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Flare Networkとは|XRPにスマートコントラクトを

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

リブランドを経てFlareトークンへ

米証券取引委員会(SEC)との有価証券問題を巡る裁判の結果に注目が集まっている米リップル社であるが、その裏でXRPと関係の深いプロジェクト「Flare Network(フレアネットワーク)」の開発が着実に進行している。

フレアネットワークは元々、XRPの機能を拡大することを目的に20年に企画が開始されたプロジェクトではあるが、その後リブランディングやトークン名称の変更を経て、22年7月に元来のデザインより機能の充実した新たなブロックチェーンをリリースした。

22年末現在、フレアネットワークはバリデータの試験段階にあるが、23年1月にはこの段階は終了し、XRP保有者の一部へネイティブトークンである「Flareトークン(FLR)」がエアドロップされる予定であることから、特にリップルユーザーからの注目度が高まっている。

本記事では、フレアネットワークとXRPの関係性や、リブランド後の開発状況、今後の計画について解説していく。

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フレアネットワークとは

フレアネットワークとは、「Connect everything(すべてをつなぐ)」をコンセプトに掲げた、相互運用性に焦点を当てているL1チェーンだ。

米リップル社のビジネスユニット「RippleX」を初め、米最大手暗号資産投資企業「DCG」や「Coinfund」の出資も受けていることで知られている。

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元々はXRPの基盤技術となっている「XRPL(XRPレジャー)」やその他L1チェーンにスマートコントラクトを実装し、その機能を拡大することを目的に開発が開始されたものの、その後従来の方針からは大きく舵が切られ、22年7月に新たなネットワークとして再ローンチされた。

その際にネイティブトークンの名称も「Sparkトークン」から「Flareトークン」へ変更されている(ティッカーは両方ともFLR)。

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以下がフレアネットワークの主な特徴だ。

相互運用性の強化

ブロックチェーンにおける相互運用性(interoperability)とは、異なるブロックチェーン同士が互いにコミュニケーションを測る能力を意味している。

現在プライベートなものからパブリックチェーンまで、異なる機能を提供するブロックチェーンが無数に存在しているが、ユーザーの観点から見れば、複数のチェーンに資産を保有していたとしてもチェーン間の資産移動が手軽にできなければ、実用性は低いままである。

フレアネットワーク最大の特徴が、この相互運用性を促進できるよう、ブロックチェーンを跨ぐ資産やデータの、スムーズかつ安全な移行を可能にしている点だ。これにはユーザーへの利点があるのはもちろんのこと、開発者にとってもdApps構築の際に、一回のデプロイで複数のコミュニティおよびエコシステムに対応できるようになるため、より広範囲の市場に効率的にアクセスできるというメリットがある。

分散性の促進

フレアネットワークでは、ブロックチェーンの分散性を損なわずに相互運用性を促進することに重点を置いている。そのため、フレアネットワークと他のL1チェーンを繋ぐブリッジや、オラクル(ブロックチェーン外のデータをオンチェーンに持ち込む技術)およびコンセンサス・メカニズムにも、分散性を重視した独自の技術を採用している(下記参照)。

EVM対応

フレアネットワークはEVM(イーサリアム仮想マシン)と互換性があるため、開発者はイーサリアムで実装されているスマートコントラクトおよびdApps、ならびにイーサリアム用の開発ツールを、そのままフレアネットワークで利用することができる。

設計・機能

フレアネットワークでは、上記の利点を実現するために、以下のような特徴的な機能が実装されている。

State Connector

State Connectorとは、フレアネットワークで採用されている外部ネットワークの正当性を検証するためのコンセンサス・メカニズムだ。具体的には、例えば、イーサリアムで実行されたロック、ミントまたはバーンなどのアクションが正当かどうかを検証し、フレアネットワーク上のスマートコントラクトにその情報を提供することなどが可能だ。基本的にはどの外部ネットワークとも互換性を持つように設計されている。

State Connectorでは、Attestation Provider(AP、バリデータのような役割)という参加者によってコンセンサスが形成されるが、誰でもAPになることができるだけでなく、誰でもAPに外部ブロックチェーンで実行されたトランザクションの正当性検証を依頼できる。このような仕組みにより、分散性が保証されているため、開発者は、中央集権的リスクの心配をすることなくフレアネットワーク上で外部データを用いた開発が可能になる。

これに加えState Connenctorでは、ステーキング(担保としてプロトコルに一定額資産を預け入れること)モデルを利用したデータや資産の移行も可能だ。一般的にこのモデルでは、異なるチェーン間で資産やデータを動かしたいユーザーがいた場合、リレーヤー(Relayer)と呼ばれる行為者が、ユーザーに代わってその転送を担当するのだが、リレーヤーは一定の資産を担保としてプロトコルにステーク(預ける)必要がある。仮にリレーヤーが不正を働きユーザーの資産を抜き取った場合は、預けられた資産が没収(=スラッシュ)される。

通常このスラッシュは、ガバナンスの総意により実行が決定されるが、State Connectorでは自動的に実行されるため、より安定した設計だと考えられている。

FAsset

方針転換以前の「XRPにスマートコントラクトを」というコンセプトは、新フレアネットワークへも引き継がれており、彼らが提供する「FAsset」という機能を活用することにより、XRPだけでなくBTC、DOGEなどのその他のスマートコントラクト非対応チェーンの資産もフレアネットワークに持ち込むことができる。フレアネットワークに持ち込まれたトークンは、フレアネットワーク上のDeFi(分散型金融)アプリやNFT(非代替性トークン)分野で利用可能だ。

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最初のうちは、BTC、XRP、LTC、DOGE、ALGO、FILおよびXLMの7種類に対応する予定だという。

仕組みとしては、Flareトークンを担保とした過剰担保型レンディングのような設計になっている。例えば、外部のBTCをフレアネットワークに持ち込みたい場合、Flareトークンの保有者が担保としてFLRをプロトコルに預け、フレアネットワーク上でのBTC「FBTC」を発行する。FBTCの価値は、フレアネットワーク開発のオラクル(次章参照)を介して外部のBTCの価値と連動させている。FLRの価格が下落してもFAssetの価値を保証できるよう、発行したFAsset(上記の例ではFBTC)以上の価値を、常に担保として維持しておく必要がある。

過剰担保レンディングについて、詳しくはこちら

フレアネットワークによると、ブロックチェーン分野における総価値の約3分の2はスマートコントラクト非対応チェーンに存在しているそうで、そのような資産をDeFiやNFT領域に持ち込むことにより、それらの価値を最大限まで利用できるようになることが期待される。

FTSO

フレアネットワークの運営に欠かせない機能の一つが、Flare Time Series Oracl(FTSO)と呼ばれる分散型オラクルだ。オラクルとは、外部トークンの価格などを含むオフチェーンデータをブロックチェーン上に持ち込む際に利用される技術を指す。

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関連:真の分散型システムに不可欠なPLUGINのオラクル・ソリューションとは?

従来のオラクルの多くが幾分か中央集権的な組織に依存して外部データを取得しているのに対し、フレアネットワークのFTSOでは、独自の価格取得システムを構築したフレアネットワークとは関係のない第三者(「データ提供者」と呼ぶ)が、FTSOに外部データを提出できるようにすることにより、分散型のオラクルを提供している。彼らは正しいデータを提供することにより、FLRを報酬として獲得できる。

データ提供者の報酬額は、彼らが「デリゲータ」と呼ばれる参加者から委任されたFLR量に比例している。デリゲータとは、信頼するデータ提供者にFLRを委任する参加者を指している。データ提供者が正しいデータを提供し報酬を受け取った際には、デリゲータも報酬の一部を獲得できる。つまりデリゲータから「信頼できるデータ提供者」とみなされることがデータ提供者の報酬増加に繋がるため、デリゲータはデータ提供者が正しいデータを提出するインセンティブとなっている。

Layer Cake

Layer Cakeとは、フレアネットワークで利用されている分散型ブリッジだ。ブリッジとは、異なるネットワーク間のトークンや情報移送に使用される技術であり、Layer Cakeは、フレアネットワークを含む、スマートコントラクト対応チェーン間での資産の移動を担っている。上述のFAssetにも対応している。

Layer Cakeでは、「処理能力提供者(Bandwidth Provider)」という行為者がチェーン間の資産移動を担当しているが、彼らはオラクルのデータ提供者と同じで一定額をプロトコルにステークしなければならない。仮にBandwidth Providerが適切にユーザーの資産を動かさなかった場合、ステークされた資産は没収される。

このような仕組みを活用することにより、フレアネットワークでは分散型のブリッジを可能にしている。

関連プロダクト

Songbird

フレアネットワークには「ソングバード(Songbird)」という試験的ネットワークも構築されている。ソングバードではガバナンス機能や上述のFAssetやFTSOが実験的に運用されており、プロトコルへの変更があった際には、先にソングバードネットワークで試験的に実装される。また独自のトークン「Songbird(SGB)」もリリースされている。

関連:Flare Networksが実験的プラットフォーム構築へ 独自トークンのエアドロップも予定

Flare Finance

Flare Finance(フレアファイナンス)とは、フレアネットワーク上に構築されたDeFiプラットフォームだ。フレアネットワークからは独立した匿名のメンバーが開発している。

「DeFi」プラットフォームだとは謳っているが、必要に応じてKYC(身元確認)やAML(アンチマネーロンダリング)規制に従うと、公式ホームページでは述べている。イールドファーミングDEX(分散型取引所)から開発者ツールや、さらには税金計算まで、多種多様な機能が提供されている。

関連:Flare Network上のDeFiプラットフォーム「Flare Finance」 Songbird上のベータ版開始を発表

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コンセンサス・メカニズム

フレアネットワークでは、 「Federated Byzantine Agreement (FBA) 」を基盤にしたAvalancheコンセンサス・アルゴリズムが採用されている。

「Federated Byzantine Agreement (FBA) 」とは、ビザンチン耐性を持つコンセンサス形成方法の一つだ。ビザンチン耐性とは、ノードの一部が、正しく反応しなかったり悪意を持った行動を取った時であっても、そのようなノードの数が一定数以下であれば、ネットワークが正常に機能し続ける能力」を指す。

一方でAvalancheとは、「各ノードは周りのノードの大多数の意見に合わせる」 というルールを基盤とした、スケーラビリティおよび分散性を特徴としたコンセンサス・アルゴリズムだ。

関連:初心者でもわかるAvalanche(アバランチ)とは|注目すべき点や将来性を解説

要するにフレアネットワークでは、「ノードの一部が機能しなくてもネットワークが機能し続けられるような、スケーラビリティおよび分散性に焦点を当てたコンセンサス・メカニズム」が採用されている。

フレアネットワークがこのような独特なメカニズムを使用している背景には、「ネイティブトークンのステーキングが必要なPoS(Proof-of-Stake)では、ネットワークの安全性はステーク額に比例するためトークンの価値が上昇していく必要があり、ステーク額よりも格段に大きな時価総額を抱えるプラットフォームがネットワークに存在していた場合、そのネットワークの安全性は、ステーキングによって保証されていない」と考えているからだという。

関連:仮想通貨のPoS(プルーフ・オブ・ステーク)とは|PoWとの違いとメリットを解説

Flareトークン

フレアトークンのネイティブトークンは「Flare(FLR)」と呼ばれており、22年9月に「Spark」から名称が変更された。総発行数は1,000億FLRで、そのうち583億FLRがコミュニティへ、192億FLRが開発チームやアドバイザーへ、そして残りの225億FLRがフレアネットワークの開発主体や投資へ割り当てられている。

ネットワークは既にローンチしているものの、トークン自体は未だリリースされておらず、23年1月9日に全1000億FLRがリリースされる予定だ。トークンの使い道に関するさらなる詳細は、1月14日に予定されているフレアネットワークの分散型ガバナンスにて、トークン保有者により決定される。

とはいえ、発行総数のうちの15%である約40億FLRがXRP保有者へエアドロップされることは既に決定している。エアドロップが実行されるのは、他のトークンのリリース日と同じ1月9日だが、スナップショット日は既に終了しており、このエアドロップには、バイナンスやCrypto.com、Krakenなど、40以上の取引所がサポートを表明している。日本では、bitFlyerやDMM BitcoinのXRPユーザーへFLRが配られる予定だという。

エアドロップに関する詳細はこちら

関連:bitFlyer、仮想通貨フレア(FLR)のエアドロップ付与と取り扱い開始へ

関連:米コインベース、仮想通貨フレア(FLR)の付与に意欲

トークンの使用用途

以下がFLRの主な用途だ。

  • FTSOにおけるデリゲータによる委任
  • FAssetにおける担保
  • Layer Cakeにおける処理能力提供者の担保
  • データ転送の際の担保
  • フレアネットワーク上に構築されたdappにおける担保
  • ガバナンス参加権
  • ネットワーク使用料の支払い
  • パートナーシップ

    フレアネットワークは、業界内外の多数の企業およびプロジェクトと提携をしている。

    Google Cloud

    フレアネットワークは、22年11月にGoogle Cloudとの提携を発表し、ブロックチェーン用のAPIサービス提供を開始した。これにより、Google Cloudのユーザーは、ノードを立てることなく、フレアネットワークおよびフレアネットワークに接続されているブロックチェーンへアクセスできるようになるという。

    今後の開発においては、フレアネットワークのAPIおよび関連サービスをGoogle Cloudのマーケットプレイスに統合することが計画されている。これによりGoogle Cloudのユーザーは、既存のアカウントから追加料金なしで、Google Cloudプラットフォーム内でフレアネットワークのAPIを活用できるようになる。

    Gala Games

    日本でも著名なブロックチェーンゲーム企業「Gala Games」もフレアネットワークと提携しているプロジェクトの一つだ。この提携では、Gala Gamesのゲーム関連のNFTを、フレアネットワーク上で発行できるようにし、フレアネットワークにおけるゲーム・エコシステム拡大を目指しているという。

    関連:NFT(非代替性トークン)を活用したソーシャルゲーム開発企業、Gala Gamesとは

    Metropolis World

    NFT分野でフレアネットワークと協業しているのは、Gala Gamesだけではない。メタバースプラットフォーム「Metropolis World」も、フレアネットワークとの提携を開始した。Metropolis Worldは既に他のメタバース・エコシステムと接続されているため、今後はMetropolis Worldがフレアネットワークおよびその他メタバース・エコシステムを繋ぐブリッジのような役割を果たすという。

    フレアネットワークのCEO兼共同創設者、Hugo Philion氏は以下のように語っている。

    相互運用性は、ブロックチェーンだけでなくメタバースにとっても重要な課題だ。我々は相互接続されたメタバースというMetropolisと同じ目標を掲げている。Metropoliceの主要パートナーとして、全てのユーザーが安全に資産を動かせるように、分散型かつ安全性が保証されたLayerCakeブリッジを実装していく。

        

    Litecoin

    フレアネットワークは21年にライトコインとの協業を発表しており、これによりフレアネットワーク上でFAssetとしてLTCを利用できるようになった。

    連:リップル社出資のプロジェクト「Flare Networks」、ライトコイン(LTC)を統合へ

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