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オランダ中銀、ユーロ圏でのデジタル通貨(CBDC)開発先導に意欲

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

CBDC導入促進にオランダが積極的な姿勢

オランダの中央銀行にあたるオランダ銀行(DNB)が、中央銀行発行のデジタル通貨(CBDC)の開発に強い意欲を見せている。

21日、ビットコインやフェイスブックの仮想通貨リブラなど他のデジタル決済手段や現金と比較し、技術やプライバシーの側面からCBDC設計の選択肢にまで言及した45ページにわたるレポートを発表。「決済システムの公益を守る」役割を果たすCBDCの研究、開発及び実験の場として、オランダがユーロ圏において主導的役割を果たす用意があると、明言した。

中央銀行がCBDCを検討する理由

レポートでは、一般的に中央銀行がCBDCを検討する主な理由として、次の二点を挙げた。

1. 世界各国で中央銀行が発行する現金の使用が減少する傾向にあるため、市民や企業のニーズに見合った新しいタイプの通貨発行の可能性を検討

2. 昨年6月に発表されたフェイスブックの仮想通貨リブラプロジェクトが世界的に及ぼす影響に、各国政府が危機感募らせると同時に、現在の決済システムの欠陥が露呈することとなった。

公的通貨へのアクセスの重要性

金融危機や戦争など、極端な状況下で信用を維持し、金融システムの安定性を保つためには、全ての人々が公的な通貨を継続的に利用できることが重要だと主張している。

これまでは現金がその役割を果たしてきたが、現在、新型コロナウイルスの感染拡大により、多く小売業者が現金の使用を敬遠し、カード決済など銀行や民間決済企業が提供するデジタル決済が急増している。 CBDCは民間セクターの決済との互換性を確保するバックアップとして、より円滑な機能を提供する可能性があると、レポートでは指摘している。

CBDC導入は構造的な金融改革の一端

世界各国で現金の使用が減少しているのは、金融システムが構造的な転換点に来ているためだとDNBは解釈しており、CBDCの導入は金融システムの構造改革につながるものだと述べている。その社会的影響の大きさを考えると、CBDCの目的の定義を出発点とする、オランダ国内及びユーロ圏での大規模な議論が必要であると主張している。

また、その目的に合わせて、CBDCの設計を調整することが必須であり、中央銀行はインフラ基準の設定だけではなく、その設計も行うことが肝要だとして、レポートでは設計モデルの選択肢を提示した。

スマートコントラクトと分散台帳技術

レポートでは、スマートコントラクトを取り入れたプログラム可能なCBDCを選択肢の一つとして提案している。 「仮想通貨の10年にわたる実験」から判断すると、スマートコントラクトは、CBDCに導入するにあたり、実績のある技術であるとともに、十分な革新性を備えていると評価している。

 

幅広い機能がプログラム可能かどうかを表したのが上の図で、DNBが提案するCBDCの仕様はビットコインとリブラの中間に位置している。

一方、トランザクションの検証が中央集権で行われるか、分散型かの違いでは、中央銀行が検証者としてシステム管理を行い信頼を確保するため、CBDCの導入には分散型台帳技術は必要ないと結論づけている。 ビットコインの分散型ソリューションは、一部イデオロギー的な意味合いを持っていたと主張した。

プライバシー

DNBは、CBDCを設計する上で、プライバシーを重要視している。

 

中央銀行にはトランザクションデータを利用して利益を得る商業的インセンティブはないことから、民間金融機関よりも匿名性が保障されると主張している。CBDCは現金と同程度の匿名性は提供できないとしながらも、マネーロンダリングやテロ資金供与防止などの監視などの目的別にデータアクセスの合意を得るなど、匿名性の程度を調整することは可能だとしている。

このレポート発行により、オランダはCBDCの欧州での導入に積極的な姿勢を明確に打ち出したといえよう。

出典:DNB

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