
イーサリアム(ETH)初心者が知るべき技術的特徴
イーサリアム(Ethereum)は、ビットコインに次ぐ市場規模を誇る暗号資産(仮想通貨)であり、その基盤となる技術力の高さから世界中で注目を集めています。
スマートコントラクトや分散型アプリケーション(dApps)をはじめ、DeFi(分散型金融)、NFT(非代替性トークン)、DAO(自律分散型組織)など、Web3時代の中核的技術として数々の革新を支えているのがイーサリアムです。
この記事では、初心者向けにイーサリアムの技術的な特徴や基盤技術、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)やスマートコントラクトの仕組み、DeFi市場での役割などを、図や例を交えて分かりやすく解説します。イーサリアムの可能性とその魅力を、技術の視点から理解していきましょう。
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イーサリアムとは
イーサリアムは2014年にヴィタリック・ブテリン氏が考案し、翌年に公開されたブロックチェーンプラットフォームです。スマートコントラクトと分散型アプリケーション(dApps)の基盤として、DeFi、NFT、DAOなど、様々な革新的なサービスを生み出してきました。
仮想通貨イーサリアム(ETH)
イーサリアムエコシステム内では、ETHがステーブルコインや融資契約の担保、分散型市場での流動性提供など、多岐にわたる目的で活用されるなど、イーサリアムネットワークにおける重要な資産としての役割を果たしています。
ETHはまた、ブロックチェーンの維持・運営に不可欠なバリデーターへの報酬としても使用されます。バリデーターは32 ETH~をロックアップし、ブロックチェーンの正確な運営に貢献することで、取引の確認や支払いの検証を行います。
2025年前半の厳しい調整局面

イーサリアム(ETH)日本円建て 週足チャート(bitFlyer) 出典:Trading View
- ETH価格:371,650円(25年5月)
- 時価総額:44.8兆円
- 市場ランキング:2位
- 循環供給:1億2073万ETH
仮想通貨イーサリアム(ETH)の主要データ
イーサリアムネットワークの取引やスマートコントラクトの実行には、仮想通貨ETHが必要不可欠です。ETHはガス代(取引手数料)の支払いに使用され、取引手数料の一部(ベースフィー)が市場から恒久的にバーン(焼却)される仕組みにより、インフレは年率0.4%程度にとどまっています(25年5月時点)。
バーン(焼却)とは
暗号資産を市場流通から恒久的に除去する行為のことです。これにより流通する供給量が減少し、希少性が増すことから、理論的に価格に上昇圧力がかかるとされます。
スマートコントラクトの利点
イーサリアムの特徴の一つが、「スマートコントラクト」と呼ばれる契約の自動執行機能です。これらはネットワーク上に展開され、プログラムされたロジックに従って動作します。これらは基本的に変更や削除ができないため、契約内容の不変性も保証されます。
スマートコントラクトでは、契約のルールを定義し、コードを介して自動的に操業できます。これは、自動販売機が商品を提供するプロセスを自動化するのと同様です。自動販売機によって販売員が不要になるのと同様に、スマートコントラクトは仲介者の役割を排除するため、多くの業界に革命をもたらす可能性があります。

スマートコントラクトの世界は、専門知識を持ち、必要なETHを支払うことができる人なら誰でも参加可能です。自らが作成した独自のスマートコントラクトをイーサリアムネットワークに展開し、オープンAPIのように機能させることができます。
異なるスマートコントラクト同士が相互に作用し合い、融資契約の担保に取り入れるなど、新たな使用例を生み出すことも可能。この柔軟性と構成可能性は、レゴブロックを自由に組み合わせて新しい形を創り出す遊びと似ており、想像力次第で無限の可能性を探ることができます。
ビットコインとの違い
ビットコインとイーサリアムの構造的な違いの1つは、コインの所有者を追跡するために使用される合意形成アルゴリズムです。ビットコインは「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」を採用しています。このシステムはシンプルかつ、ネットワークのコンセンサスに自由に参加可能で、合意形成における各ノードの影響力は、そのノードが提供する計算能力によって決まります。ビットコインはデジタルゴールドとしての役割(ストア・オブ・バリュー)を果たし、価値の保存・送金に特化したシンプルな設計となっています。

イーサリアムでは、計算リソースではなく、保有しているETH量に比例してノードの影響力を計算する「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」という異なるアプローチを採用しています。イーサリアムは単なる仮想通貨ではなく、プログラマブルな分散コンピューターとしての役割を持ち、スマートコントラクト(自動実行される契約)が動作することで、金融アプリ、ゲーム、NFTなど様々なアプリケーションの基盤として機能します。PoSシステムは環境に優しく、エネルギー効率が良いため、より複雑な機能を安全に実行することが可能です。
イーサリアムに投資する理由
イーサリアムへの投資を検討する際、単にその基盤となる技術を理解することだけでは足りません。イーサリアムが投資先として非常に魅力的である理由は、その豊かな開発エコシステム、スマートコントラクト基盤の中でお圧倒的な市場シェアと高い時価総額、そしてセキュリティにあります。これら3つの重要な要素を詳しく見ていくことで、イーサリアムの持つ潜在的価値と将来性をより深く理解することができます。
圧倒的な開発エコシステム

出典:Electric Capital
イーサリアムは、ブロックチェーン技術のパイオニアとしての地位を確立し、業界で中核的な開発プラットフォームの地位を築いています。充実したツールやライブラリの存在、そして膨大な数の開発者が特徴です。
Electric Capitalによる215,000以上のGithubリポジトリを基にしたデータでは、2023年12月時点でイーサリアムエコシステムには2,392人のフルタイム開発者*がおり、これは全ブロックチェーンのフルタイム開発者6,889人の約3分の1に相当します。この豊富な開発リソースは、金融から芸術まで様々な業界に革新をもたらす大きな潜在能力の源となっています。*月間10日以上コードをコミットした者
DeFi市場シェア

TVLトップシェア 2025年5月 出典:DeFillama
イーサリアムはスマートコントラクトを基盤とするプラットフォームとして市場をリードしており、2025年5月時点で、イーサリアムのDeFi市場でロックアップされた総額は620億ドルで、全体(1170億ドル)の53%(DeFillamaベース)。
PolygonやArbitrum等のイーサリアムのスケーリングソリューション(L2)を含めるとその市場シェアはさらに大きくなります。この事実は、イーサリアムの経済的重要性と影響力の大きさを物語っています。
Web3基盤として最高峰のセキュリティ
イーサリアムのセキュリティ基盤は時価40兆円を超えるその市場価値にあり、PoSネットワークにとって潜在リスク「34%攻撃」に対して、高い抑止力を持つと分析されています。
34%攻撃とは
悪意のある参加者が大量の通貨を保有し、その通貨を利用してネットワークの合意形成プロセスを乗っ取ろうとする攻撃方法です。現状の時価総額規模で34%攻撃を実行するためには、攻撃者は約980万ETH(約223億米ドル)を用意する必要があるとされています。この金額は、市場に流通しているETHの在庫や資金調達の観点から見ても、実行が困難な規模であると考えられます。
そのセキュリティと多様性から、イーサリアムには機関投資家も注目し、イーサリアムを資産として保有する上場企業が増え始めています。

公開会社6社が企業財務の一環として保有するEthereumは合計146,056 ETH(約3.79億米ドル)で、上場企業全体の保有量の0.12%を占める。出典:CoinGecko
また、イーサリアムは分散型金融(DeFi)やブロックチェーン技術の統合を目指す企業によるデジタル債券の発行など、特に高額資産の発行に相性が良いとみなされています。大手金融機関のイーサリアム上でのトークン発行事例は、欧州投資銀行(EIB)がイーサリアムを利用して1億ユーロ(約130億円)の債券を発行(21年4月)、フランスの大手銀行ソシエテ・ジェネラルが約16億円相当のデジタルグリーンボンドをイーサリアムで発行(23年12月)、ブラックロックがイーサリアムネットワーク上でトークン化ファンド「BUIDL」を発売(24年3月)などがあります。
おすすめイーサリアム取引所の比較表
取引所名 | ポイント | 取引方法 | 最低 取引単位 |
レバレッジ取引 | 積立 | ステーキング | レンディング | 備考 |
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ステーキングという運用方法

ステーキングETH総量 出典:DUNE(@hildobby)
2025年5月20日時点イーサリアムネットワークは、108万台のバリデーターが参加し、約3,450万ETH(約11.4兆円)がステーキングされています。将来的にはステーキング比率が50%に達する可能性も予測されています。
バリデーターとしてステーキングに参加するには、32ETH以上が必要ですが、一般の投資家は仮想通貨取引所を通じて少額からステーキングに参加することが可能です。
ステーキングは、保有している暗号資産で収益を得る一つの運用方法です。株式投資で得られる配当や不動産投資からの賃貸収入と同様に、ステーキングによる報酬も仮想通貨投資の一形態としてのインカムゲインとみなすことができます。
現在、銀行預金の利率は0.3%以下と低迷していますが、イーサリアムのステーキングは取引所により異なるものの、2025年5月実績で年率約3.5%前後の運用利回りが提供されています。
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イーサリアム投資のリスク
イーサリアムへの投資を検討する際には、いくつかのリスクも認識しておく必要があります。
スケーラビリティ問題
イーサリアムネットワークの利用者が増えることは、一見すると良いことのように思えますが、実際にはスケーラビリティの問題が生じることがあります。利用者が多すぎると、ネットワークの容量に負荷がかかり、結果として手数料が高騰し、取引の処理速度が遅れることがあります。
イーサリアムは、レイヤー2ソリューションやゼロ知識証明、シャーディングの導入により、これらの問題を克服しようとしています。これらの技術は、ネットワークの処理能力を向上させ、セキュリティを維持することを目的としています。
手数料の高騰
イーサリアムのガス手数料には、ベースフィーとプライオリティフィー(チップ)が含まれます。ネットワークが混雑すると、特にプライオリティフィーが高騰し、これが一般ユーザーに大きな負担となることがあります。
単に交換業者でイーサリアムを購入する場合には大きな問題にはなりませんが、ガス手数料の高騰が頻繁に起こると、ユーザーがイーサリアムから離れる原因となりうるため、潜在的なリスクとして認識しておくべきです。
次世代チェーンの台頭
イーサリアムに対抗する、スマートコントラクト機能を持つ多くのブロックチェーンが開発されています。ソラナ(SOL)、アバランチ(AVAX)などのプラットフォームは、スケーラビリティの問題を解決するための先進的な技術を採用しています。これらのブロックチェーンは、イーサリアムにとって直接的な競争相手となり得るため、投資家はこれらの動向にも注意を払う必要があります。
イーサリアムの今後、将来性は?
イーサリアムはスマートコントラクト基盤としてDeFiやNFT市場を牽引し、2025年には「ペクトラ」アップグレードやブラックロックのステーキングETF申請、グレースケールETFの資金流出鈍化など好材料で回復基調となっています。 以下の記事では、ヴァンエックやアークインベストなどの機関投資家視点やZK技術の進展を踏まえ、ETH将来価格の展望とリスク要因を解説し、スマートコントラクト市場の競合環境も検証します。
おすすめイーサリアム取引所の詳細
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コインチェックの口コミ(CoinPost独自調査)
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イーサリアムの保管方法
続いて、購入したイーサリアムを保管・管理する方法を紹介します。
まずは、交換業者にそのまま預けておくという方法があります。その場合は口座に2段階認証を設定することをお勧めします。
また、仮想通貨には交換業者に預けておく以外に、自身で管理する方法もあります。仮想通貨のウォレットサービスを提供している企業があるので、自身でサービスを選び、登録手続きをすることで仮想通貨を自身で保管・管理できます。イーサリアムには「MetaMask(メタマスク)」という人気のウォレットがあります。
ウォレットとは、仮想通貨を保管するための電子上の財布のこと。イーサリアムに対応するウォレットを選べば、自身で資産管理を行うことができ、交換業者のハッキングリスクや倒産リスクを回避することができます。
ウォレットにはハードウェアウォレットといってオフラインで仮想通貨を保有できるタイプのものなどがありますが、どのウォレットも自身で保有しておくには「秘密鍵」という長い文字列などを管理する手間がかかります。

最も安全といわれるハードウェアウォレット(イメージ)
秘密鍵などの必要な情報を紛失してしまうと資産を失ってしまうことになりますが、自身で資産を管理できるということも仮想通貨の大きなメリットの1つなので、ウォレットの種類を簡単にご紹介しておきます。
- モバイルウォレット:スマホのアプリで保管
- ウェブウォレット:サービス企業のウェブサイトで保管
- デスクトップウォレット:パソコンで保管
- ハードウェアウォレット:オフラインの専用機器で保管
- ペーパーウォレット:紙で保管
まとめ:イーサリアム技術の魅力を知り、未来に備える
イーサリアム(ETH)は単なる仮想通貨ではなく、スマートコントラクトをはじめとした革新的技術の基盤を築いた先駆者的存在です。PoS移行によるエネルギー効率の向上や、DeFi市場における圧倒的なシェア、開発者コミュニティの厚みは、イーサリアムの将来性を裏付けています。
一方で、競争激化やスケーラビリティの課題、規制リスクなど、今後の成長に向けた挑戦も残されています。これらの技術的特徴と課題を理解することは、イーサリアムをより深く知るための第一歩です。
本記事で学んだ技術の基礎知識をもとに、最新動向をキャッチアップし、次世代のデジタル資産に備えましょう。
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