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ブロックチェーン技術が高級ブランドに与える影響とは——オントロジー創業者、Forbes誌に語る

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

オントロジー創業者のインタビュー

世界的経済誌Forbesは、分散型IDソリューション等の開発に取り組むオントロジーの創業者、Jun Li氏に独占インタビューを実施。Li氏は、ブロックチェーンのようなテクノロジーが、今日のファッション業界や美容業界、ブランド市場にどのような影響を与えるかについて、分散型IDの例を引き合いに出しながら語った。

Li氏が考えるブロックチェーンの影響

サプライチェーンの可視化

インタビュアーから「ブロックチェーン技術は、ファッション、美容およびブランド市場でどのように役立つのか」と尋ねられたLi氏は、まず、美容品やブランド市場などで重要視されている真正性の証明に、ブロックチェーンを活用できると主張した。ブロックチェーン技術を導入することにより、購入者は、商品の製造元を追跡および確認し、その商品が本物であるかどうかを検証できるという。

しかしLi氏は、真正性の証明以上に、サプライチェーン・プロセスの追跡確認および検証において、ブロックチェーンがその真価を発揮するだろうと述べた。

ブランド市場などでは、特に環境に優しくエコフレンドリーなソリューションへ向け、常に変化が起きている。ブロックチェーンを活用することにより、原材料が商品となり棚に並ぶまでの流れに沿って、このような変化を追跡できる。これにより高級ブランドは、原材料やサプライチェーンに関する重要な課題に対して、どのように対処しているかをユーザーへ示すことができる。

またLi氏は、ブランド市場が今後飛躍的に拡大していくことを見越し、オントロジーでは、ブランド市場でのNFT活用に向け、分散型ID保護システムを用意していると言及。オントロジー・ブロックチェーン活用を希望している企業は、オントロジーのデータ証明サービスを介することにより、データをブロックチェーン上に即座に移行し、そのデータをブロックチェーン上で保存できるという。

分散型IDをブランド市場で活用

Li氏はまた、オントロジーが提供する分散型IDが、どのように役立つのかについて、ブランド市場の文脈に沿って説明した。

ブランド市場におけるアイデンティティについて同氏は、「高級品や美容業界における顧客の嗜好は、その人が誰なのか、つまりその人のアイデンティティに起因している」と分析。分散型IDの導入により、顧客の名前、体重および目の色など、美容業界では偏見になってしまうような個人のアイデンティティは保護したまま、顧客の購入履歴を正確に追跡できるようになるため、顧客の特定の一部のみを明らかにできるようになると述べた。

セフォラやルイ・ヴィトンが、あなたの機密情報にアクセスせずとも、あなたは誰なのかをアイデンティティレベルで把握しているのだと想像してみてほしい。ブランド側は、今現在顧客が何を考えているかではなく、過去の購入履歴に基づき、例えばその人の最も適している化粧水を勧めるなど、顧客の高級品や美容品に関するニーズに、よりよく応えられるようになるだろう。

関連:分散型IDソリューションとは|オントロジーとThe Blockが共同レポートを公開

関連:自己主権型アイデンティティガイド|オントロジー(Ontology)寄稿

ブランド市場で活用されるブロックチェーン

ブランド市場やファッション業界では、主に真正性保証を目的に、ブロックチェーン活用に積極的な態度を示している企業が、いくつか存在している。

グッチがNFT活用に関心

仮想通貨業界外でのNFT活用例が増加する中、高級ファッションブランドもNFT市場参入に関心を示している。

ファッション誌「Vogue Business」は、高級ブランド、グッチ(Gucci)がNFTに関心を抱いていることを、21年4月に報じた。グッチ曰く、「高級ブランドがNFTをリリースするのは時間の問題」だという。またVogue Businessは、具体的な名を挙げていないものの、他にも複数の高級ブランドでNFTリリースが間近に迫っていると報道している。

一方で同誌は、NFTはまだ発展途上にあり、ファッションアイテムというよりアート作品として取り扱われていることや、高級ブランドバイヤーにとってNFTは、あまり洗練された体験ではない点などを、普及が妨げられている原因として挙げている。それに加え、ウォレットの設定が必要な点も普及への障壁となっているという。

関連:Gucciらの高級ファッションブランド、NFT市場参入か=Vogue Business

ルイ・ヴィトンがブロックチェーンで真正性証明

世界的高級ブランド、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)の親会社「LVMH」は、ブロックチェーン企業「Consensys」や、マイクロソフトと協業で、高級ブランド業界に特化したコンソーシアム型ブロックチェーン「AURA」を19年に発表。AURAでは、商品の材料を選ぶところから販売、さらには二次市場に至るまでの流通プロセスの追跡が可能で、顧客は、製造の記録やその商品の真正性を確認できる。

LVMHは21年4月に、高級ブランドのプラダ(Prada)およびカルティエ(Cartier)もコンソーシアムに参加したことを発表した。

Bloombergの報道によると、真正性証明および透明性向上にブロックチェーン技術を活用しているものの、仮想通貨での商品購入に対応する予定はないという。

関連:偽ブランド品排除へ ルイ・ヴィトンが真贋証明にブロックチェーンを利用|採用は企業版イーサリアム

関連:ルイ・ヴィトンの親企業などで開発、高級ブランドの真贋証明ブロックチェーンとは

高級時計の真贋保証

スイスの高級時計メーカー、ブライトリング(Breitling)は、時計の真正性保証のためにブロックチェーン技術を活用することを、20年10月に発表した。これには、高級品のデジタル認証の世界標準構築を目的としているコンソーシアム「Arianee」の技術が利用されている。

時計一つ一つには、シリアル番号などのデータを含むデジタル証明書が付属されており、これをブロックチェーンで管理することにより、その時計の真正性および所有権の正当性を証明することができる。他にも購入日や修理の記録など、製品の全履歴がブロックチェーンに登録される。また、時計を第三者に転売する際には、デジタル証明書をその購入者に転送するだけで、取引が完了する仕組みとなっている。

その他、データがブロックチェーン上に残っているため修理の申し込みが簡易化される、プロセスの追跡が可能になる、保険を有効化できるなど、多くのメリットがあるとしている。

関連:高級時計をブロックチェーン で真贋保証、スイス Breitlingが実利用

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