CoinPostで今最も読まれています

匿名仮想通貨モネロがハードフォークを完了、取引手数料90%減に成功|価格への影響は?

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

好評のモネロ・ハードフォーク
匿名通貨のモネロ(XMR)が18日、ハードフォークを実施した結果、取引手数料と取引に要するデータの容量で大幅な減少が見られた。モネロの問題点として挙げられていた取引の匿名化に必要となったデータ容量の膨大さだったが、今回従来のRing CTからBulletbroofsにアップデートされた事により、問題が改善されている模様で、SNS上ではユーザーから高評価が続いている。
価格への影響
モネロのハードフォークの数日前モネロ価格は一時的な増加が見られ、15日正午から夕方にかけて11%の上昇があった。モネロ価格チャートのテクニカル分析も掲載している。
ステルスアドレスとは
モネロで使用されている匿名システムで、個人の取引履歴はパブリックアドレスから取引履歴が見えないワンタイム・アドレスシステムの事。個人アドレスから取引履歴を第三者に閲覧されるのを防いでいる。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

ユーザーから好評のハードフォーク、Beryllium Bullet

代表的な匿名通貨の一つであるモネロ(XMR) が、先週木曜日18日、新たなハードフォークを成功裏に完了した。

前回4月に、ASIC問題に対処するため行われたハードフォークでは、5つの通貨へ分裂し、Moneroコミュニティ内での意見の対立が浮き彫りにされる形となったが、今回は、「Beryllium Bullet」と名付けられ、Moneroの機能が大幅に改善されるシステムアップグレードであることから、コミュニティーからは大きな期待が寄せられていた。

ハードフォーク完了後、即座にその期待以上とも言える効果を実感した、ユーザーはSNSで、称賛と喜びの声をシェアしている。

つまり、ユーザーにとって直接の恩恵が測れる、取引手数料がほぼ無視していいレベルまで減少している事実を拡散している。

取引手数料が小さすぎて、科学的記数法で書かれてる!

1セント以下だから、ドル表示だと、小数点以下がもっと増える。

Moneroの公式ツイッターによると、ハードフォーク後の典型的な手数料は平均で、$0.005 ~ $0.01(約0.56円 ~ 1.12円)と発表している。

取引手数料が低すぎて、ほぼ無いに等しい。

モネロの取引がP2Pで可能なプラットフォーム、Local Moneroでは激減した取引手数料について上記のようにツイッターで喜びを共有した。

また、仮装通貨の分析を行なっているCoin Metricsは、今回のアップデートによりMoneroの取引データの容量が、フォーク前の平均18.5kbから、3kbまで減少したことと、手数料が60セントから2セントまで大幅に減少したことをチャートで示している。

モネロの平均取引高は現在3kb。(フォーク前の平均は10.5kb)

平均の取引手数料は60セントから2セントまで急落した。

このように、大きな反響と利便性の向上が見られたMoneroの今回のハードフォークだが、その背景には、匿名性通貨のスケーラビリティの拡張に寄与する、画期的な暗号技術、”Bulletproof” (防弾という意味)の導入がある。

ゼロ知識証明の問題点

Moneroの最大の特徴といえば、取引の匿名性があげられるが、それを可能にしているのは、誰が取引したかを特定できなくするグループ署名技術の「リング署名」であり、そこから発展したワンタイムリング署名で、送金時に一時的なアドレスを経由して取引する、ワンタイムアドレス(ステルスアドレス)を使用している。

そのため、取引の流れの追跡に加え、Monero所有者の取引を紐づけることが、ほぼ不可能になる

しかし、同時に、この匿名性を高めるために、取引に要する計算はより困難となっており、さらにストレージ容量も大きくなってしまい、その負担は取引手数料としてユーザーに、また、ストレージコストとしてそれぞれのノードにかかっていた。

Moneroの暗号作成エンジニアである、Sarang Noether氏も、

ブロックチェーンが膨張していることはモネロにとって、間違いなく問題だ。

と述べていたが、Bulletproofs技術の導入はトランザクションサイズを少なくとも80%削減するものだとして、Moneroが昨年来、重点的に実装の準備をしていたと報道されていた。

Moneroは、リング署名とステルスアドレスに加えて取引額を非公開にする、リング匿名トランザクション(RingCT) により、匿名性を保っているが、Bulletproofs技術は、RingCTの機能を大幅に向上させる技術として期待されている。

取引額を非公開にする際の最大の懸念は、取引自体の存在の証明することの重要性であり、これまでは、MoneroではRange Proofと呼ばれるゼロ知識証明技術が用いられてきた。

しかし、このゼロ知識証明技術をNoether氏は「大変遅く、大規模な操作」と表現しており、モネロのブロックチェーン上の取引の大部分を、このRange Proofが占めていたと言う。

その反面、今回導入されたBulletproofsは、情報を新しいデータ構造に、対数的に集約する機能を有しているため、トランザクションサイズを大幅に縮小し、速度を高めるとNoether氏は期待を示している。

さらに、今回の「Beryllium Bullet」システムアップグレードでは、Moneroコミュニティの大半が、信条として維持してきたASICマイニング耐性を強化するため、新たなPoWアルゴリズムである、Cryptonight 2も実装されている。

価格への影響

画期的なハードフォークを成功させたモネロだが、価格にも反映されてきているようだ。

ハードフォークへの期待感から、10月15日にモネロ価格は正午から夕方までにかけて一時的に急騰した。

出典:CoinMarketCap

この価格の値動きは15日の相場以上の勢いを見せたが、その後落ち着いた。

出典:Tradingview

レジスタンスラインは$108.50で見られ、また8月からのレジスタンスラインが110 ~ 112ドル台で見られている。

またサポートラインは106.50で見られている。

日足チャート(XMRUSD)

出典:Tradingview

日間チャートを見ると8月13日からの上向きのトレンドラインからさらなる上昇の余地が見られ、強気バイヤーは124ドル台で売り圧があり、15日の上昇でもトレンドラインを超えそうな勢いがあったがあと一歩及ばなかった。

今後またトレンドラインを突破できれば150ドル台までの価格回復も視野に入ってくる。

なお需要ラインは76 ~ 86ドル台で確認されている。

CoinPostの関連記事

仮想通貨モネロ(XMR)が10月18日ハードフォークを予定|トランザクションサイズ80%削減へ
代表的な匿名通貨の一つであるMonero(モネロ)は間も無く、「Beryllium Bullet」と呼ばれる新しいハードフォークを実行する。今回の特徴としては、匿名性の高い取引をより少ないで可能になるアップデートや、ASICのマイニングができなくなる変更などが含まれており、総じて取引の負担軽減や手数料低下、匿名性強化などが図られる。
仮想通貨イーサリアムのハードフォーク『コンスタンチノープル』が来年1月に延期
今年11月に予定されていた、仮想通貨イーサリアムのハードフォーク「コンスタンチノープル」が来年1月まで延期されることが決定した。全4回に渡るハードフォークが予定されており、「コンスタンチノープル」は第3段階の一部となるはずだった。
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
05/12 日曜日
11:24
来週のビットコイン相場はPPIとCPIに注目、ネガティブならチャネル下限試すシナリオも|bitbankアナリスト寄稿
GW明けのビットコイン(BTC)相場をbitbankのアナリスト長谷川氏が分析。ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|トランプ前大統領の異例発言に高い関心
今週は、米フランクリン・テンプルトンによる仮想通貨ソラナのレポート発表、ビットコインの累積トランザクション数の10億件到達、ドナルド・トランプ氏による異例の発言に関する記事が最も関心を集めた。
05/11 土曜日
15:00
ビットコイン上のステーブルコイン発行計画 Taproot Assetsのテストが進行
Lightning LabsのCEOエリザベス・スターク氏が、暗号資産(仮想通貨)ビットコインのブロックチェーンにステーブルコインを導入する新技術「Taproot Assetsプロトコル」について解説。ライトニングネットワークを使った即時、低手数料の国際取引が可能に。
14:00
「Friend.TechなどでBaseがイーサリアムL2を主導」フランクリン・テンプルトン分析
フランクリン・テンプルトンは、仮想通貨ブロックチェーン「Base」がFriend.Techなどソーシャルファイに牽引され、今後も代表的なイーサリアムL2であり続けると予想した。
12:45
日本代表団、スイスのDFINITY本部を訪れる
平将明氏および加納裕三氏を含む日本の代表団がDFINITY本部を訪問。DFINITYが推進するInternet Computerは、高速で広範なブロックチェーンベースのプラットフォームで、スマートコントラクトとデータシャーディングにより、効率的なWeb3アプリの開発を可能にする。
11:20
米SEC、コインベースの仮抗告を却下するよう申し立て
米SECは仮想通貨取引所コインベースとの裁判で新たな書類を提出。コインベースが証券性をめぐり求める仮抗告を退けるべきだと申し立てている。
10:00
著名投資家マーク・キューバン氏、SECゲンスラー委員長を批判
著名投資家マーク・キューバン氏は米大統領選挙で仮想通貨も争点の一つになると意見した。また米SECのゲンスラー委員長に批判を向けた。
09:00
米大手銀ウェルズ・ファーゴ、複数のビットコイン現物ETF銘柄を保有
ウェルズ・ファーゴを含むいくつかの金融大手はビットコインETFが1月にデビューしたのち、それらの取り扱いを開始した経緯がある。
08:00
米ARK、イーサリアム現物ETFの申請からステーキング要素取り除く
現在、5月中に仮想通貨イーサリアムの現物ETFが承認される期待はすでに大幅に後退。専門家らはその可能性を2ヶ月前の約70%から25%に引き下げた。
07:30
J・ドーシー氏「2030年のBTC価格は100万ドル超へ」
2030年のBTC価格は100万ドル超まで上昇する可能性があると強気な見方を示すなど、ジャック・ドーシー氏が仮想通貨ビットコインの魅力を語った。同氏は以前からビットコインを支持している。
07:00
ソラナJupiter、モバイルアプリのリリース時期発表
モバイル版の最新情報のほか、Jupiterは第三回のLFG投票の予定についても情報を公開。来週あたりに新たなローンチパッド候補の仮想通貨プロジェクトを公開し、5月22日から投票を開始する。
05/10 金曜日
18:29
SBIとチリーズ、スポーツファントークンで提携
SBIデジタルアセットホールディングスとChilizが戦略的パートナーシップに関する基本合意を締結。日本で合弁会社を設立し、スポーツファンにファントークンを提供する。
18:26
L2 Blastチェーン基盤の分散型取引所「DTX」とは トレーダーの優位性を解説
暗号資産(仮想通貨)デリバティブトレーダーの間で関心の急増する分散型取引所「DTX」のメリットや優位性を解説。DTXはイーサリアム(ETH)レイヤー2のBlast(ブラスト)チェーン基盤であり、DTX Fuelによるエアドロップも示唆されている。
18:10
NTTドコモ、新会社設立でWeb3・AI事業など強化へ
株式会社NTTドコモは2024年7月に新会社「NTTドコモ・グローバル」を設立する計画を発表。NTT Digitalも傘下に集約し、Web3やAIを活用したグローバル事業を強化する。
14:48
バイナンス、大口顧客DWF Labsによる市場操作報道を否定
大手仮想通貨取引所バイナンス(グローバル版)は、ウォール・ストリート・ジャーナルが報道した、同社のVIP顧客DWF Labsによる市場操作と内部調査に関する疑惑を強く否定した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア