
「VanEck PurposeBuiltファンド」開始
資産運用大手VanEck(ヴァンエック)は21日、暗号資産(仮想通貨)アバランチ(AVAX)のエコシステム上で構築するプロジェクトに投資する「VanEck PurposeBuiltファンド」をローンチすると発表した。AVAXはこのニュースを受けて前日比4.3%上昇した。
アバランチを基盤として、長期的な価値を生み出すトークンを発行する企業に投資するプライベート・ファンドであり、6月に立ち上げ予定だ。
ファンドは、流動性の高いトークンやベンチャーキャピタルが進めるプロジェクトに、トークン生成イベントの前後を主として投資するものとなる。プロジェクトの分野としては、ゲーム、金融サービス、決済、AI(人工知能)など様々な分野を対象とする。
長期的な成果を重視した、ファンダメンタルズ重視の投資を行う計画だ。
また、当面の投資先が見つかっていない分の遊休資金は、トークン化マネーマーケットファンドなど、アバランチ上の現実資産(RWA)トークンに投入し、流動性を維持しながらオンチェーン経済の活性化に寄与するとしている。
RWAとは
「Real World Asset(現実資産)」の略。ブロックチェーン上でトークン化されるRWAには不動産、アート作品、トレーディングカード等の実物資産、株や債券等の有価証券などが含まれる。RWAのトークン化の可能性は、資産運用最大手ブラックロックらも注目している。
今回のファンドを運用するのは、運用資産総額1億ドル(約144億円)超と好調な、「VanEck Digital Assets Alpha Fund(DAAF)」を担当するチームだ。DAAFのポートフォリオ・マネージャーであるプラナヴ・カナデ氏は、次のように説明した。
仮想通貨における次の価値の波は、インフラの強化ではなく、真のビジネスから生まれるだろう。
アバランチは思慮深い起業家を引きつける存在となっている。今回の「VanEck PurposeBuiltファンド」は、一時的な勢いを追うのではなく、永続的な価値を創造する起業家に、信念を持って資本を提供していく。
ヴァンエックは、現在の仮想通貨市場の課題として、短期的な投機が支配的な環境の中で、ブロックチェーンを活用した正当なビジネスを立ち上げる創業者が、埋もれてしまうことがあると指摘した。
こうした中、新たなファンドは、戦略的に長期的な視点での支援を行い、ミッション主導の起業家が長期的な目標を維持し、効果的に事業を拡大していけるようサポートするとしている。
Ava Labsのジョン・ナハス最高事業責任者は、現在、仮想通貨市場で投機性から実用的で持続可能なトークンエコノミーへの移行が進んでいるところだと意見した。
「PurposeBuiltファンド」は、こうした移行を主導する開発者に、必要な長期的な資本と戦略的確信をもたらすことを目指すものだと続けている。また、意義あるオンチェーン事業を推進する真剣な起業家の拠点としての、アバランチの強みを強化するものだと述べた。
アバランチは20日、開発者や企業などが専門的なビジネス目標のために使用できる140億円規模のブロックチェーン・エコシステム「Fusion」を立ち上げたところだ。
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ヴァンエックは13日、同社初のトークン化ファンド「VanEck Treasury Fund(VBILL)」もリリースした。
米国債で運用されるマネーマーケットファンドで、アバランチでもローンチ。その他、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、BNBチェーン(BNB)に展開している。
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