CoinPostで今最も読まれています

ビットコインのハッシュレート急落、把握したい3つのこと

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコインハッシュレート急落

ビットコインのハッシュレートが急落している。

Blockchain.comのデータで、一時120 EH/sと今年最低値を記録。今年最高値を更新した際の180 EH/sから比較して35%幅減少した。

マイニングプール別のハッシュレート推移でみると、中華系大手のAntpool、BTC.com、Poolinで6月18日以降ハッシュレートが20%水準減少しており、中国の取り締まりの強化の影響がデータに表れている。

本稿では、投資家が今把握したマイニングハッシュレートの急落と見方をお届けする。

1. 背景

ビットコインハッシュレート急落の背景は主に2つ。1つ目がビットコイン価格の下落、2つ目が中国政府機関(主に金融規制機関)による仮想通貨の取引やマイニングの取り締まり強化がある。

ハッシュレートの推移は、収益性に関わるビットコイン価格に連動しやすいことは常だが、現在最も不透明性を強めているのが後者だ。

5月に発表された中国のマイニングの取り締まり強化の方針以降、新疆および青海、雲南省でマイニングの規制強化政策が発表され、18日にはマイニングの重要拠点の一つ四川省政府も本格的にマイニング業務停止を実施する方針を示したことが明らかになった。

四川省のエネルギー局および開発・改革委員会は18日(金)、共同声明を発表。国有の電力供給会社が26のマイニング施設に電力(水力発電)を提供することを停止すると規定。政府機関と連携をとって表立って活動していたマイナーを含め、事業停止に追い込まれた。翌19日には中国大手メディア8BTCが、四川省のマイナーがマイニングマシンの稼働を停止している動画をアップし、世界各国で拡散されている。

ビットコインのハッシュレートも19日以降さらに大幅な下落を記録しており、中国の一連の取り締まりと、四川省の取り締まりがネットワークに影響している。

データでみる四川省の影響

四川省のマイニング稼働が停止していることは、様々なデータから読み取れる。

今回のケースでは、四川省を拠点とするValarhash社のプライベートマイニングプール1Thashは、19日以降のハッシュレートが50%以上減少。四川省で稼働停止事例があった可能性を示している。

一方、過去の事例から四川省のマイニング規模を見ることもできる。約1年間のハッシュレート推移では、チャート内①に該当する下落が四川省で電力が安い期間が終了するタイミング(豊水期の終了)にマイナーが同地域でマイニング稼働を停止したことで下落した例だ。四川省の北部に位置する地域で冬に形成された氷河が夏に溶け出すことで、豊富な水力が発電に生かされる同地域では、余剰電力が増すタイミングで電力代が安価になることで、マイニングコストを抑えるマイナーが夏に大規模な稼働を行う地域でもある。

2. ハッシュレートの下落の影響をどう見るか?

ハッシュレートの下落に伴う影響は、短期で見た場合、ビットコインのブロック生成状況に影響する可能性がある。

難易度調整は約9日後の6月末を予定しているが、それまでの期間、難易度に対する計算能力の不足(ハッシュレートの低下)で、ブロック生成が遅延する可能性がある。

一方、警戒されるのがマシンの停止や国外移転が選択肢に入る中国マイナーの売り圧力だが、CryptoQuantのマイナーの売却データでは、3月以降マイナスに触れており、大きな売却データを示すトランザクションは確認されていない。

一方で、国際的に環境問題の議論が高まる中でのマイニング環境、マイニングマシンの供給状況、中国のカントリーリスク辺りに不透明性があり、マイニング産業が一時的な市場の重しになっていると言っても過言ではない状況だ。

3. マイニングが終了するわけではない

CoinPostが取材した北米マイナーによると、ビットコインマイニングの収益率はプラスに推移しており、中国の一時的な撤退は他マイナーにとって利幅を取る機会になっているとコメントした。

グローバルで競争が行われるマイニング市場では、どこかでマイナーの撤退が起これば、市場原理に基づいて参入するマイナーも出てくる。また、減少したハッシュレートとブロックの生成状況に合わせて難易度が調整されるアルゴリズムがあるビットコインは、ブロックを10分に1回生成される正常な状態で稼働を続ける。

中国事情に詳しいLinks株式会社のSonny Wang氏は、「マイニングマシンは専用のコンテナに積まれこれから長い旅に出る予定。#ビットコイン は終わらない、次世代への進化は止まらない、中国マイニング産業は終わるけど中国勢力は終わらない、分散するだけ」とコメント。今回のケースで中国一極集中だったマイニング産業は世界に分散するが、世界どこに行っても中華料理屋があることに近い感覚で、結局は中国関係者がマイニング産業を支えていくと指摘。中国人経営者はこの分野で諦めないとした。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
05/16 木曜日
14:30
メタマスク、ボット対策の取引機能を提供開始
米Web3ソフトウェア企業Consensysは、 仮想通貨ウォレットのMetaMaskで同社が開発した新技術「スマート・トランザクション」が利用可能になったと発表した。
14:10
米デリバティブ大手CME、ビットコイン現物取引の提供を計画
現物の仮想通貨ビットコインへの直接アクセスは、規制された最大のデリバティブプラットフォームを通じて、金融商品として本格的な普及につながる見込みだ。
13:04
SBI VCトレード、ジパングコインの貸暗号資産で特別年率を提供
暗号資産(仮想通貨)取引所SBI VCトレードがジパングコイン取扱いを開始し、貸コインで年率99%の特別キャンペーンを実施中。デジタルゴールドでインカムゲインを得る機会が期間限定で提供される。
13:00
米資産運用大手Vanguard、ビットコインETFに前向きな新CEO就任へ
バンガードは、ブラックロックでIBITの立ち上げを主導したラムジ氏を新CEOに指名。ビットコインETFに対する同社の姿勢が変化する可能性が注目される。
11:10
米ミレニアム、3000億円近くのビットコインETFを保有
米ヘッジファンド大手のミレニアム・マネジメントが第1四半期の時点で、20億ドル相当の仮想通貨ビットコイン現物ETFを保有していたことが確認された。他の複数のヘッジファンドも投資していたことがわかった。
10:45
「FTXの返済が仮想通貨相場の上昇につながる可能性」K33
FTXの顧客への返済は、仮想通貨相場の強気要因になる可能性があるとK33リサーチは分析。その根拠や影響を書いたレポートを公開している。
10:10
NFTカードゲーム「Cross the Ages」350万ドル調達 アニモカら出資
Web3ゲーム「Cross the Ages」はアニモカブランズ主導で約5.4億円を資金調達した。同時にCTAトークンを様々な仮想通貨取引所へ上場させている。
08:15
株式取引アプリのロビンフッド、欧州でSolanaステーキング提供開始
仮想通貨ソラナのステーキングはロビンフッドが提供する最初のステーキング商品だ。ローンチ時に提供するステーキング年利は5%前後となる。
07:20
ソラナのSuperteam、日本で発足
仮想通貨ソラナの技術の日本での普及を推進するSuperteam Japanが発足。今後の活動内容が明らかになった。
06:30
エルサルバドル政府、過去3年間で48億円相当のビットコインを採掘
エルサルバドル政府は2021年以来、火山の地熱エネルギーを活用した300台のプロセッサを導入し環境に優しい方法で仮想通貨ビットコインの採掘を進めてきた。
06:05
ビットコイン66000ドル台まで反発、米CPI結果受け利下げ期待高まる
主要株価指数だけでなく、コインベースやマイクロストラテジーなどの仮想通貨関連株銘柄もCPI結果に反応し大きく反発した。
05/15 水曜日
18:00
仮想通貨ウォレット「メタマスク」の使い方、送金、セキュリティ対策
MetaMaskのインストール方法から送金手順、暗号資産(仮想通貨)取引所への送金や取引所からの出庫方法、セキュリティ対策までを初心者向けに詳しく解説。自己管理型ウォレットの基本知識を身に付けましょう。
14:45
「SusHi Tech Tokyo 2024」でSUDACHI TechとEchoXがWeb3プラットフォームを技術協賛
「SusHi Tech Tokyo 2024」では、SUDACHI TechとEchoXがNFT活用のWeb3プラットフォームを技術協賛。NFTデジタルスタンプラリーを展開する。CoinPostがアンバサダーを務めるグローバルスタートアッププログラムも開催される。
13:10
自由な取引ツールとしてのビットコインは実現しないのか、開発者が憂慮
仮想通貨ビットコイン開発の貢献者であるマット・コラロ氏は、現在「自由のためのツール」というビットコインのビジョンが実現できるかどうかが危ぶまれているとの考えを明らかにした。
12:30
コインチェック LSK保有者向け「KLY」エアドロップ対応方針発表
コインチェックは、LiskブロックチェーンのイーサリアムL2への移行に伴い、新谷発足するKlayrのネイティブトークンKLYのエアドロップへの対応計画を発表。スナップショットは2024年5月21日に予定される。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア