CoinPostで今最も読まれています

FATF総会報告 仮想通貨の悪用防ぐ基準の実施強化

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ランサムウェア攻撃対策で国際協力

金融活動作業部会(FATF)は24日、22日から24日にかけて開かれた総会で議論された内容の結果について報告。暗号資産(仮想通貨)についても、FATFの示す基準を世界的に施行していくための行動計画に合意した。

FATFは、1989年設立。マネロン・テロ資金対策の国際基準を策定し、その履行状況について相互審査を行う多国間の組織である。G7を含む37カ国・地域と2地域機関がFATFに加盟しており、FATF勧告は、世界200以上の国・地域に適用される。

仮想通貨は、まずランサムウェア対策の文脈で言及された。

FATFは、近年、世界中で個人、企業、政府機関を標的とするランサムウェア攻撃の規模や件数が著しく増加していると指摘。犯人は、主に仮想通貨の形で多額の身代金を得て行方をくらますと述べている。

犯罪者は、世界中の仮想通貨サービスプロバイダーに簡単にアクセスできる状況で、中でもマネーロンダリング・テロ資金調達対策(AML/CFT)の実施が充分ではない、または実施されていない国や地域のプロバイダーが利用される懸念があると続けた。

FATFは、ランサムウェア攻撃は国境を超えて行われることから、国際協力メカニズムを構築あるいは活用していくことが不可欠だと説明している。さらに、当局が情報を迅速に収集し、即時的に行われる仮想通貨取引を追跡し、その資産が散逸する前に回収するためのスキルやツールを開発しなければならないと指摘した。

そのためには、サイバーセキュリティやデータ保護を専門とする機関とも協力していく必要があるとしている。

ランサムウェア攻撃の件数は、特に2020年から急増している。21年5月には米国最大の燃料パイプラインを提供するコロニアルパイプライン社が被害を受け、仮想通貨で約5.4億円近くを支払った。

関連仮想通貨で支払われたランサムウェア攻撃被害が大幅増=Chainalysis

FATFは3月に、ランサムウェア対策に関する報告を発行する計画だ。

ランサムウェアとは

ハッキングを仕掛けたうえで、元の状態に戻すことを引き換えに金銭を要求するマルウェアのこと。「身代金要求型マルウェア」とも呼ばれる。感染すると、他人の重要文書や写真ファイルを勝手に暗号化したり、PCをロックして使用を制限した上で、金銭を要求してくる。

▶️仮想通貨用語集

トラベルルールの施行強化へ

FATFは、「トラベルルール」などの施行を強化するためのロードマップにも合意した。背景として、現在、多くの国がまだ仮想通貨に対する規制を持たず、犯罪者やテロリストに悪用される機会が生じてしまうことがあるとしている。

ロードマップには、世界的に、仮想通貨に関するFATF勧告がどの程度の水準で実施されているかを調査することも盛り込まれた。

FATFは、2024年前半には、FATF加盟国およびFSRB(FATF型地域体)諸国が仮想通貨サービス・プロバイダーを規制・監督するためにとった措置について報告する予定だ。

なお、「トラベルルール」とは、マネーロンダリングなどを防ぐために、FATFが提示した国際ルール。利用者の依頼を受けて仮想通貨の送金を行う交換業者に、送金依頼人と受取人に関する一定の事項を、送付先となる受取人側の交換業者に通知しなければならないという決まりである。

日本では22年12月、マネロンに関連する6本の法律を束ねた「FATF勧告対応法案」が参議院で可決し成立した。今後取り組むべき優先課題としては、取引モニタリングの実施、資産凍結措置、継続的な顧客管理などが挙げられている。

関連日本 仮想通貨マネロン関連のFATF勧告対応法案が成立

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
05/18 土曜日
17:20
バイナンス上場銘柄の80%が価値低下、ミームコインは異例の上昇 過去6か月の分析
31トークン分析が示す課題 暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(グローバル版)で、過去6か月に新規上場したトークンの80%以上が、その後に価値を落としていることがわかった。ミ…
13:00
米国のビットコイン現物ETFへの5月の流入額、4月の流出上回る
ブルームバーグのETFアナリストは、5月に入ってからの米国ビットコイン現物ETFへの流入は、4月の流出を埋め合わせたと指摘した。
11:10
米下院、SECの仮想通貨規制役割明確化の「FIT21法案」を採決へ
米国下院は、仮想通貨に対する規制を明確化し、CFTCに追加権限を与える「21世紀のための金融イノベーション・テクノロジー法」の採決を行う。
10:15
米コインベース、「来週イーサリアム現物ETF承認確率は30~40%」
米仮想通貨取引所コインベースはイーサリアムの今後を予測するレポートを発表した。ETH現物ETFが承認される時期などについて分析している。
08:50
仮想通貨取引所クラーケン、欧州でUSDT非対応を検討
テザーCEOは最近、MiCA規制を批判し、仮想通貨USDTで規制を受けるつもりはないと述べた。この姿勢が、欧州で事業を行っているクラーケンが、それらの通貨ペアの提供を停止する理由と見られる。
08:00
「仮想通貨上昇の鍵はマクロ経済」コインベース分析
仮想通貨相場上昇の鍵は今もマクロ経済であるとコインベースは分析。他にも、イーサリアム現物ETFの審査など規制動向も注視すべきだとした。
07:10
ソラナ価格、月末までに200ドル復帰か ヘッジファンド創設者が予測
仮想通貨ソラナの今後の価格について、ヘッジファンドSyncracy Capitalの創設者は強気な予測を示した。その根拠とは?
06:10
zkSyncエアドロップ期待再燃、分散化加速のアップグレードを実施予定
zkSyncは未だ独自の仮想通貨をリリースしていないが、主要zkロールアップであるライバルのStarkNetは2月にエアドロップを実施した。
05/17 金曜日
17:34
東京ビッグサイトで第5回ブロックチェーンEXPO【春】開催へ 無料申し込み募集開始
東京ビッグサイトで、日本最大級のブロックチェーン専門展である第5回ブロックチェーンEXPO【春】が開催されます。最新の研究からアプリケーションまで、ブロックチェーン技術のすべてが一堂に出展するイベントは必見です。
13:00
ワールドコイン、秘匿化技術で生体認証データの保護・オープンソース化を発表
暗号資産(仮想通貨)でベーシックインカム実現を目指す、ワールドコイン・ファンデーションが生体認証データ保護にSMPC技術を導入。そのシステムをオープンソース化した。セキュリティとプライバシーを強化するとともに、システムの普及拡大を目指す。
12:32
短期トレンド変化のビットコイン続伸なるか、ミームコインが牽引する場面も
CPI発表で急反発を見せた暗号資産(仮想通貨)相場ではビットコイン(BTC)が下降チャネルをブレイクアウトした。16日には賛否両論渦巻くミームコインが相場を牽引する場面も。
12:00
世界最大の証券清算機関DTCC、チェーンリンク活用した「Smart NAV」を実験
世界最大の証券清算・保管機関DTCCは、チェーンリンクを活用した「Smart NAV」の実証実験を行った。JPモルガンなど金融大手10社が参加している。
11:10
Slash Fintech、暗号資産決済でVプリカ販売サービス開始 NFT特典も実施中
Slash FintechがVプリカ販売サービスを開始。暗号資産(仮想通貨)決済でVプリカ購入可能。特典としてSlash Genesis NFTをプレゼント。利用方法から使い方まで解説。
10:00
ブラックロックのビットコインETF、アナリストが高評価
ブラックロックの仮想通貨ビットコインETFの購入者数は記録的な数字であると、ブルームバーグのシニアアナリストが高評価。レポートが提出され、ビットコインETFのパフォーマンスを分析した。
09:30
SECの仮想通貨保管ガイドライン覆す決議案、米両院で可決
米連邦議会上院は、下院に続き、SECが発行した仮想通貨の保管に関する会計公報を覆す決議案を可決した。議員やSECがコメントを発表している。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア