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ドイツ証券取引所と独コメルツ銀行、不動産と美術品トークン化で共同投資

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

証券取引所と銀行のジョイントベンチャー

ドイツ金融界を代表するドイツ証券取引所(Deutsche Börse)とコメルツ銀行が、実物資産のトークン化と取引プラットフォーム開発を計画していることがわかった。

ドイツ証券取引所は、新たなデジタル資産市場の開拓を促進するベンチャー企業「360X」の立ち上げを発表。コメルツ銀行とともに共同出資する360X社は、ドイツのフランクフルトを拠点とし、既存の実物資産を対象にブロックチェーンを基盤とした新しい市場とエコシステムの開発を行う。まずは、美術品や不動産のトークン化に注力し、今年後半には製品化し販売する予定だという。

ドイツ証券取引所CEOのTheodor Weimer氏は、今後、多くの資産のトークン化・デジタル化が進むと考えており、取引所として新たな資産クラスに挑戦することが欠かせないと語る。

360Xの創業者兼CEOのCarlo Kölzer氏は、新しい取引プラットフォームは、これまで流動性の低かった資産クラスへの投資を容易にすると主張。同社のモットーは「資産クラスと資本市場のギャップを埋め、様々なモノへの投資を可能にする」ことだと述べた。

なお、Kölzer氏は、2000年に設立された電子外国為替プラットフォーム「360T」の共同創設者。同社は2015年、ドイツ証券取引所に約8億ドル(870億円相当)で買収された。Kölzer氏はドイツ証券取引所グループのFX部門グローバル統括者でもある。

お互いの強みを活かす

ドイツ証券取引所とコメルツ銀行はここ数年、積極的にブロックチェーン技術の活用に取り組んできた。

2019年に両社は共同で、取引後の証券決済に分散型台帳技術とデジタルトークンを用いた実証試験を成功させた経緯がある。コメルツ銀行が現金を、ドイツ証券取引所が証券をそれぞれトークン化し、ブロックチェーン技術を用いてトークンの同時交換を実現させた。

さらに、ドイツ証券取引所は、R3社が立ち上げたフィンテック企業HQLAX社と共同で、証券貸出プラットフォームを開発。2019年12月、コメルツ銀行は、金融大手のクレディ・スイス、UBSとともに、同プラットフォームを利用した証券貸出取引を実施した。

コメルツ銀行のManfred Knof最高経営責任者は、決済、証券、貿易金融の分野で、テクノロジー企業と提携しつつ、ブロックチェーン技術に取り組んできた豊富な経験に言及し、決済分野のパートナーとしての自信をみせ、次のように語った。

「我々は、実物資産をデジタル市場に持ち込む。360Xへの共同投資を通して、積極的に未来のデジタル資産エコシステムの一角を形成できると考えている。」

トークン化のメリット

これまで、流動性が低かった実物資産でも、トークン化と分割化することで、ブロックチェーン上で投資や取引が可能になる。

Kölzer氏は「デジタル資産は、指数関数的に成長する市場であり、360Xは大きな潮流となることを目指している」と語る。また、「デジタル市場にまだ存在しない資産のために、透明性と流動性のある取引の場を創造」することで、これまでアクセスできなかった資産への「革新的な投資チャンス」を提供し、金融セクターに付加価値をもたらすと強調した。

360Xはまず、美術品と不動産を対象とした取引プラットフォームを開発するが、拡張性の高い設計がなされているため、将来的には、他の資産クラスの取引も計画しているとのことだ。

ドイツの主要金融企業による実物資産のトークン化と市場の開発は、ブロックチェーン技術が実用化の段階を迎えたことを示唆しているようだ。

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