- スタンダードチャータードが2030年末のAAVE目標価格を3,500ドルに設定
- DeFi資産残高が2030年末に現在の37倍・約2.7兆ドルへの成長を前提とした試算
50倍目標を設定
英大手銀行スタンダードチャータードは24日、分散型レンディングプロトコルのアーベ(Aave)を新規カバレッジ対象に加え、ネイティブトークンAAVEの2030年末目標価格を3,500ドルに設定したと、The Blockが報じた。現在値は約70ドルで、約50倍の上昇を見込む強気の予測となっている。
レポートを執筆したのは、同行のデジタル資産リサーチグローバル責任者のジェフリー・ケンドリック氏で、段階的な目標価格は2026年末に180ドル、2027年末に600ドル、2028年末に1,200ドル、2029年末に2,200ドルと設定されている。
同氏は、このシナリオでAAVEはイーサリアムとビットコインの両方をパフォーマンスで上回ると予測しており、同行の予測ではイーサリアムを2030年末に4万ドル、ビットコインを50万ドルとしている。
スタンダードチャータードは今年、DeFi関連の強気レポートを相次いで公表。4月には「DeFiは折れていない」とする分析を発表し、5月にはトークン化資産が2028年末に4兆ドルに達するとの予測を示した。
また、6月にはユニスワップ(Uniswap)を新規カバレッジし、2030年末目標価格を100ドルとしていた。アーベは同行が正式なカバレッジを開始した3番目のDeFiプロトコルとなる。
関連記事:スタンダードチャータード、ユニスワップのUNIトークン2030年末100ドルを予測
スタンダードチャータードがユニスワップの評価カバレッジを開始し、UNIトークンが2030年末までに現在価格の約34倍にあたる100ドルへ上昇するとの見通しを示した。トークン化資産のDeFi流入拡大と手数料バーン機構が根拠となっている。
モデルの前提とKelpDAO事件の影響
目標価格の根幹となる試算は、DeFiに投入される資産の総額が2030年末に約2.7兆ドルへ拡大するという前提に基づくものだ。現在水準から37倍の成長を見込むもので、ステーブルコイン供給量の増加(現在約3,100億ドルから2028年末に2兆ドルへ)、トークン化された現実資産(RWA)の拡大、DeFiへの資産投入比率の上昇(現在3.5%から30%へ)が主な成長ドライバーとしている。
レポートはアーベのビジネスモデルについて、預入資産がローン残高を押し上げ、ローン残高が手数料収入を生み出すシンプルな連鎖構造と評価している。直近12カ月でアーベの手数料収入の90%は純利ざや(ネット・インタレスト・マージン)から生じており、全手数料の約15%がプロトコルの収益として計上される。
一方、レポートの背景にはアーベへの打撃となった事件がある。4月18日に発生したケルプDAO(KelpDAO)のエクスプロイトでは、LayerZeroを利用したブリッジから約2億9,200万ドル相当のrsETHが流出し、その一部がアーベ上で担保として使用された。これを受けてアーベの預入残高は440億ドルから230億ドルに、アクティブローン残高は180億ドルから95億ドルにそれぞれ急落した。
DeFiレンディング市場全体に占めるアーベの預入シェアも、事件前12カ月の59%から38%へ低下した。ケンドリック氏は、この水準をアーベのトラフ(底)とみており、6月初旬から数値が小幅に回復し始めたことや、アーベ創設者スタニ・クレチョフ氏が新たなリスク管理の枠組み策定を発表したことを回復の兆しとして挙げた。
関連記事:グレースケール、仮想通貨をキャッシュフローで評価する新手法を提唱 アーベの事例を徹底分析
グレースケールは、最新レポートで「経済的実態」に基づいた仮想通貨の価値を評価する新たな枠組みを提唱した。ケーススタディとしてAaveを取り上げ、株式分析の手法を適用して同プロトコルの適正時価総額とトークン価格を導き出した。
Aave V4とGHOなどの位置付け
3月に公開されたアーベV4は、構造的なセキュリティ強化版と位置付けられている。ハブ・アンド・スポーク型のアーキテクチャにより、イーサリアム・エコノミック・ゾーン(EEZ)内の複数レイヤー2ネットワーク間で流動性を共有でき、ブリッジの使用を不要とする。
ケルプDAO事件で攻撃の起点となったのがブリッジであり、V4はその脆弱性への対応策でもある。ただし、レポート執筆時点でアーベの預入残高の99.4%はV3に留まっており、V4への移行はわずか0.4%にとどまる。EEZのメインネット稼働は今夏を予定している。
アーベのステーブルコインGHOは2023年の開始以来、流通残高が約6億ドルに成長した。ケンドリック氏はGHOに関連する手数料収入がすべてプロトコルに直接帰属し、外部の流動性提供者への分配がない点を中期的な収益上積み要因として評価した。
また、2025年8月に公開された機関投資家向けの許可制レンディング市場「アーベ・ホライズン(Aave Horizon)」については、5月末時点のアクティブローンが1億6,300万ドルにとどまり、立ち上がりは緩やかな状況だ。クラリティー法(ブロックチェーン規制確実性法)など米国の規制整備が進めば採用加速につながるとしている。
なお、アーベDAOが2025年4月に開始したAAVEトークンの買い戻しプログラムは、ケルプDAO事件翌日の4月19日に一時停止となった。停止までに総供給量の約1.3%にあたる20万5,000AAVEを買い戻しており、スタンダードチャータードはプログラムの再開を支持している。
関連記事:クラーケンのAave(アーベ)出資交渉報道、創設者は割引売却を否定
仮想通貨取引所クラーケンがDeFiプロトコル「アーベ」の株式15%取得に向け交渉中だと報じられた。投資規模は約7,100万ドルとされるが、アーベ創設者のクレチョフ氏はXで一部の報道内容を否定。
グレースケールも同月に分析を公表
米大手資産運用会社グレースケールも今月16日、割引キャッシュフロー(DCF)法をアーベのオンチェーン収益に適用した分析を公表している。
同社は2026年のアーベの収益を約6,000万ドルと予測し、フィンテック企業に適用される典型的なマルチプル(20〜25倍)を当てはめると、現時点の適正時価総額は12〜15億ドル、トークン価格にして80〜100ドルと試算した。規制が明確化した場合には1年以内に175ドルまで上昇する可能性があるとも述べた。
クレチョフ氏はスタンダードチャータードのレポートを歓迎し、アーベのスマートコントラクトモデルは伝統的な金融のコスト構造を圧縮するものであり、400兆ドル規模の金融産業全体に適用できる可能性があるとXに投稿した。
関連記事: グレースケール、仮想通貨をキャッシュフローで評価する新手法を提唱 アーベの事例を徹底分析
グレースケールが6月16日に公開したレポートで、DeFiレンディング最大手のアーベをケーススタディとして詳細分析。DCF法により現在の適正価格を80〜100ドル、規制明確化シナリオで175ドルと試算した。
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