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「サトシ」か「ビット」か? ビットコイン価格高騰で基本単位論争が再燃

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

「サトシはわかりにくい」

暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)価格が1,500万円を超える中、コミュニティではその基本単位をめぐる議論が再燃している。

そのきっかけとなったのは、ビットコインの基本単位を再定義するビットコイン改善提案(BIP)177に、ツイッター(現X)の創設者で長年のビットコイン信奉者であるジャック・ドーシー氏が、支持を表明したことだ。

出典:X

これだよ。
ビットコインを始めたばかりの人にとって、Sats(サトシ)はとてもわかりにくい。
ビットコインのビット(bits)のほうがいいし、単にビットコインと呼ぶのがベストだ。

現在、ビットコインの最小単位は、そのクリエーターであるサトシ・ナカモトの名を冠した「サトシ」(satoshi=sat)で、1BTCの1億分の1(0.00000001 BTC)と定義されている。つまり1BTCは1億サトシとなる。

しかし、ビットコイン価格が高騰し、1BTCが10万ドルを超えるようになった今日、8桁の小数点以下を扱うサトシという単位は、多くの人々が日常的にビットコインを使う上で、混乱を招き障害となりかねないとの批判が浮上している。

そこでソフトウェア開発者のジョン・カルバーロ氏によって提案されたのが、BIP177だ。カルバーロ氏は、ビットコインの基本単位(Base Unit=BU)について以下のような変更を提案している。

  • 単位の再定義:従来1ビットコイン=1億BUであったものを、1ビットコインを1BUとする。
  • サトシは廃止する
  • 取引に使われる通貨コード「BTC」は、この変更の影響を受けず、引き続き1億BUを意味する

カルバーロ氏は、サトシに代わる新しい基本単位の名称の選択肢の一つとして、ビット(bit)を提唱。 小数点以下の複雑な数字を排除し、整数のみでビットコインを表示することによって、暗算が簡単になり、混乱や間違いが軽減され、ユーザー体験が向上すると主張している。

賛成派の意見

BIP-177の支持者は、単位変更がビットコインの普及を加速し、長期的な価値向上につながると主張している。

前出のジャック・ドーシー氏は、昨年12月にYouTubeに投稿された単位変更の議論を引用し、「サトシは誤った用語であり、一般の人々がビットコインを取得して使用するのを妨げている」と主張。この動画では、ビットコインインフラ企業Spiralのステービー・リー氏がサトシはビットコインと全く関係のない他のトークンだと誤解する人々が多くいたと指摘している。

BitVMの開発者ロビン・ライナス氏は、「小さな数字を扱うのが面倒なら、表示上の小数点の位置を変更できる。金額は同じで、ただ表示の慣習が変わるだけ」というサトシ・ナカモトの発言(2010年2月)を引用。使いやすさを考慮して、ビットコインの単位の表示方法を変更することに、ナカモト自身が前向きであったと強調した。

関連:ビットコイン開発者 量子コンピュータ対策のハードフォークを提案

反対派の意見

一方で、サトシの維持を主張する反対派は、現在の単位体系が十分理解可能であり、変更による混乱やリスクに対する懸念を表明している。

Swan Bitcoinのコリー・クリップステンCEOは、「ドルに対するセントのように、ビットコインに対するサトシは理解しやすい」と主張。Byte Federalのプロダクトディレクター、ミシェル・ウィークリー氏は、「人々はドルとセントを理解しているのだから、ビットコインのサトシも理解できる」と述べた。

BIP177では、ビットコインの発行上限である2,100万BTCは変更されないものの、基本単位(BU)の総数が2.1京 (21,000,000,000,000,000)と再定義されることから、ビットコインの総供給量について誤解を招くと懸念する声もある。

ポッドキャスト「Bitcoin for Millennials」のホスト、ブラム・カンスタイン氏は、「この提案は最大供給量2,100万という理解を完全に破壊してしまう。ビットコインの1億分の1がサトシと呼ばれると説明されてきた15年以上の教育を破壊している」と批判した。

ビットコインコンサルタントのマグダレナ・グロノフスカ氏は、単位変更により「ビットコインの価格が10万ドルから大幅に下落したと誤解される可能性がある」と警告。また、基本単位の総数が2.1京という膨大な数になるため、「供給量が膨張した」と誤解されるリスクを指摘している。

また、2.1京という数字は、「ビットコインは地球上で最も希少な資産」という表現と相容れないとOsmo Wallet創設者のピエロ・コーエン氏は批判した。

さらに、ビットコインコミュニティでは、創設者に敬意を表す「サトシ」が広く受け入れられており、「サトシを積み上げる(stacking sats)」という表現も親しまれている。基本単位の変更により、既存のユーザーや文化的慣習に混乱が生じる可能性を懸念する声もある。

ハイブリッド案

BitTrees Researchのジョナサン氏(X名:Raging BTC)は、1ビットコインが100万ビット(bit)、1ビットが100サトシに相当するハイブリッドモデルを提案(1ビット=100万分の1 BTC)。このモデルは既存の通貨システムと類似性があり、受け入れられやすいと同氏は主張している。

著名ビットコイン開発者のジミー・ソン氏は2017年に、少額取引を簡素化する試みとして、上記と同様の提案(BIP216)を行った。この提案は当時注目を集めたものの、広く採用されるには至らなかった。

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