ビットコイン難易度調整、前回比「±0%」で完了
ビットコインネットワークは1日、マイニングの難易度調整を終えた。調整幅は「±0%」で、前回比と同水準の難易度を引き継いだ。
前回比±0%で難易度調整を迎えたのは2010年以降10年ぶりで、難易度が1を超えたタイミング以降初めて。ビットコイン半減期後のハッシュレート推移が注目される中で、歴史的に稀な事例となった。
難易度が前回比±0%で調整されたことは、約2週間のブロック生成平均時間がちょうど「10分」で推移したことを示す。
難易度調整では、調整後のビットコインブロック生成時間が「10分」になるようにリターゲティングを行うが、その調整に合わせてマイニングハッシュレートが変動するため、結果として平均10分で推移することはこれまで確認されなかった。
半減期後のマイナー、安定化が確認
5月の半減期からは、-6.00%(5月20日)、-9.29%(6月4日)、+14.95%(6月17日)と3度に渡って、上下に乱高下した採掘難易度であったが、今回の難易度調整を受け、安定化が確認された。
現在、マイニングの主要国 中国では、電力代が安価になる豊水期を迎え、マイナーがコスト減となっている状況等を考慮しても、半減期後の報酬減の影響がハッシュレートに直撃しなかった点は、注目に値する。
一部で半減期後の事業撤退を余儀なくされた業者が報じられる中で、規模の経済を意識して事業拡大するマイナーも多くいる。こうした新たなマイニング事業の拡大で注目されるのは北米地域で、マイナーの拠点も中国の一極集中型から世界へと分布しつつある。
北米をターゲットとする企業では、米国のブロックチェーン企業コア・サイエンティフィック(Core Scientific)が6月26日、中国のマイニング大手ビットメインと大型契約を締結。自社のマイニング施設と北米地域の顧客向けに、1万7000台のS1アントマイナーを購入した。
また、日本のSBIとGMOも、「ノーザン・ビットコインAG」子会社のウィンストーンと合意し、テキサス州ロックデールにある世界最大のデータセンターでマイニングを行うことが報じられている。
マイナー情勢の変化
実際に、どれほどマイナーの分布に変化が生じているのか。
ブロックチェーン分析企業TokenInsightのデータによると、2019年9月から2020年4月までの間、世界シェア1位の中国が占める割合が75.63%から65.08%に低下し、2位の米国は4.06%から7.24%へと増加した。
データで示されるように、中国の推移は2019年から右肩下がりで、米国のほか、イランやカザフスタンといった地域の台頭が目立つ。
カザフスタン政府は、仮想通貨の規制や課税に関する法案を検討、マイニング自体には課税を行わない方針を示している。
同国では、マイニングを技術的なプロセスとみなし、仮想通貨を法定通貨と交換するタイミングでの課税を明確化しており、規制の整備が企業の事業進出を後押しする。