IBITを主導したラムジ氏が新CEOへ
ETF・資産運用大手Vanguard(バンガード)は14日、ブラックロックでビットコイン(BTC)現物ETFの立ち上げに携わったサリム・ラムジ氏を新しいCEOに指名した。このことで、バンガードのビットコインに対する姿勢が変化する可能性が注目されている。
ラムジ氏は、ブラックロックでiシェアーズおよびインデックス投資部門の責任者を務めていた人物だ。特に、最大手のビットコイン現物ETF「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)」のSECへの申請や運営管理を監督していた。
バンガードはこれまで、ビットコインETFへ消極的な姿勢を取ってきたことで知られている。
同社は1月時点で、ビットコイン現物ETFに関しては他の高リスク資産と同様に、「投機性が高く、規制されていない」「当社の長期投資哲学に合わない」として、顧客にアクセスを提供しないと述べていた。
さらに、競合企業ブラックロックなどのように、独自のビットコイン現物ETFを立ち上げる計画もないとしている。
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ビットコインETFの方針変更につながるか?
ブルームバーグETFアナリストのエリック・バルチュナス氏はこの人事について「バンガードが社外者をCEOとして採用するのは初めて」だと指摘し、驚きを表明した。
Still think it’s unlikely that this means vanguard launches a #Bitcoin ETF (at least near term). But I think Salim could reverse Vanguard’s stance on not allowing their clients to buy spot Bitcoin ETFs on their brokerage platform 👀 https://t.co/ZMDKM1Uy6Q
— James Seyffart (@JSeyff) May 14, 2024
また、ブルームバーグ・インテリジェンスのジェームス・セイファート氏も、バルチュナス氏の投稿を引用する形で次のように発言した。
この人事があったからといって、少なくとも近いうちにバンガードがビットコインETFを立ち上げるということは考えにくい。
しかし、ラムジ氏が、プラットフォームでビットコイン現物ETFを顧客に提供しないというバンガードの方針を覆す可能性はある。
ラムジ氏は7月8日に就任する予定だ。
バンガードの現CEOであるティム・バックリー氏は2月、年末までに退職することを明らかにしていたところだ。3月のインタビューでバックリー氏は、「ビットコインは不安定で価値を保存するものではない」と話していた。
一方で、次期CEOとなるラムジ氏は昨年7月に、ブラックロックが申請したIBITについて、新興の資産クラスへの投資家のアクセスを拡大し、金(ゴールド)ETFと同様のメリットをもたらすだろうと述べていた。
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ビットコインETFとは
ビットコインを投資対象に含んだ上場投資信託(Exchange Traded Fund)のこと。投資信託とは、投資家から集めたお金を1つの資金としてまとめ、株式や債券などに投資して運用される金融商品。運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みになっている。投資信託の中でもETFは証券取引所に上場しているため、株式と同様に売買ができる。
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