- マイニング・ステーキング報酬の課税を繰り延べる案
- ウォッシュセール規制をデジタル資産にも適用する案
仮想通貨法案パッケージを審議予定
米下院歳入委員会は、9月16日に暗号資産(仮想通貨)の税制ルールなどに関するマークアップ(法案審査)を実施する予定だ。主に、マイニング事業者などの税負担の繰り延べと、デジタル資産へのウォッシュセール規制の適用の法案を話し合う。
中心となる法案の一つは、共和党のマイク・ケアリー下院議員が提出した「マイニング・ステーキング課税明確化法案(H.R.9175)」だ。これは、マイニングやステーキングによって新たに生成されたトークンの課税タイミングを見直す内容を盛り込んでいる。
現行の内国歳入庁の指針では、マイニングで得た仮想通貨は受領時点で総所得に算入するとされ、ステーキング報酬についても納税者がトークンの支配権を得た時点で公正市場価値を総所得に含めるとされている。
一方で、新たな法案は、マイナーやステーカーが新規に生成されたトークンについて、実際に売却するまで所得の計上(課税対象となる所得の認識)を繰り延べることを可能にするものだ。
法案が成立した場合には、納税者は課税のタイミングを「処分(売却など)の時点」まで繰り延べすることを選択できるようになる。その際の所得はキャピタルゲインではなく給与、利子、事業所得などと同様の「普通所得(ordinary income)」として扱われることになる。
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条項の削除案も浮上か
ただし、Punchbowlが関係筋の情報として報じたところによると、歳入委員会の共和党議員らは、この課税繰り延べ条項の削除を検討しているとされる。背景としては民主党議員との対立がある。
6月9日に開かれた公聴会では、同委員会の民主党議員から懸念の声が上がっていた。デジタル資産の報酬に対してのみ課税繰り延べの特例を設けることは、従来の投資との間で公平性を欠く可能性があるというものだ。
その他、無期限の繰り延べが行われかねないとの懸念も上がったが、これに対応してマイニングおよびステーキング所得の繰り延べに5年間の期限を設けることが提案されている。
現在、民主党のスティーブン・ホースフォード下院議員が仮想通貨規制を支持しており、その支持を取り付けることが、一連の法案が超党派の支持を得る鍵になる可能性があるという。しかし、これには繰り延べ条項の削除が必要とみられる。
業界にとっては、報酬を売却して現金化する前に課税義務が生じれば、財務的な負担は増大する。特に弱気相場では、報酬として受け取ったトークンの価値が売却時に大幅下落している可能性があることも一つの理由だ。
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ウォッシュセール規制の拡大法案
もう一つ柱となる法案は、共和党のジョーディ・アーリントン下院議員が提出した「デジタル資産への既存の税法上濫用防止規則適用法(H.R.9172)」だ。
株式などに適用されるウォッシュセールや擬制売却の防止ルールを、デジタル資産にも拡大適用するものである。現行制度では仮想通貨を意図的に損失を出して売却し、直後に買い戻して控除を得るという抜け穴があり、これを塞ぐ狙いだ。
なお、マイニングやステーキングといった取引検証活動に関連して取得されたデジタル資産や規制上適格な米ドル建てステーブルコインはこの規制の対象外だ。
以上の2法案は、委員会で可決されれば下院本会議での審議に進むことになる。
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