はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

金融トークン化の現状、Bitwise・Visa・DigiFT責任者が討論|WebX2025

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

金融トークン化の現状

大型Web3カンファレンス「WebX」(UPCXステージ) では26日、金融のトークン化についてディスカッションが行われた。

タイトルは「金融トークン化の歩み:理想から現実へ変わるデジタル金融」。登壇したのは以下のメンバーである。

  • Katherine Dowling(キャサリン・ダウリング)氏:Bitwiseの最高コンプライアンス責任者
  • Nischint Sanghavi(ニシント・サンガビ)氏:Visaのアジア太平洋地域のデジタル通貨部門責任者
  • Henry Zhang(ヘンリー・チャン)氏:DigiFTの創設者
  • 司会 柴田誠氏:FINOLABのトップ

「WebX」は国内最大手のWeb3メディア「CoinPost」を運営する株式会社CoinPostが企画し、一般社団法人WebX実行委員会が主催するWeb3カンファレンスで、今年は8月25日と26日に「ザ・プリンスパークタワー東京」で開催されている。

トークン化に適する資産、規制の課題

まず、トークン化に適した資産について、サンガビ氏は「マネーマーケットファンドが最初の成功例」と指摘した。ステーブルコイン、トークン化預金、CBDCなど通貨系資産の実用化が進んでいると説明し、株式・証券分野はまだパイロット段階と話した。

チャン氏は「現在のトークン化資産は約250億ドル規模で、大部分が国債やマネーマーケットファンドの固定収益商品」と説明。アマゾンが書籍から始まったように、標準的で理解しやすい商品から段階的に拡大していく戦略の重要性を指摘した。

一方、ダウリング氏は規制面の課題を強調した。「カストディ義務など既存規制への適合に6-9か月を要する」と述べ、SEC新体制下でトークン化推進の政策対話が活発化していると報告。オフチェーンからオンチェーンへの移行には政策改革が必要と主張した。

米国では証券取引委員会のポール・アトキンス委員長が7月、トークン化規制の例外措置検討を表明した。ステーブルコイン規制のジーニアス法案成立を受け、「トークン化が可能なら普及は必然」として技術推進姿勢を明確にしており、グローバルな制度整備を加速させようとしている。

関連:「米SECはトークン化の規制例外措置を検討中」アトキンス委員長が明かす=ブルームバーグ

トークン化決済

決済分野では、サンガビ氏がビザの役割を「伝統的金融機関とブロックチェーン技術の橋渡し」と定義した。香港金融管理局のパイロットプロジェクトでトークン化法定通貨と資産の実証実験を実施中で、異なるトークン化された法定通貨間の相互運用を可能にするグローバルネットワーク構築を目指し、DVP(証券と代金の同時決済)システムの効率性を検証している。

市場の成熟度について、チャン氏は「0から1への技術実現はほぼ100%達成されたが、規模拡大は初期段階」と評価した。全世界で300億ドル未満の市場規模は金融業界全体と比べて小規模だが、電気自動車の普及パターンと同様に急速な転換期が来ると予測した。

技術的な標準化について、サンガビ氏はブロックチェーン間の相互運用性向上の必要性を強調した。プライベートチェーンからパブリックチェーンまで異なる技術基盤が併存する中、共通規格の確立が急務と指摘。ビザは異なるトークン化法定通貨間の相互運用を可能にするグローバルネットワーク構築を目指しているという。

ダウリング氏は従来金融機関との連携必要性について話し、ビットワイズのETF管理者はバンク・オブ・ニューヨークで、「ニューヨーク証券取引所創設時からの老舗企業」と説明。伝統的金融プレイヤーと仮想通貨専門企業の混合モデルで事業展開しており、一部の従来企業は将来のビジネスモデル変化に苦慮している現状を指摘した。

また、将来展望として、ダウリング氏は「証券取引における仲介機関不要の世界」を予測した。個人間での証券直接取引が可能になる技術的基盤は整いつつあるが、AMLやKYC規制との整合性確保が課題と分析。「中央集権型エンティティを経由せずに済む効率性とアクセシビリティの向上」がトークン化の最大の影響とし、ビットコインの思想に通じる金融包摂の実現可能性を強調した。

関連:RWAトークン取引所「DigiFT」、計37億円の資金を調達 SBIHDも出資

関連:「4年周期は終焉」ビットワイズCIOが示す仮想通貨市場の変化とは

▼登壇者概要

Katherine Dowling氏(Bitwiseの最高コンプライアンス責任者)

ハーバード大学法学大学院卒。Bitwiseでは最高コンプライアンス責任者などの役職を務め、経営管理チームに所属。同社に入社する前にも金融企業や未公開株式投資会社で最高コンプライアンス責任者や最高執行責任者などを務めた。

連邦検事として10年以上勤務したこともあり、過去にはインサイダー取引、詐欺、マネーロンダリングなどを立証するために、米証券取引委員会(SEC)や米連邦捜査局(FBI)らと協力したことがある。

Nischint Sanghavi氏(Visaのアジア太平洋地域のデジタル通貨部門責任者)

シンガポールを拠点にして、アジア太平洋地域におけるデジタル通貨に関する業績を監督している。例えば、パートナーシップ戦略や仮想通貨事業の開発が担当に含まれる。

金融サービス業界では22年超のキャリアがあり、Visaでは中央銀行デジタル通貨(CBDC)や預金のトークン化の市場開拓も率いている。

Henry Zhang氏(DigiFTの創設者)

スタンダードチャータード銀行やシティなどグローバルな金融機関で20年超の間、最高幹部を務めた経験を持つ。

RWA(現実資産)のトークン化やトレードの次世代プラットフォームであるDigiFTは、シンガポールで2022年に創設した。

柴田誠氏(FINOLABのトップ)

東大経済学部卒。東京銀行入行、池袋支店、オックスフォード大学留学(開発経済学修士取得)、経理部、名古屋支店、企画部を経て1998年より一貫して金融IT関連調査に従事。

日本のフィンテックコミュニティ育成に黎明期より関与しており、FINOVATORS創設にも参加し、UI銀行の社外監査役も務める。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/13 木曜日
11:25
ブラジル大統領、押収仮想通貨の即時売却を合法化する法案を提出 組織犯罪対策強化へ
ブラジルのルラ大統領が犯罪捜査で押収した仮想通貨を裁判結果前に売却できる法案を議会に提出した。中央銀行は今週、仮想通貨事業者への認可制導入を含む新規制も公表している。
10:25
ユーザー資金を凍結できる16ものブロックチェーンを特定、分散化の観点で議論呼ぶ=Bybit
仮想通貨取引所Bybitがユーザー資金の凍結機能を持つブロックチェーンを特定した。ハッキング対策に有効だが、分散化の理念と矛盾するとの指摘もある。
10:15
SBIグループで資産運用|証券・銀行・仮想通貨投資を効率的に
証券・銀行・仮想通貨を1つのエコシステムで管理できるSBIグループ。スマホ1つで株式、投資信託、金ETF、仮想通貨への投資を始められます。手数料優遇、ポイント連携、スムーズな資…
09:45
ヤフー・ファイナンス、ポリマーケットと提携し予測市場ハブを数カ月以内に開設へ
ヤフー・ファイナンスが予測市場プラットフォームのポリマーケットと提携し、新たな予測市場ハブを立ち上げる。経済や市場動向の確率データと分析を組み合わせて投資家を支援。
09:20
ビットワイズ、2026年にICO復活で数十億ドル規模の資金調達を予測 コインベーストークン販売サービス立ち上げを受け
仮想通貨資産運用会社ビットワイズのホーガンCIOが、コインベースのトークンセール・プラットフォーム立ち上げを受けて2026年にICOが資本調達の重要手段として復活すると予測。
08:50
モバイルゲーム大手KLab、ビットコインをトレジャリー資産として購入
モバイルゲーム開発のKLabが約2,000万円のビットコインを購入。国内では今夏以降、Defコンサルティング約50億円、イオレ約160億円など上場企業のトレジャリー戦略が加速。
08:30
JPモルガン、ベースチェーンで「JPMコイン」提供開始
JPモルガンが米ドル建て預金トークン「JPMコイン」を機関投資家向けにイーサリアムL2のBase上で提供開始した。B2C2、コインベース、マスターカードがテスト取引を完了している。
07:55
スイ、ネイティブステーブルコイン「USDsui」を年内ローンチ
ブロックチェーンのスイ(SUI)がネイティブステーブルコイン「USDsui」を年内に立ち上げる。ストライプ傘下のブリッジが発行し、主要プラットフォームとの相互運用性を備える。
07:12
サークル、独自ブロックチェーン「Arc」向けトークン発行を検討 USDC流通量は前年比2倍超
ステーブルコイン発行企業サークルがArcブロックチェーン向けネイティブトークンの発行可能性を発表した。第3四半期のUSDC流通量は前年比108%増の737億ドルに達し、純利益は202%増加している。
06:50
観光客向け消費税還付をステーブルコインで実証実験、韓国NH農協銀行がアバランチなどと協力
韓国NH農協銀行がアバランチ、ファイアブロックス、マスターカードと協力し、ステーブルコインを使用した観光客向け消費税還付のデジタル化実証実験を開始した。
06:10
ナスダック上場BTCマイナーBitdeer、米国で建設中のマイニング施設で火災発生
米オハイオ州で建設中のビットディアのビットコインマイニング施設で火災が発生し、2棟が炎上した。負傷者はなく、まだマイニング機器は設置されていなかった。
05:55
米SEC委員長、仮想通貨の分類体系を明確化へ
SECのアトキンス委員長が仮想通貨のトークン分類体系を数カ月以内に検討すると発表した。ハウイテストに基づき有価証券に該当するトークンを明確化し、ネットワークトークンやミームコインの多くは管轄外となる見込みだ。
05:30
世界初のZcash保有企業サイファーパンク、ウィンクルボス兄弟主導で91億円調達し20万ZEC取得
リープ・セラピューティクスが社名をサイファーパンク・テクノロジーズに変更し、プライバシー重視の仮想通貨Zcashを蓄積する戦略を発表した。ウィンクルボス・キャピタル主導で91億円を調達し、20万ZECを取得している。
11/12 水曜日
13:45
「仮想通貨は正当なポートフォリオ分散手段」 機関投資家のアプローチに大きな変化=シグナム
スイスのデジタル資産銀行シグナムが発表した最新調査で、回答した世界の機関投資家の89%が仮想通貨をすでに保有し、仮想通貨を投機ではなくポートフォリオの有効な分散投資手段とみなしていることが明らかになった。
13:00
米上場ターボ・エナジー、ステラ・タウラスと提携 スペインで再エネ融資をトークン化
ナスダック上場のターボ・エナジーがタウラス、ステラと提携し、スペインでクリーンエネルギー融資のトークン化実証実験を開始。ブロックチェーン活用で744億ドル規模のEaaS市場参入を目指す。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧