アバランチ(AVAX)とは
アバランチは、スマートコントラクト機能を備えたオープンソースのブロックチェーン。メインネットは2020年9月にローンチした。dApps(分散型アプリ)を構築・展開するために使用され、拡張性の高いエコシステムを提供している。
ブロックチェーンのネイティブトークンはAVAX。ユーティリティトークンとして発行されており、主に手数料の支払い、ステーキング、価値の尺度に使用され、供給上限は7.2億AVAXに定められている。
アバランチは、独自ブロックチェーンを開発・展開できることも大きな特徴である。
価格
- 現在価格(2024年12月5日時点):50.47ドル(約7,590円)
- 年初来高値(2024年3月):65.38ドル(約9,840円)
- 年初来騰落率(YTD):+50.90%
- 過去最高値(2021年11月):146.2ドル(約21,990円)
価格動向
24年4月:米資産運用会社モルガン・クリークCEO、ビットコイン年内2000万円超えを予想
24年8月:グレースケールがアバランチの投資信託を発表 AVAX価格は前日比10%上昇
時価総額|関連銘柄
AVAXの時価総額は2024年12月時点で約210億ドル、「スマートコントラクト」セクターの中では7位に位置する。同セクターで1位のイーサリアム(ETH)の時価総額は約4,600億ドル。5位はエイダ(ADA):約410億円、6位はトロン(TRX):約280億ドルである。
主な出来事
- 2024年3月:「メイプルストーリー」、アバランチ採用 AVAX価格上昇
- 2024年3月:アバランチがゲーム分野でも台頭、Merit Circleサブネットの1年間の成果と展開
- 2024年10月:アバランチ、自己管理型ウォレット対応のVisaカードを導入
- 2024年11月:アバランチ、テストネットで大型アップグレード「Avalanche9000」立ち上げ
エコシステム支援組織
Ava Labs:アバランチのブロックチェーンなどを開発する米企業。米コーネル大学で助教授と准教授を計20年超務めたエミン・グン・シラー氏がCEOを務める。マイクロソフト、グーグル、NASA(米航空宇宙局)などの出身者が所属。
アバランチ財団:アバランチのエコシステムのイノベーションや発展を推進する組織。プロジェクトへの投資や支援、資金管理などを担当している。
トークンアロケーション


アバランチのプロジェクトは最初、2019年のシードラウンドで1,800万AVAXを販売し、600万ドルを資金調達。Andreessen Horowitz(a16z)やPolychain Cpaitalらが出資した。
その後2020年には私募トークンセールでDragonfly Cpaitalらに2,490万AVAXを販売し1,200万ドルを調達。また、同年に行われたICOでは、約2.4億AVAXが販売された。
他にも、2021年の私募トークンセールではThree Arrows CapitalやPolychain Cpaital、Dragonfly CpaitalらにAVAXを販売することで2.3億ドルを調達している。
「cryptorank」によるとトークン配分は画像の通り。割合としてはステーキング報酬が50%と最も多く、アバランチ財団には9.26%が配分されている。
また、「Tokenomist」のデータによれば、2024年12月時点で約2.4億AVAXがまだロックされているという。
Total Value Locked(TVL)
Total Value Locked(TVL)は、DeFi(分散型金融)プラットフォームやプロトコルの価値を評価するための重要な指標の一つ。2024年12月時点、アバランチのTVLは16億ドル。プロトコル別のTVLトップ3は以下の通り。
- Benqi(7.8億ドル):融資やリキッドステーキング、ノード構築などのサービスを提供するDeFiプロトコル。リキッドステーキングでは、AVAXをステーキングしながら、代わりに発行されるリキッドステーキングトークンsAVAXをAVAXとして運用できる。
- AAVE(5.7億ドル):融資プロトコル。担保を預け入れることで、仮想通貨を借り入れできる。また保有資産を貸し出すことで金利を稼げる。
- LFJ(1.9億ドル):DEX(分散型取引所)。高速・低コストの取引サービスを目指している。旧称は「Trader Joe」。
- 資金調達総額:約3.3億ドル
- 大規模な投資ラウンド:(2021年6月、2.3億ドルの私募トークンセール)
- リードインベスター:Three Arrows Capital、Polychain Capital
- フォロー投資家: R/Crypto Fund、Dragonfly、CMS Holdings、Collab+Currency、Lvna Capital、エンジェル投資家、ファミリーオフィス
出資している主なVC
アバランチの将来性
ロードマップ
アバランチは改善提案などをもとに、ネットワークのアップグレードを実施。2024年12月時点では、大型アップグレード「Avalanche9000」が注目を集めている。
このアップグレードは、チェーンの導入コストを99.9%削減し、カスタマイズを簡素化するなど、レイヤー1の起動をより経済効率よく実現できるようにする内容。2024年12月時点はテストネットでAvalanche9000を実施済みである。
期待される今後の動向
アバランチは、高いスループットや低遅延性という特徴を持ち、サブネットで柔軟に独自ブロックチェーンを構築できることなどから、企業での採用が進んでいる。今後もアップグレードを重ねるなどして、さらに採用が進んでエコシステムが発展すれば、AVAXの価格上昇につながる可能性がある。
また、米国で現物ETFが承認されることを期待する声が上がっている。2024年6月には、米マーケットメーカーGSRが独自に「ETF可能性スコア」を策定。この時、現在は承認済みのイーサリアムなどに次いでアバランチが4位に入った。
投資リスク、懸念材料
アバランチの投資リスクとしては、スマートコントラクトプラットフォームは他のブロックチェーンとの競争が激しいことが挙げられる。イーサリアムやソラナなど競合が多く、今後はどれだけ差別化できるかが鍵となる。
また、2024年12月現在の米証券取引委員会(SEC)が、アバランチで行われているステーキングを投資契約とみなしており、今後の訴訟によっては投資手段が制限される可能性がある。しかし、トランプ次期政権下では仮想通貨に友好的な規制ルールが整備される可能性があるため、今後の動向に注目したい。