最も強い勢力へと静かに移行させている」と分析した。一方で、Deriveの創設者ニック・フォースター氏は、IBITへの62億ドルを超える流入にもかかわらず、ビットコイン価格がそれに見合った上昇を見せていない点を指摘している。

世界の上場企業全体では依然として1億9,600万ドルの純購入を記録しており、機関投資家のデジタル資産に対する長期的な信頼は維持されているものの、ブラックロックの動向は短期的な市場ボラティリティの上昇要因として警戒する向きもある。

利確売りは限定的か

一方、ビットコインの売却による実現損益を示すNRPL(Net Realized Profit and Loss)チャートの分析から、現在の「利益確定売り」水準は過去のサイクルピーク時と比較して限定的であることが明らかになった。

NRPLチャートは市場参加者がビットコインを売却した際の実現損益の規模を可視化したもので、市場サイクルの転換点を判断する重要な指標として活用されている。

現在のチャートを過去の主要局面と比較すると、2024年3月と11月に記録された大規模な利益確定売りと比べて、現在の水準は著しく低いことが確認できる。

専門家の分析によると、赤枠で示された現在の利益確定水準は短期的な価格調整を誘発する可能性があるものの、上昇サイクルの終焉を示すほどの規模ではないとされている。過去のサイクルピーク時に観測されたNRPLの急騰と比較すると、今回の利益確定は比較的限定的な範囲に留まっており、これは市場の健全性を示すシグナルとして捉えられている。

この分析結果は、ビットコイン価格が10万ドルを突破した現在の市場環境においても、大規模な売り圧力が発生していないことを裏付けている。市場関係者の間では、現在の利益確定水準では下降サイクルへの移行は考えにくく、ビットコインの上昇サイクルは継続する可能性が高いとの見方が強まっている。

関連:ビットコインと仮想通貨関連株はどちらを買うべき?メリット・デメリットを解説

関連:ビットコインを保有する上場企業ランキング|日本・米国の注目企業を解説

関連:仮想通貨取引所ランキング|プロ厳選の実績と評判で徹底比較

過去に掲載したマーケットレポート一覧はこちら

厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
06/04 水曜日
19:17
パスポート1枚でビットコインを日本円に ガイアが新たな仮想通貨ATMサービス開始
暗号資産(仮想通貨)交換業者ガイアが事前登録不要の暗号資産ATM「BTM」サービスを新たに開始する。訪日外国人はパスポートのみでビットコイン・イーサリアムを日本円に両替可能。手数料10%、1日10万円上限となる。
17:06
デロイト執行役員「DeSciで日本の科学力は向上する」|独占インタビュー
デロイト執行役員がDeSciの実装課題と可能性を解説。透明性のある資金分配、グローバルな研究者確保、科研費制度の課題解決など、ブロックチェーンが日本の研究開発にもたらす革新について独占インタビュー。
16:52
バイナンス、5種類の現物取引ペアを停止へ 6月6日実施
バイナンスはFDUSD建ての5通貨ペア(XAI、THETAなど)を2025年6月6日に取扱い中止。取引停止の理由や今後の影響を解説。
14:00
8月22日開催、招待制イベント「WebX大阪」の詳細発表
8月22日、大阪万博テーマウィークで次世代フィンテック技術とネットワーキングの場を提供する「WebX FinTech EXPO」が開催決定した。SBIグループと最大手暗号資産(仮想通貨)メディアCoinPostが企画運営を担当し、金融業界リーダーを中心に約1000名が招待制で参加する。
13:40
410億円相当のイーサリアム、Galaxy Digital経由の大口取引が明らかに
Galaxy DigitalのOTCウォレットが108,278ETHの大口取引を実行。機関投資家による戦略的なイーサリアム取得が市場に与える影響が注目される。
13:10
1600億円相当の『ビットコインファースト計画』、欧州上場Vanadi Coffee
スペインのVanadi Coffeeが1600億円相当のビットコイン投資でマイクロストラテジー戦略に追随。6月株主総会で承認を求める予定だ。
11:45
「米軍の一部がビットコイン法案を支持」ルミス上院議員 国防強化の重要性を強調
米国のルミス上院議員が、米軍将官の一部も仮想通貨ビットコインを備蓄することを支持していると表明した。背景には防衛力強化がある。ルミス氏は少額決済の免税も提案した。
11:30
政府のビットコイン支払い受入れ法案、カリフォルニア下院で可決 上院審議へ
カリフォルニア州議会下院が州政府のビットコイン・デジタル通貨支払い受け入れを可能にする法案を68対0で可決。
11:02
シンガポール、未認可の仮想通貨企業の国外サービス提供を禁止へ
シンガポール金融管理局は、仮想通貨サービス企業の事業ライセンスに関するガイダンスを発表。特に、シンガポールの国外にサービスを提供している仮想通貨企業に対する措置が注目を集めている。
10:10
韓国でイ・ジェミョン新大統領が誕生 ステーブルコインや仮想通貨ETFを公約に
韓国でイ・ジェミョン氏が大統領に就任した。選挙キャンペーン中にウォン建てステーブルコインの解禁や、仮想通貨現物ETFの合法化などを公約として掲げていた。
09:40
ビットコイン価格に底堅さ、半導体関連事業と米経済が下支え|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは5月末の下落から回復しつつあり、エヌビディアの好調な半導体事業がマイナーの資金難緩和と市場の下支えに期待されている。
07:30
上場企業のビットコイン保有急増も、価格下落で清算の懸念=スタンダード・チャータード分析
60社超の上場企業が合計67万BTCを保有する中、スタンダード・チャータード銀行のアナリストは価格下落時の強制売却リスクを警告。平均購入価格から22%下落が危険水域と分析。
07:05
金持ち父さん著者キヨサキ、株式市場などの暴落を予測
『金持ち父さん貧乏父さん』の著者ロバート・キヨサキ氏は、株などの市場が2025年の夏にかけて暴落する可能性があると警告。金、銀、仮想通貨ビットコインには数十億ドル規模の資金が流入すると予測している。
06:45
トランプメディア、ビットコイン現物ETF申請
NYSE取引所がTruth Social Bitcoin ETFの上場・取引に関する規則変更案をSECに提出。トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループの金融戦略の一環として2025年後半の発売を目指す。
06:16
6月の仮想通貨市場、トランプ関税と予算法案で大幅変動の可能性=K33分析
K33リサーチがトランプ大統領の関税政策と「大きく美しい法案」を巡る動向が6月の仮想通貨市場に大きな変動をもたらすと警告。チキン呼ばわりやマスク氏の批判も市場に影響を与える見通し。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧