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分散型ガバナンスの先駆け:DoraHacksのMACI/aMACI研究と導入を振り返る

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本稿は企業が広報のために発信するプレスリリースです。CoinPostの執筆記事ではありません。

世界最大級のマルチチェーンWeb3開発者支援プラットフォームであるDoraHacksは、ハッカソン、助成金、報奨金などのWeb3組織ツールを提供しています。同時に、より良い分散型ガバナンスインフラとメカニズムの開発に取り組んでいます。

公平で効率的かつ多様なガバナンス手法をユーザーに提供することは、DoraHacks チームの重要なミッションです。

コミュニティガバナンスにおいて、共謀行為はよく見られる問題です。このような行為は、利益を追求する動機や、個人的・関係性に基づくものから生じることがあり、多くの投票システムでは回避が難しいものです。

オンチェーンにおける効果的な共謀行為を防止するインフラは、例えばオンチェーンガバナンスプロトコルや二次資金調達などの分野で、分散型ガバナンスが拡大可能かどうかを決めることになります。

共謀行為による弊害は明らかです。まず、資金提供の本来の意図はスタートアップの成長を助けることにありますが、共謀が起きると、既にリソース豊富なプロジェクトがさらに資金を集めやすくなります。

これにより、より資金を必要としているプロジェクトが見過ごされ、いわゆるマタイ効果(成功している者が注目され、さらに成功する可能性が高まる現象)が生じる可能性があります。第二に、二次アルゴリズムは従来のガバナンスや投票システムに見られる公平性の問題を解決することを目的としていますが、共謀行為が横行する環境下では、このアルゴリズムの効力は大きく削がれてしまいます。

そして第三に、共謀行為があることによって、二次投票をはじめとする先進的なオンチェーンガバナンスツールの広範囲にわたる導入が阻害されます。

数々の試みと検証を経て、DoraHacksチームはより公平で信頼性に優れた二次資金調達の方法を改良し、導入しました。この件に関しては、DoraResearchブログで詳しく確認できます。

DoraHacksが二次ガバナンスにおける公平性問題に取り組むために開発したソリューションの一つがMACI(最小限の共謀防止インフラ)です。これはzkSNARK技術を基盤とし、オンチェーン投票におけるプライバシーを向上させます。

オンチェーンでの公開投票とは違い、MACIは投票の匿名性を確保し、投票の詳細ではなく結果のみを表示します。つまり、MACIはブロックチェーン上で公開される投票証明を防ぎ、投票結果の受取人がそれを確認することはできません。

冒頭で述べた例に戻ると、コミュニティにおける共謀行為の次の一手は通常、報酬のためにオンチェーン投票記録を交換することになりますが、MACIの投票システムではこれが不可能になります。

MACI投票は、DoraHacksプラットフォーム上でのハッカソン賞金プールや助成金の配分に何度も使用されてきました。これは、2022年2月に開催されたETHDenver In-Person  BUIDLathonで、主要なWeb3コミュニティのガバナンスに初めて使用され、コミュニティがMACI二次投票を通じて1,000,000 SPORKのマッチングプールの割り当てを決定し、MACIインフラの可能性を世界の暗号資産コミュニティに示しました。

その後、MACI投票はETHDenver OnlineBUIDLathon、OpenSeaの「Hello NFT」ハッカソン、Dora Grant DAO、0x DeFiハッカソンなど、主要なハッカソンのコミュニティや審査投票の重要なメカニズムとして採用されました。

それにもかかわらず、従来のMACI投票システムには2つの大きな問題があります。一つ目は技術的な障壁が高いことです。MACI投票への関心は高いものの、コントラクトの開発は依然として多くの暗号資産コミュニティメンバーにとって困難です。

これを解決するために、Dora Factoryはコーディング不要でMACI投票を展開できるプラットフォーム「Dora Vota」を開発し、2023年に公開しました。 これにより、非技術者のコミュニティでもMACIのオンチェーン投票を簡単に実施できるようになりました。

Votaには、線形投票と二次投票を含む、オンチェーン投票のシナリオの多くをカバーする投票メカニズムが組み込まれています。MACIの管理者は、「Deploy MACI」ボタンをいくつかクリックし、簡単なルールを設定するだけで、数分内にMACI投票ラウンドを立ち上げることができます。

Dora Dojoの取り組みは、Dora VotaプラットフォームでMACI投票を利用した成功例です。このコミュニティでは、暗号技術や量子コンピューティングといった最新技術に関する提案に対して、知識共有のための投票を定期的に実施しています。

MACI投票により、メンバーたちはどの提案に資金を提供するかを直接決定することができます。コミュニティ管理者は、Dora Votaのガイドに従って、MACIの展開に関する知識がなくても簡単にオンチェーンとフロントエンドを展開することができます。

Dora Dojoでは、MACI投票を毎月のイベントとして行い、20件以上の提案に資金を提供し、分散型ガバナンスの可能性を示しています。

Dojoでの実践で、「MACI投票がなかったら投票を変えるか?」と聞いたところ、半数以上の人が「はい」と答え、コミュニティ内の知り合いのプロジェクトに投票しなかったことが知られるのを避けたいと述べました。これは、共謀行為を問題にしなくても、投票者が自分の選択を秘密にしたいという強いニーズがあることを示しています。

もう一つの問題は、MACIのゼロ知識証明にはオペレーターが必要であることです。これはMACIの信頼性の最も重要な基盤を担います。

オペレーター自身は偽の証明を作ることはできませんが、これはオペレーターと第三者間の新たな共謀行為が起こり、MACIの広範囲な採用が制限される可能性があります。イーサリアムコミュニティでは、この問題に対するいくつかの解決策について議論しました。

イーサリアムコミュニティでは、この問題に対するいくつかの解決策について議論しました。イーサリアムコミュニティは、MPCベースの匿名MACI やElGamalベースの再ランダム化を含む解決策についていくつかの議論を行いました。

DoraHacksとDora Factoryのコミュニティは2023年から、匿名MACIの基盤づくりに取り組んでいます。MACIの匿名化のゴールは、オペレーターでさえ「誰が」「何を」したかを特定することができないようにし、包括的な共謀防止を実現することです。

MACI投票では、投票者が特定の操作を行うことで、自分の投票がオペレーターから見えないようにし、投票者自身の匿名性を高めます。aMACI投票操作には、投票者の「キーを無効化する-キーのリセット」アクションが含まれ、このキーに関連する投票IDをオペレーターから見えなくし、投票者自身の匿名性を確保します。

DoraHacksは、2023年に独自に匿名MACI(aMACI)投票システムを開発し、公開しました。2024年3月、ベトナムのハノイで開催されたETHVietnam BUIDLathonでは、このaMACIが初めて大規模なWeb3イベントで使用されました。

このイベントでは、168名のコミュニティメンバーがaMACIを用いた匿名オンチェーン投票に参加し、2,000ドルの賞金プールの分配方法を決定しました。

この取り組みは、暗号資産コミュニティでの匿名MACI技術の活用において、マイルストーンとなります。以前、DoraHacksプラットフォームで行われたEthereum Research の長期助成プログラム「ETH Research Grant」では、プロジェクトの資金配分を決めるために、複数回のコミュニティ投票でaMACIが使用されました。

二次資金調達とMACIメカニズムの開発における世界的なパイオニアであるDoraHacksは、暗号資産コミュニティに向けて、より民主的で効率的、安全な意思決定環境を提供することに注力しています。新たに導入された匿名MACI(aMACI)投票プロトコルは、ガバナンスの過程における共謀行為のリスクを一層排除し、コミュニティメンバーの投票権が公平に扱われることを保証します。

Dora Votaプラットフォームの登場により、MACIを活用したガバナンスへの参加が容易になり、多くのコミュニティがその利点を享受できるようになりました。MACIは、分散型ガバナンスの未来に向けた革新的なメカニズムであり、無限の可能性を秘めています。

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【DoraHacksの概要】

DoraHacksは、ブロックチェーン技術の普及と発展を目指すグローバルなコミュニティです。イノベーションを促進し、世界中の開発者が持つポテンシャルを最大限に引き出すことを使命としています。

DoraHacksは、ハッカソン、ワークショップ、イベントなど、さまざまなプログラムを通じて、ブロックチェーン技術に興味を持つ個人や企業がつながる場を提供しています。

【プレスリリースに関するお問い合わせ先】

担当者名:  笠島

Eメール: ayano@kokoromachi.co.jp

電話番号: +81 80 9062 8583

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