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テスタ × 渡辺創太 デジタル金融、ぶっちゃけ投資はどう変わる?|WebX2026

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

WebX 2026 | セッションレポート

テスタ × 渡辺創太 デジタル金融、ぶっちゃけ投資はどう変わる?

テスタ × 渡辺創太 × 各務貴仁(モデレーター)

「ビットコインは含み損だが、売る気はない」。個人投資家のテスタ氏が、仮想通貨への本音を率直に語った。WebX 2026最終日のBinanceステージでは、テスタ氏、Startale Group CEOの渡辺創太氏が登壇し、CoinPost代表の各務貴仁氏がモデレーターを務めた。株式のトークン化、24時間取引化の現実、AIとトレーダーの未来まで、株と仮想通貨それぞれのプロが異なる視座から本音で議論した。
テスタ

テスタ

個人投資家
株式投資家・分散投資派

元手300万円からスタートし、累計利益100億円を達成した日本有数の個人投資家。デイトレード・スイングトレード中心で、チャート・需給を基にしたスタイル。近年はビットコインや金(ゴールド)など株式以外の資産クラスへの分散も進める。

渡辺創太

渡辺 創太

Startale Group CEO SBIホールディングス社外取締役
オンチェーン金融推進派

ブロックチェーン・Web3領域の起業家。近年は米ニューヨークを拠点に活動し、オンチェーン金融インフラの普及を推進。日本円ステーブルコインの実装や証券トークン化を手がける。

各務貴仁

各務 貴仁

株式会社CoinPost
代表取締役社長|モデレーター

2025年10月にSBIグループ入りを果たした国内最大の仮想通貨メディア「CoinPost」を運営。本セッションのモデレーターを務めた。


ビットコイン購入の真意

各務貴仁
昨年のWebXにもご登壇いただきましたが、あの時から仮想通貨へのスタンスは変わりましたか?
テスタ
昨年時点ではビットコインを持っていない立場で臨みましたが、その後、資産形成の一環として1億円分だけ購入しました。ずっと株だけをやってきて、そこに配当狙いや中長期の銘柄で分散していた。ただ資金が増えたので、金や米国債、不動産と同じ流れで、ビットコインもポートフォリオの一部に組み入れたという位置づけです。
世の中の紙幣価値や信用が著しく毀損された時に、ビットコインと金(ゴールド)だけが機能するような未来があるかもしれない。そういう仮説から買った。普段はビットコインが上がろうが下がろうが気にならないし、短期売買している株とは完全に別軸で、一生持っておくつもりの資産です。

株のプロはどう見るか

各務貴仁
テスタさんは日常的に日本株を見ていらっしゃいます。半導体バブルとの見方もありますが、現状をどのように分析されていますか?
テスタ
バブルかどうかは、後からしか分からないというのが正直なところです。iPS細胞が発表された時のように、どれだけ実用化されて儲かるか誰にも分からないものほど株は上がる。AIも同じ構造で、決算という数字が出たものはすぐ織り込まれて落ち着くが、まだ数字にならない期待は行きすぎるまで買われる。半導体・メモリ相場も、需給が崩れた時が下落のタイミングで、いつか実需の数字に収束する。今がバブルかどうかを判断することに時間を使うより、動き始めてから乗る方が自分のやり方には合っています。
モメンタムについては、勢いを取りにいくタイプ。分からないものほど需給が見やすく、チャートやテクニカルが効きやすい。頭と尻尾はくれてやるつもりで、天井をつけてから売り、底をつけてから買えばいい。
渡辺創太
少し脱線しますが、モメンタムの話でいうと、最近ブロックチェーンで流行っているのが分散型の予測市場(プレディクションマーケット)です。例えばスペースXの株がまだ上場していない段階から、初値がいくらになるかを皆が売買する。群衆の知恵のような形で価格が形成され、その先物価格が実際の上場時の初値とほぼ一致してくるケースが出てきていて、価格発見の先行指標として機能し始めています。
テスタ
なるほど。そのブロックチェーン上の先物って、誰でも売買できるんですか?
渡辺創太
誰でも売買できます。Hyperliquidというプラットフォームで取引ボリュームも大きい。価格がつくものは全部ブロックチェーン上に乗せられる、というのが予測市場の本質で、株で言えばモメンタムを先読みする道具になり得ます。
編集部注:テスタ氏は、日経平均が225銘柄の単純平均ではなく値がさ株の「寄与度」で動く構造を指摘。半導体関連の急騰が指数を押し上げる一方、値下がり銘柄の方が多い日でも指数はプラスになり得るとし、足元の上昇はやや歪だと見ている。

株式トークン化の本質はシステムコスト削減と24時間取引

各務貴仁
株式のトークン化というと、ユーザー側にはどんなメリットがあるのか、そのあたりから整理いただけますか?
渡辺創太
正直に言うと、トークン化されているから買う、という投資家は基本的にいないと思う。ユーザー体験の観点ではほぼ変わらない。インパクトは裏側にある。かつて各社が自前のサーバールームで運用していたシステムがクラウドに移ったように、証券取引所の集中的なシステムがブロックチェーン上に置き換わることで、維持コストが1,000分の1程度になる可能性がある。ここが一番大きい。
象徴的な事例がHyperliquidです。ナスダックの取引ボリュームの約10分の1ほどに達する分散型取引所ですが、運営メンバーはたった13人と言われ、年間約1,500億円規模の収益を上げているとされる。しかも外部からの資金調達は一度もしていない。巨額の維持費をかける従来の取引所とは、コスト構造が根本的に違う。
渡辺創太
国内各社も積極的に動き始めていますが、先行しているのは圧倒的にアメリカです。私自身ニューヨークを拠点にしていて、ムーブメントの中心は今まさに米国にあると感じています。
今は株式を約定しても実際に手元に来るのは2営業日後、T+2と呼ばれるサイクルです。ブロックチェーン上では、決済した瞬間に株式が届く形になる。24時間365日取引でき、1株未満の細分化した投資も可能になる。かつて紙の取引がオンライン化されたように、次のレイヤーとしてオンチェーン化が来る。米SECの現長官も、米国市場を数年以内に完全オンチェーン化するという構想を打ち出しています。

トークン化の3類型

渡辺創太
株式トークン化のやり方は大きく3つあります。1つ目は株式そのものは持たず、価格の指数だけを取引するタイプ。2つ目は信託銀行などが株式を保有し、それを証明しながら1対1でトークンを発行するタイプで、現在はこれが大半です。3つ目は最初からブロックチェーン上に株式を発行するタイプで、まだ世界で1〜2例しかない。
OpenAIやAnthropicは今後大型IPOが見込まれていますが、上場前から価格だけを取引する市場がすでに存在している。いずれ価格がつくものはすべてブロックチェーン上で取引できる時代が来ると思っています。

AIトレードに人間は勝てるか

渡辺創太
もし24時間取引可能になったら、テスタさんの分身のようなAIを作って24時間トレーディングさせる可能性もありますか。
テスタ
それって勝てるんですかね。仮に勝てたとして、隙間のアルゴリズムが全部取ってしまえば、誰も勝てず値動きもなくなる世界が来てしまう。将棋のプロがAIに勝てなくなったように、株でも同じことが起きるかもしれない。今のAIは実際にはデータベースを取りにいっているだけだと思うけど、本当に思考するAIが生まれた時のことは結構考えています。
渡辺創太
セキュリティの観点では、スマートコントラクトのコードはパブリックに公開されているので、高度なAIがバグを探してハッキングを仕掛けるリスクも高まっています。一方で、システムを作る段階でAIを使えばより堅牢にできる側面もある。今はどちらが先に最強のモデルを手にするかのいたちごっこ。ATMが同時多発的にハッキングされるようなことが起きれば、信用不安が金融市場全体に波及しかねない。そうなると、古くからある現物資産の価値が改めて見直されるかもしれません。
テスタ
それはあり得ますね。もし1行でもやられたら、みんな預けたくなくなる。システムが一度止まって再開する時には、銀行の前にすごい列ができるようなパニックも想像してしまう。投資では常にリスクを考えているので、いきなりゼロになる盗難リスクだけは怖い。そういう時に一番強いのは現物の金の延べ棒だな、と。だからこそビットコインや金(ゴールド)は持っておく価値があると思っています。
渡辺創太
そういう時にビットコインが強いといいんですけどね。関連する動きとして、パーペチュアル(無期限先物取引)がアメリカでつい先月合法化されました。証拠金の範囲で株価指数などを無期限に取引できる仕組みで、これまで米国民はオフショアのプラットフォームを使っていた。そのままではドルが国外に流出してしまうため、それなら国内の枠組みの中で管理しようと規制当局が動いた形です。価格がつくものは何でもオンチェーンで取引できる環境が、着実に整いつつある。
テスタ
日本ではいつになるか分からないですね。ただ流れ的にはしょうがない。勝手に使われるくらいなら、KYCをちゃんとして税金も取れる形で管理してやった方がいい。日経先物のような仕組みもあるわけですし、日本もそういう方向に来るんじゃないですか。
編集部注:パーペチュアル(無期限先物取引)とは、満期日のない先物取引。証拠金の範囲でレバレッジをかけて価格指数などを売買する。ブロックチェーン上の分散型取引所を中心に普及し、アメリカでは2025年に規制整備が進んで合法的なプラットフォームでの提供が解禁された。

日本の金商法移行、2028〜29年が本番の理由

日本でトークン化株式が本格普及する時期について、各務氏が問いかけると、渡辺氏は法整備のタイムラインを示した。テスタ氏は「いつ上がるかが大事」という投資家としての視点を加えた。
各務貴仁
日本の規制環境の観点から見ると、トークン化株式の本格普及のタイムラインはどう見ていますか?
渡辺創太
私たち次第という部分もありますが、おそらく2〜3年でしょう。今、金融商品取引法への移行が進められていて、これにより仮想通貨が雑所得(最大55%課税)から株式と同じ税率に変わります。トークン化株式との税制上の扱いが揃うことで、初めてフェアな比較ができる環境が整う。その下地の上に良いプロダクトが出てくるのが2029年頃ではないか。一方グローバルでは動きが早く、ニューヨーク証券取引所も数ヶ月単位でトークン化株式を出すと表明しています。
テスタ
株で大事なのは「何が上がるか」だけじゃなく「いつ上がるか」です。いつ上がるかを外すと資金効率が著しく悪くなる。2〜3年後が本番なら、今買っても資金が長く凍結してしまう。今すべきことは、トークン化株式が普及した時に恩恵を受ける銘柄、証券会社や決済インフラ、関連システムを作る会社をリストアップしておくこと。直前で動けるように候補を整理しておく作業が大事です。

セッション総括

渡辺氏は最後に、日本のオンチェーン金融領域での国際競争力について語った。「AIやインターネット、クラウドのような汎用技術で、日本が世界1、2位を争える分野はほとんどない。しかしブロックチェーン・オンチェーン金融は、日本が本気でアジア1位を取りにいける数少ない領域です。米ドルのステーブルコインが約50兆円規模なのに対し、日本円ステーブルコインはまだ約100億円規模で、欧州とも10倍以上の差がある。米国の成長率に負けないくらい食いついて追い上げていきたい」と意気込みを語った。
株式と仮想通貨、二人のプロが同じ壇上で交わした本音の対話は、デジタル金融がもたらす変化の輪郭を具体的に描き出すものとなった。
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