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仮想通貨取引所コインエックス、イラン制裁回避の主要経路と判明 38億ドル超

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • コインエックスとノビテックスの取引は7年で27億ドル、1日平均約100万ドル
  • コインエックスの不正取引比率は約8%で、準拠取引所の平均0.3%を大幅に上回る

38億ドルの資金フロー

ブロックチェーン分析会社のTRMラボは24日、仮想通貨取引所コインエックス(CoinEx)と制裁対象のイラン関連事業者との間で、7年超にわたり38.4億ドル超のオンチェーン資金動向を追跡したレポートを公表した。ウォール・ストリート・ジャーナルも同日、同調査に基づく報道を行った。

最大の取引相手は、イラン最大の国内仮想通貨取引所ノビテックス(Nobitex)だ。2018年11月以降、両取引所間では約620万件の個別ブロックチェーン送金を通じて27億ドル超が移動し、1日平均約100万ドルのペースが続いた。ノビテックスがコインエックスに送った金額は受取額を約3億6,000万ドル上回っており、制裁下にあるイランが国際流動性を確保するため仮想通貨を系統的に国外へ送出していた実態を示す。

コインエックスは2017年に旧テンセント社エンジニアのハイポ・ヤン氏が香港で創業した取引所で、現在はセーシェル共和国に本社を置く。

ノビテックスとの取引は2020年から急増し、2021年には年間取引高が5億7,500万ドルに達した(前年比約45倍)。2022〜2023年に一時減少した後、2024年に7億1,400万ドル、2025年には7億6,300万ドルへ再拡大した。2025年時点でコインエックスはノビテックスの最大の外部取引相手となっており、2位の取引所の約9倍の規模だった。

背景:米財務省、イラン関連仮想通貨の押収累計額が1600億円相当に

米財務省ベッセント長官は、イラン政権に関連する仮想通貨の押収総額が約10億ドルに達したと明らかにした。4月末時点の約5億ドルから倍増しており、ウォレットを直接差し押さえた事例もある。

60超のイラン事業者と接続

TRMラボはノビテックスのほか、ウォーレックス、ラムジネックス、ビットピン、アバン・テザー、エクスコイノ、ビット24など60超のイラン仮想通貨事業者とコインエックスとの直接取引を確認した。イランの主要取引所はいずれも総取引高の約5〜10%をコインエックス経由でルーティングしており、独立した市場行動では説明しにくい、組織的な取り決めを示唆するパターンだとしている。

コインエックスへのイラン事業者のオンボーディングは2018〜2022年にかけて段階的に進んでおり、TRMラボはこのパターンを自然発生的な採用ではなく、組織的な顧客獲得の展開と一致すると指摘した。コインエックスの不正取引比率は約8%で、準拠取引所に一般的な0.3%の閾値を大幅に上回る水準だとしている。

資金洗浄スキーム

TRMラボは、イラン中央銀行がナショナル・イラン・エクスチェンジ(NIE)を通じて運営したマルチチェーン資金洗浄スキームにより、2025年6月〜2026年6月の間に約6,700万ドルがコインエックスのアドレスに流入したと指摘した。NIEのウォレットはTRONチェーン上のテザー(USDT)で500万ドルを超える大口入金を受け取り、これを複数に分割してイーサリアムへのクロスチェーンブリッジに通した後、最終的にコインエックスへ資金を送った。

さらに、コインエックスはIRGC(イスラム革命防衛隊、米国指定の外国テロ組織)に関連するウォレットへの186件・約600万ドルの取引、パレスチナ・イスラミック・ジハードへの約37万4,000ドルの送金、ヒズボラ関連ウォレットとの直接取引も確認された。

マイニングプール「ビアBTC」の役割

コインエックスの親会社ビアビーティーシー・テクノロジー・リミテッドが運営するマイニングプール「ビアBTC」も、このネットワークの重要な構成要素だ。2018年以降、ビアBTCとノビテックス関連ウォレットの間では約447万件の送金を通じて1億5,400万ドル超が移動し、ほぼ全てがビアBTCからノビテックスへのマイニング報酬として流れた。

2025年に発生したサイバー攻撃集団「プレデトリー・スパロー」によるノビテックスへのサイバー攻撃後、休眠状態だった117のビットコインマイニングウォレットが一斉に稼働し、新たなノビテックスのホットウォレットへ約270万ドルを送金した。TRMラボはこの資金フローにビアBTCの関与を確認しており、ノビテックスがハッキング後の流動性回復にビアBTCのマイニング準備資金を活用したとみている。

制裁発動後の動向

米国財務省の外国資産管理局(OFAC)は6月2日、ノビテックス、ビットピン、ウォーレックス、ラムジネックスの4取引所に制裁を発動した。この4取引所はイランの2025年仮想通貨取引高(99億ドル)のうち約78%(77億ドル)を占める。制裁発動後、コインエックスはホットウォレットを切り替え、イラン関連取引所との取引高は15万ドル未満に急減した。

ヤン氏はWSJの取材に対し、コインエックスはイラン人ユーザーの新規受付を停止し、確認できた既存イランユーザーの削除を進めていると述べた。ノビテックスへの制裁を受けて「リスクが高まっていると認識した」ためだとしている。

なお、OFACは今年1月にも、IRGCのフロント企業として機能したとされる英国登録のゼドセックスとゼドシオンに制裁を発動しており、今回はイランの仮想通貨インフラを標的とした5か月で3度目の執行措置となった。

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