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EU、ロシア関連仮想通貨取引の全面禁止 デジタルルーブルも制裁対象に

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • EUが対ロシア第20次制裁を正式採択
  • 仮想通貨が制裁の主要標的となる新段階へ

仮想通貨に特化した制裁強化

欧州連合(EU)は23日、ロシアに対する第20次制裁パッケージを正式に採択した。これまでの制裁が主にエネルギー、金融、貿易分野に焦点を当ててきたのに対し、今回のパッケージでは暗号資産(仮想通貨)分野が新たに重要な標的となった。ブロックチェーン分析大手チェイナリシス(Chainalysis)は翌日公表した分析で、今回の措置を「暗号資産が制裁の主要対象となる新たな時代に突入」と評した。

2022年のウクライナ侵攻以降、ロシア政府は西側諸国の金融制裁に対応するため、2024年に対外貿易における仮想通貨決済を合法化。その結果、ロシアの国際決済手段として仮想通貨の存在感が高まっている。

 

EUは、ロシアが国際取引において仮想通貨への依存度を高めていると指摘しており、今回の制裁パッケージで、ロシアを拠点とする仮想通貨サービスプロバイダーおよび分散型プラットフォームに対する全面的なセクター別の禁止措置を導入した。

この禁止措置に加え、EUはロシア政府と関係の深い二つの仮想通貨を、新たに制裁対象に指定した。

  • ロシア中央銀行が開発中のデジタルルーブル(CBDC)
  • ルーブル裏付けのステーブルコイン RUBx
 

こうした指定措置は、EUがパーミッションレスのネットワークやセルフホスト型ウォレットを標的にするにとどまらず、ロシアがSWIFTの代替手段として開発を進めてきた仕組みそのものを直接名指ししているとチェイナリシスは指摘した。

 

また、ベラルーシに対しても同様の規制を適用し、期限を2027年2月28日まで延長した。

関連記事:EU、ロシア関連仮想通貨取引の全面禁止を提案 制裁回避を遮断

欧州連合はロシアの制裁回避を防ぐため、同国の仮想通貨事業者との取引を全面禁止する案を検討している。ステーブルコインA7A5やデジタルルーブルも標的とされるのに加え、キルギス経由の軍民両用商品の迂回取引やロシア産原油輸送規制も厳格化の対象となる。

第三国VASPを標的に

さらにEUは、ロシア政府系ステーブルコイン「A7A5」の取引に深く関与していたキルギス共和国の取引所 TengriCoin(Meer.kgとして事業展開) を制裁対象に指定した。チェイナリシスは、これを第三国の仮想通貨サービスプロバイダー(VASP)がロシア関連の仮想通貨を取り扱うリスクを明確に示す画期的な動きだと評価している。

チェイナリシスによると、A7A5は制裁下のロシア企業を国際金融システムに接続するための専用システムとして機能しており、累計処理額は1,197億ドルに上るとしている。2026年版仮想通貨犯罪レポートで同社は、そのうち933億ドル超が1年以内に処理されており、近年その活動が急激に拡大していると分析している。

制裁回避インフラも標的に

EUの制裁措置には、制裁回避に利用され得る金融インフラも対象として含まれている。

今回、ロシアのSWIFTとされる金融メッセージングネットワーク「SPFS」に接続するロシアの銀行20行と、第三国の金融機関・事業体4社が、新たに取引禁止の対象に加えられた。

さらに、ロシア関連主体とのネッティング取引が、EU制裁の回避を防ぐため禁止された。

ネッティング取引とは、当事者間の債権・債務を総額ではなく差額で決済する仕組みだが、ロシア関連取引においては、実際の取引相手を隠蔽するための構造的な手段として利用されてきたと指摘されている。

今回の禁止措置は、第三国を経由したブロックチェーン上の取引フローで一般的に見られる「レイヤリング(資金移動の多層化)」の手法を直接標的にしたものだ。

この措置は、仮想通貨のコンプライアンスにおいて特に重要な意味を持つとチェイナリシスは評価している。

今回の措置が発表されたタイミングも示唆に富んでいると同社は指摘する。2022年にサイバー犯罪活動を助長したとして米国から制裁を受けたロシア関連の取引所「Garantex」の後継とされるGrinexは、偽旗作戦との見方もあるサイバー攻撃を受け、2026年4月に業務を停止した。

関連記事:ロシア関連取引所グリネックス、約19億円ハッキング被害で運営停止 「敵対国家の関与」と主張

ロシア関連の仮想通貨取引所グリネックスが約19億円相当のハッキング被害を受け運営を停止。「敵対国家の関与」を主張し、当局への刑事告訴も実施。

中国がEU制裁に反発

中国商務部は、EUの対ロシア第20次制裁パッケージに中国企業および個人が含まれたことに対し、「強い不満と断固たる反対」を表明した。中国側はこれを「国連安保理の承認を得ない一方的制裁」および「EUによるいわゆる長臂管轄(ロングアーム管轄)」と批判し、対象となった中国企業・個人を制裁リストから直ちに削除し、対話と協議を通じて懸念を解消するよう求めている。

また、今回の措置は中国・EU指導者間の共通認識の精神に反し、相互信頼と二国間関係の安定を著しく損なうものだと指摘。中国は「必要な措置を講じて中国企業の正当な権益を守る」とし、「すべての結果はEU側が負う」と強い警告を発している。

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