CoinPostで今最も読まれています

JPモルガンCEO「仮想通貨リブラの影響は限定的」大手銀決済事業への打撃が指摘される中で

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

リブラが銀行の消費者金融に与える影響とは
Facebookの仮想通貨リブラの影響で、銀行の消費者向けクレジットカード事業が打撃を受けると分析する専門家もいる中、同分野で高収益部門を有する米大手銀行JPモルガンとCitiグループCEOが見解を示した。

JPモルガン、シティグループCEOらが「リブラ」に言及

フェイスブック社主導の仮想通貨リブラは、現在、世界の政財界でも大きく懸念される存在となっている。米上院銀行委員会と下院金融委員会で公聴会が開かれる一方で、フランスで開催中のG7財務相・中央銀行総裁会議でも議論され、規制による早急な対応の必要性が確認された。

国境のない金融インフラを目指すというリブラの構想は、世界の国家レベルでの懸念を引き起こすと同時に、既存の銀行業界の収益モデルにも影響を及ぼすことは想像に難くない。

中でも、銀行が運営する消費者向けのクレジットカード事業は、リブラのような決済サービスの登場により打撃を受ける可能性があると分析する専門家もいる。

米WSJ紙によると、米メガバンクのシティグループとJPモルガンのクレジットカード部門の決算は、今年4月から6月の四半期、それぞれ8%と11%以上の増収となったが、モルガン・スタンレーのアナリスト、Betsey Graseck氏は、まさにその高収益部門の手数料が、リブラによって挑戦を受け、収益が圧迫される可能性を指摘した。

リブラのような事業によって、現行のシステムにおける摩擦が浮き彫りになり、手数料をカットするチャンスだと捉えられることが多々ある。マージンを削減できる時代遅れのビジネスだと見る人々もあるだろう。

ARK Invest社のフィンテックアナリストであるMaximilian Friedrich氏は、クレジットカード部門による銀行の収益に占める大きさについて次のように説明している。

我々の調査と企業申告から、クレジットカード発行銀行は、交換手数料として取引の最大80%を獲得し、その交換手数料は一部の銀行では年間収益の10%以上、利息以外の収入の25%近くを占めていることがわかっている。

そのため、リブラが売上交換手数料のような支払いの摩擦を減らし、銀行の手数料収入の流れを脅かす可能性があると指摘した。

シティグループ最高経営責任者の意見

このような状況の中、シティグループCEOのMike Corbat氏は、リブラのホワイトペーパーを幾度か読んだことがあり、その技術に関しては否定的ではないことを明らかにした。

(リブラには)補完的および質的な側面で好ましい点はいくつかあると思うが、疑問を投げかける人もいると思う。リブラは、実現するかどうかが問題なのではなく、実際そのデジタル通貨が誕生する際に、それがコンソーシアム型として運営される通貨となるのか、それとも連邦準備銀行のような中央銀行主導型の通貨となるのかが重要だ。

また、現実として、市場が変化している事実に言及するほか、 「24時間365日、リアルタイムで摩擦のない、普遍的なグローバルなお金の動きと支払いに向かって急速に変わっていく可能性が高い。」と述べた。

JPモルガン最高経営責任者の意見

一方、JPモルガンCEOのJamie Dimon氏は、リブラの影響については限定的だとの考えのようだ。

我々は7年間ブロックチェーンについて議論してきがが、これまでほとんど何も起こっていない。そして、今から3年後にもリブラについて話しているだろうから、私はそれに関して多くの時間を費やすことはない。

さらに、大手銀行は既に安全かつ比較的安価な方法で、消費者、企業を問わず、1日当たり6兆ドル(約646兆円)超を動かしていると述べるとともに、いかに消費者がクレジットカードを好んで使っているかについて強調し、リブラからの影響は大きく問題視していない姿勢を見せた。

以前リアルタイムの支払いはなかったが、現在はZelle(アメリカの個人銀行口座間の送金サービス)がP2P支払いを提供している。我々は、お金とデータを移動させるのに役立つAPIやブロックチェーン元帳を含め、将来必要なものを構築しているところだ。

リブラのサービス運営を担うのは、クレジットカード大手のビザやマスターカード、決済大手のPaypalも加入する「リブラ連合」だ。銀行業界が決済大手とどのように折り合いをつけていくのか、大変興味深いと言える。

同時に、グローバルレベルで、国家主権や為替安定の機能が脅かされる可能性を危惧し、政治的圧力もかかる中、リブラプロジェクトが、これからどのように展開していくのかは、まだ先が見通せない状況であることも確かである。

CoinPostの注目記事

ビットコイン(BTC)が100万円台を維持した理由 米公聴会における温度感の変化と今後の注目点
2日連続で行われた公聴会。上院の追及内容に対し、下院では仮想通貨市場に影響が及ばなかった理由を解説。今後の注目ポイントも併せて掲載。
G7財務省会議「(仮想通貨)リブラ規制は早急に対応すべき」との見解で一致
フランスで開催中のG7財務相・中央銀行総裁会議は、国家主権に関わる「通貨発行」に対する懸念があるとして米フェイスブックが計画する仮想通貨リブラについて議論を進め、規制面など早急な対応を取る方針で一致した。
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
05/14 火曜日
18:00
オントロジー DIDソリューション普及のため、15億円規模の基金を設立
分散型ID(DID)とデータ共有を可能にする高速で低コストのブロックチェーンプラットフォーム、オントロジーは1,000万ドル規模の「Ontology DID FUND」を設立。プロジェクト提案は専用フォームから迅速に申請可能。
14:23
ビットトレードがシバイヌ貸して増やすの特別募集を開始
ビットトレードが年率48%のシバイヌ(SHIB)の貸して増やす・貸暗号資産の特別募集を開始。さらに、ビットコイン・ピザ・デー記念キャンペーンでAmazonギフトカードが当たる施策も実施中。
14:17
SBI VCトレード、アプトス、ヘデラ、ジパングコインを新規上場へ
SBI VCトレードが暗号資産(仮想通貨)アプトス(APT)、ヘデラ(HBAR)、ジパングコイン(ZPG)の取扱いを開始へ。販売所や貸コインなど、フルラインナップサービスを提供します。ステーキング銘柄取扱い数は、国内最大級となる。
13:00
テザー社CEO、リップル社CEOを非難
ステーブルコインUSDTを発行するテザー社のパオロ・アルドイノCEOは、「米国政府はテザーを狙っている」というリップル社のブラッド・ガーリングハウスCEOの発言を強く非難する声明を出した。
12:36
CPI控えビットコイン様子見基調、縮小するコインベース・プレミアムが示唆するものは
暗号資産(仮想通貨)市場では命運を握る15日のCPI(米消費者物価指数)発表を控えポジション調整の動きが散見された。一部アナリストは、コインベース・プレミアムの縮小を根拠にエントリーのタイミングを見計らっている。
11:30
OpenAI、生成AIの革新的ニューモデル「GPT-4o」公開
ChatGPT開発で知られるOpenAIは「GPT-4o」と呼ばれる新たなAIモデルを公開した。音声、画像も入出力可能で、人間とより自然なやり取りができる。
10:47
R・キヨサキ氏、仮想通貨に関するBRICSの動向に注目
『金持ち父さん 貧乏父さん』の著者ロバート・キヨサキは、BRICSによる金を裏付けとする仮想通貨発行の噂に注目していると指摘。ビットコイン・金・銀への投資を推奨した。日本では、老後4000万年問題が取り沙汰されている。
09:50
中国の警察、仮想通貨による400億円以上の違法取引を摘発
中国吉林省の警察は、仮想通貨を使用して400億円規模の違法な人民元・韓国ウォン取引を行っていた疑いで犯行グループを摘発した。
08:45
ArbitrumとBase利用のレイヤー3チェーンDegen Chain、24時間以上稼働停止
「Degen Chain」という仮想通貨イーサリアム系のレイヤー3ネットワークは、24時間以上トランザクション処理が停止している。このブロックチェーンはArbitrumとBaseを利用している。
08:00
Jupiterローンチパッド投票第三弾、deBridgeなどが参加
仮想通貨ブリッジサービスのdeBridgeは今回の有力候補とされている。これまで20億ドル相当のブリッジボリュームを記録し500万ドル以上の手数料を徴収してきた。
07:26
トランプ前大統領、10億円相当の仮想通貨を保有か
米トランプ前大統領が10億円相当の仮想通貨を保有していることなどを公表し、Arkhamが著名人の所有額を比較。同氏はミームコインのTRUMPの次にイーサリアムを多く保有している。
06:40
エルサルバドル、ビットコイン保有の追跡サイトを公開
同国は現在5,749.76 BTCの仮想通貨ビットコインを保有しており、565億円に相当する金額だ。
06:20
GameStop株やミームコインが暴騰
仮想通貨市場では「GMCIミーム指数」は、301.1で7.67%上昇。GMEミームトークンは前日比で1,200%以上高騰した。
05/13 月曜日
15:05
リップルCEO「米国政府は、ステーブルコインUSDT発行企業のテザー社を標的にしている」
リップル社のブラッド・ガーリングハウスCEOはインタビューで、米国政府がステーブルコインUSDTの発行企業テザーに監視の目を強めていることを注視していると語った。
14:32
ユニスワップ創設者ら、SECの仮想通貨規制はバイデンの大統領選に悪影響と指摘
ユニスワップの創設者らは仮想通貨業界に対する米SECの姿勢を批判し、大統領選で現職バイデン氏の再選に不利になる可能性を示唆した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア