CoinPostで今最も読まれています

日本銀行、CBDCの実証実験「フェーズ2」開始

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

CBDC実証実験、フェーズ2開始

日本銀行は13日、第3回となるCBDC(中銀デジタル通貨)に関する連絡協議会を開催した。21年春より開始したCBDCに係る実証実験フェーズ1の完了とともに、22年4月からフェーズ2への移行を開始している。

日本銀行理事の内田眞一氏は、日本でCBDCを発行するかどうかは「現時点では決定していない」と改めて強調。その一方で、米国のデジタルドル、欧州中央銀行(ECB)によるデジタルユーロプロジェクト、中国人民銀行の開発するデジタル人民元など国際的にCBDC研究が進められる中、「今後(日本も)さまざまな環境変化に的確に対応できるよう準備をしていくべきだ」と述べ、実証実験の重要性を訴えた。

米ドルなど法定通貨にペッグされたステーブルコインの市場規模が、日本円換算で10兆円を優に上回る水準となっている点にも触れ、「マネーロンダリングやサイバーリスク、消費者・投資家保護、金融システムの安定への影響など様々な課題が解決される必要がある」「先進主要各国は、ステーブルコインに対し、厳格な規制で臨む方向になっている」と指摘した。

そのような背景からも、欧州の事例を基に、中央銀行が公共財としてCBDCを提供する可能性の意義を説いている。

その上で、今後日本でのCBDC発行は「日本銀行あるいは金融界だけで決められることではなく、国民的な判断になる」とコメントしている。

フェーズ1の実験結果

日本銀行は、CBDCに求められる機能や特性が技術的に実現可能かどうかを検証するための概念実証の第1段階である”フェーズ1”を21年4月より開始。CBDCに関する基本的な取引が的確に処理されるパブリッククラウド上の実験環境(モックアップ)で検証された。

フェーズ1は、当初の予定通り22年3月までに完了しており、3つの設計パターンで取引処理能力(スループット)や取引速度(レイテンシー)、サーバー使用率などを観測。いずれのパターンでも中央銀行から仲介機関に対してCBDCが発行され、エンドユーザーに対して払い出しするシステムを採用した。

  • パターン1:CBDCの保有状況を、仲介機関やエンドユーザーが有する口座の残高として認識する「口座型CBDC台帳システム」。また、中央銀行が全ての仲介機関とエンドユーザーの口座残高を記録する台帳を管理。
  • パターン2:パターン2:パターン1と同じ「口座型 CBDC 台帳システム」。中央銀行が、仲介機関(自己口・ユーザー口)の口座残高を記録する台帳を管理し、仲介機関は、それぞれ自らの顧客ユーザーの口座残高を記録する台帳を管理。
  • パターン3:一定額面の金銭データに固有の識別子(ID)を付与し、そうした ID とユーザーID の紐付けにより、CBDC の保有状況を認識する「トークン型 CBDC台帳システム」。

実証実験の結果、取引件数の増加を念頭としたリソースの拡充や、「構造面の障害耐性」が今後の課題として挙げられた。今後の概念実証フェーズ2では、フェーズ1で構築したCBDC台帳に追加の機能を実装して、検証結果の変化などを検証。実験期間は、22年4月〜23年3月までの1年間を予定している。

フェーズ2の詳細

新たに始まった”フェーズ2”では、フェーズ1で構築した実験環境に新たなCBDCの周辺機能を付け加えるほか、その実現可能性やシステムの処理能力等について実機検証や机上検証を行っていくという。

なお、CBDC台帳については、現時点ではどのパターンを採用するかは未定。フェーズ2では、以下の3つの分野に係る機能を主に検証していく予定だ。

  • 決済の利便性向上
  • 経済的な設計
  • 仲介機関間・外部システムとの連携

内田理事は、フェーズ2で実証する一つの機能として複数口座の「名寄せ」を挙げた。「ひとつの口座や仲介機関が使えなくなっても別のルート」を用意して、エコシステムの頑健性を確保できるか実験する。また、CBDCの保有額や取引額に対する制限も検証していく。

他にも、CBDCの保有額や取引額に対する制限も検証用に構築する関連機能に含まれている。

また、実証実験のフェーズ2と並行して、日本銀行はパイロット実験に関する検討や要素技術の調査・研究、そして海外動向のフォローも行っていく方針を発表した。

CBDCとは

「Central Bank Digital Currency」の略称で、各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された法定通貨を指す。送金コストの削減や効率性向上などが期待できる反面、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題も多い。

▶️仮想通貨用語集

関連:中央銀行デジタル通貨(CBDC)とは|ビットコインとの違いと主なメリット

関連:「NFTを国の成長戦略に」自民党デジタル社会推進本部・平将明議員インタビュー

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
05/20 月曜日
11:46
ビットコインの週末相場は高止まり、オンチェーンデータは「利確フェーズ」の終焉を示唆
FRBの利下げ期待を背景にNYダウが史上初の4万ドルに達するなど米国株指数が好調に推移する中、オンチェーンアナリストはSOPR指標を分析。2ヶ月間の利確フェーズが終わりつつあることを指摘した。
11:19
仮想通貨ウォレットのファントム、米国のApple Storeユーティリティランキング3位に浮上
ソラナ基盤の代表的な仮想通貨ウォレットとして普及した「Phantom Wallet (ファントムウォレット)」(現在はマルチチェーン対応)が、米Apple Storeのユーティリティ・アプリで3位にランクインした。
05/19 日曜日
12:00
ビットトレードのビットコイン・ピザ・デー記念キャンペーン シバイヌなどが当たるチャンス
暗号資産(仮想通貨)取引所ビットトレードの特別企画。ビットコイン・ピザ・デーを記念して、シバイヌ(SHIB)やドージコイン(DOGE)も含む豪華景品が当たるラッキールーレットキャンペーンが開催される。2024年5月20日から24日までの期間限定。
11:30
オプション市場では6.5万ドルと7万ドルストライクに建玉集中、翌週の展望は?|bitbankアナリスト寄稿
CPI発表後のテクニカル分析や6.5万ドルと7万ドルストライクに建玉集中するオプション市場を踏まえ、bitbankのアナリスト長谷川氏がビットコインチャートを図解。今週の暗号資産(仮想通貨)相場考察と翌週の展望を探る。
11:00
週刊ニュース|金持ち父さん著者キヨサキ氏のBTC投資推奨に高い関心
今週は、金持ち父さん著者ロバート・キヨサキ氏による仮想通貨ビットコイン・金・銀投資の推奨、ジャック・ドーシー氏のビットコインについての発言、GameStop株やミームコインの暴騰に関するニュースが最も関心を集めた。
05/18 土曜日
21:00
Clearpool Prime、アバランチでデビュー RWA対応のプライベート・クレジット市場
Clearpool Primeがアバランチでローンチし、RWA分野に新たな進展。機関投資家向けに安全かつ効率的な取引環境を提供するプライベート・クレジット市場。
17:20
バイナンス上場銘柄の80%が価値低下、ミームコインは異例の上昇 過去6か月の分析
31トークン分析が示す課題 暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(グローバル版)で、過去6か月に新規上場したトークンの80%以上が、その後に価値を落としていることがわかった。ミ…
13:00
米国のビットコイン現物ETFへの5月の流入額、4月の流出上回る
ブルームバーグのETFアナリストは、5月に入ってからの米国ビットコイン現物ETFへの流入は、4月の流出を埋め合わせたと指摘した。
11:10
米下院、SECの仮想通貨規制役割明確化の「FIT21法案」を採決へ
米国下院は、仮想通貨に対する規制を明確化し、CFTCに追加権限を与える「21世紀のための金融イノベーション・テクノロジー法」の採決を行う。
10:15
米コインベース、「来週イーサリアム現物ETF承認確率は30~40%」
米仮想通貨取引所コインベースはイーサリアムの今後を予測するレポートを発表した。ETH現物ETFが承認される時期などについて分析している。
08:50
仮想通貨取引所クラーケン、欧州でUSDT非対応を検討
テザーCEOは最近、MiCA規制を批判し、仮想通貨USDTで規制を受けるつもりはないと述べた。この姿勢が、欧州で事業を行っているクラーケンが、それらの通貨ペアの提供を停止する理由と見られる。
08:00
「仮想通貨上昇の鍵はマクロ経済」コインベース分析
仮想通貨相場上昇の鍵は今もマクロ経済であるとコインベースは分析。他にも、イーサリアム現物ETFの審査など規制動向も注視すべきだとした。
07:10
ソラナ価格、月末までに200ドル復帰か ヘッジファンド創設者が予測
仮想通貨ソラナの今後の価格について、ヘッジファンドSyncracy Capitalの創設者は強気な予測を示した。その根拠とは?
06:10
zkSyncエアドロップ期待再燃、分散化加速のアップグレードを実施予定
zkSyncは未だ独自の仮想通貨をリリースしていないが、主要zkロールアップであるライバルのStarkNetは2月にエアドロップを実施した。
05/17 金曜日
17:34
東京ビッグサイトで第5回ブロックチェーンEXPO【春】開催へ 無料申し込み募集開始
東京ビッグサイトで、日本最大級のブロックチェーン専門展である第5回ブロックチェーンEXPO【春】が開催されます。最新の研究からアプリケーションまで、ブロックチェーン技術のすべてが一堂に出展するイベントは必見です。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア