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なぜ、仮想通貨XRP(リップル)に関心が集まるのか|今後の将来性と重要プロジェクト

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

目次
  1. リップルの概要
  2. XRP(リップル)とは
  3. XRPのユースケース
  4. XRPに関連するサービス
  5. パートナーシップ協定

リップルの概要

通貨コード XRP
取引開始日 2013年9月
発行上限 1,000億XRP
送金スピード 1トランザクションあたり3~5秒
送金コスト 1トランザクションあたり0.0002ドル(約0.02円)
コンセンサスアルゴリズム 独自のXRP Ledgerコンセンサスプロトコル
公式サイト 公式サイト
ブロックチェーンURL ブロックチェーンサイト
ホワイトペーパー ホワイトペーパー

XRP(リップル)とは

アメリカのリップル社が生み出した送金システムXRPとは、アメリカのテクノロジー企業リップル社が開発を行う分散型台帳「XRP Ledger」のネイティブ通貨であり、送金システム「RippleNet」をはじめとする同社のプロダクトで利用されています。決済に特化した通貨として開発されたため、高速および低コストで利用でき、高度なスケーラビリティを有していることが特徴的です。「RippleNet」で利用されている通貨が、「XRP(リップル)」です。

  1. 企業=リップル社
  2. 送金システム=RippleNet
  3. 仮想通貨=XRP

リップル(XRP)の開発背景

RippleNetおよびXRPは、現在の金融機関で使用されている送金システム「SWIFT」の課題解決を目的として開発されました。SWIFTは、世界中で利用され、国際送金業界ではSWIFTによる寡占状態が続いていましたが、国際送金に多大なコストおよび時間を要することが、かねてより問題視されてきました。

リップルはこの課題に対して、金融機関向けにRippleNetを構築し、XRPを外貨両替の際のブリッジ通貨として機能させることで、ソリューションを提供してきました。

ブリッジ通貨とは、「日本円⇆XRP⇆米ドル」のように、ある通貨を他の通貨に両替する際に、両通貨間で橋渡し的な機能を果たす通貨を指しています。マイナー通貨同士、例えば南アフリカランド(ZAR)をアルゼンチンペソ(ARS)へ両替したい顧客がいたとします。ブリッジ通貨を介さない場合、銀行は需要がほとんどないARSを常に保有する、または基軸通貨として機能している米ドルへ交換してからARSを渡す必要があり、コストおよび処理速度の観点から、効率的ではありません。

このようなケースにおいてXRPを導入した場合、システム内で円滑に移動できるXRPのみを外貨準備金として用意すれば良いため、為替ヘッジなどのコストが削減でき、素早い送金が可能になります。

IOUの採用とリップリング

IOUとは

IOU(I Owe You)は、取引時に顧客から引き受けた預金に対して発行される借用証書のようなものです。リップルユーザー同士では、ゲートウェイから発行されるIOUで支払いをすることができます。IOUの考え方は、ゲートウェイが発行する小切手のようなものと認識することが簡単かと思います。

実際の通貨(リップルの場合はXRP)が移動しているわけではなく、その金額の移動の証明が得られることになります。 IOUの発行は、基本的にユーザーの預金額に基づいて発行されているため、IOUの発行のし過ぎによるゲートウェイの破綻が起こらないようになってはいます。

IOUのメリット

IOUのメリットの一つに、コスト削減があります。例えば、A~Dというリップルユーザーである4人の人間がいたとします。その内Aがゲートウェイにて2 XRPを預け入れます。これによりAはゲートウェイから発行された2 XRP分のIOUを入手しました。その後、AがBとCに対して何らかの取引が成立し、支払い義務が生じたのでそれぞれにIOUを支払いました。この状態では、BとCはそれぞれゲートウェイより1XRPずつ引き出す事ができます。

ここからBとCがDに対して何らかの取引の結果、IOUを支払ったとしましょう。Dは2 IOUを手に入れたので、後はゲートウェイでいつでも好きな時にXRPを引き出すことが出来ます。ここまでの流れで、先程「ゲートウェイが発行する小切手のようなもの」と説明した理由が分かったと思います。現在、銀行振り込みで多額の手数料を取られている決済を、少額のXRPを支払うだけで即時行う事が出来るのです。

上記の例よりも煩雑な取引経緯を辿った場合、現在銀行で行われている決済とIOUによる決済で掛かる時間と手数料の差は、さらに大きくなっていくことでしょう。

リップリング

リップリングは、複数のゲートウェイを所有していて同じ単位のIOUを保持している場合(例えば、コインチェックとクラーケン)に、片方のIOUが他方のIOUに自動的に置き換わることを許可する機能です。 リップリングをONにしたIOUは、同じ単位の他のIOUに自動的に交換される可能性があります。 分散して所有していた「XRP」を一括して利用したい場合などには便利な機能です。

リップル(XRP)のコンセンサスアルゴリズム

XRPがネイティブ通貨として機能しているXRP Ledgerでは、XRP Ledgerコンセンサスプロトコル(XRP Ledger Consensus Protocol)と呼ばれるリップル独自のコンセンサスアルゴリズムを採用しています。

多くのブロックチェーンでは、マイニング(演算処理能力の提供やストレージの提供の対価として仮想通貨がもらえる)を行うことで新規通貨が発行されますが、リップルでは既に最大発行数である1,000億XRPが発行されているため、マイニングは行われません。

XRP Ledgerコンセンサスプロトコルでは、全ノードの承認が必要なビットコインなどと異なり、UNL(Unique Node List)と呼ばれる、信頼に値すると判断されたノード(バリデータとも呼ばれる)のリストに列挙されているノードのみ、トランザクション承認に関与することができ、UNLのノードの80%以上が有効と判定したトランザクションが、台帳に記録されます。UNL内の各承認者はお互いを承認者として許可することでネットワークを形成しており、許可されなかった承認者はネットワークから除外されることになります。

一部の承認されたノードのみコンセンサス形成に関わる中央集権的な仕組みを有することにより、高速かつ低コストの送金が可能になります。送金時のメリットが提供されている一方、このような分散性の欠如、およびXRPの販売方法を理由に、米証券取引委員会(SEC)は、XRPを有価証券であると判断し、未登録有価証券販売でリップル社を提訴しました。

関連米SECのリップル社訴訟、詳細が判明

XRP Ledgerでは、元々UNLのバリデータの半数以上が、リップル社によって選出されていましたが、17年以降、第三者機関のノードが二つUNLに追加される度に自社ノードを減らすことにより、バリデータの分散化および多様化に取り組んでいます。現在、UNLの大多数がリップル社とは関連のない第三者機関のノードとなっています。

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リップル社によるXRPのロックアップ

リップル社は、総発行量1,000億XRPのうち半分以上である630億XRPを保有していました。これに対して、投資家の多くが、リップル社保有のXRPが一挙に市場に流入することによる価格暴落を懸念していました。

この懸念に対する対応策として、リップル社は、17年に630億XRPのうち550億XRPを、XRP Ledger上にあるエスクロー(第三者)に預託およびロックアップし、毎月10億XRPずつリリースしていくことを発表しました。これにより、XRPが一挙に市場に出回ることによる価格大暴落のリスクが軽減されました。

リリースされたXRPは、リップル社が、エコシステム繁栄のイニシアチブとして利用、または機関投資家へ売却します。売却および付与されなかったXRPは、月末にエスクローに返却されます。この仕組みもまた取引額の嵩増しと問題視されるようになり、2019年にRipple社は取引額の明確化のためXRPの売却を縮小すると発表しました。現在も販売は減少したままで、OTC(機関投資家への売却)でのみわずかに取引されている状態です。

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XRPのユースケース

Ripplenet

RippleNetとは、リップル社が開発を行う国際送金ソリューションです。RippleNet参加組織は、RippleNetで提供されているAPIを搭載することにより、ネットワーク内なら世界中どこへでもリアルタイムかつ低コストで、送金が可能になります。

リップル社CEOのクリス・ラーセンは、{いつに}以下のように延べています。

「今の国際送金の市場は、JPモルガンやシティなど6つの巨大金融機関により独占されている。長い間技術革新が起きていないため、旧来の仕組みでは、2日以上かかっていた取引が、リップルを媒介すればわずか5秒で完了し、24時間受け付け可能になる。」
また、仲介機関を介さず最もレートの優れた金融機関を瞬時につなぐことができるため、送金手数料が下がることで、取引量の少ない通貨でのコスト削減は、特に効果が大きくなります。

以前は、「xVia」および「xCurrent」という名称で、別々のプロダクトとして機能していましたが、19年後半に現在のRippleNetへ統合されました。RippleNetは現在、世界55ヶ国以上において、120以上の通貨ペアで利用されています。RippleNetを利用している企業には、英大手銀行サンタンデール(Santander)や、三菱UFJフィナンシャル・グループなどがあります。

出典:Ripple

従来、国際送金で利用されてきたSWIFTでは、メッセージ送信が一方向で行われていたのに対し、RippleNetでは、以下の図のように、双方向のメッセージ受信を可能にすることにより、決済処理速度が格段に速くなっています。また、送金に仲介者を必要としない分散型インフラとして機能しているため、その分のコストも削減されます。

また従来の方法では、金融機関同士が資金を送受する際に、送金にまつわる様々な事項をその都度決定し、当事者同士で契約を結ぶ必要がありました。RippleNetでは、この手間を省くことを目的として、ネットワーク参加組織に対して標準化された「ルールブック」を発行しています。このルールブックには、権利、義務およびビジネスルール等に関するフレームワークが記載されています。

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オンデマンド流動性(ODL;On-Demand Liquidity)

オンデマンド流動性とは、RippleNetで利用可能なサービスです。XRPをブリッジ通貨として機能させることにより、迅速かつ低コストな送金および決済を可能にしています。

出典:Asheesh Birla

従来の方法による異通貨間の送金では、送金先の通貨を事前に準備する必要があるため、為替リスクやオペレーションのコストがユーザーに転嫁され、効率的ではありませんでした。しかしブリッジ通貨であるXRPを介して取引を行うことにより、このコストが削減されます。

関連ODL送金、利用率はRippleNetの2割=リップル社CEO

Line of Credit

Line of Creditとは、リップル社が提供している融資サービスです。

Line of Creditでは、XRPを利用して国際送金を行いたいオンデマンド流動性ユーザーを対象に、リップル社がXRPをクレジットで貸し出しています。借入にはリップル社の審査を通る必要がありますが、審査に要する時間は24~48時間ほどで、一般的な銀行よりも短期間で融資を受けられる点が特徴です。

関連「Line of Credit」のメリット

XRPに関連サービス

Flare Networks

Flare Networksとは、リップル社の投資部門RippleX(下記3-2参照)が出資しているブロックチェーンネットワークです。

Flare Networksは、プロトコルのネイティブトークン「Spark」をネットワークのセキュリティ維持に使用していない点、およびイーサリアム仮想マシン(EVM; Ethereum Virtual Machine)を統合しチューリング完全である点が特徴的です。

チューリング完全とは、あらゆる計算処理が可能なことを指します。チューリング完全な言語を利用することにより、イーサリアムなどのように、スマートコントラクトの実装が可能になります。Flare Networksでは、チューリング完全でないXRP Ledgerで発行されたXRPに、スマートコントラクトの利点をもたらすことを目的としています。

Flare Networksは、20年に、XRP保有者を対象にSparkトークンのエアドロップ(無料配布)を実施することを発表しました。保有するXRPトークンの15%に相当するSparkトークンがまず付与される予定で、残りの85%のSparkトークンは最低25ヶ月、最大34ヶ月の期間にかけて、順次分配される計画です。

国内の12事業者はオプトインに基本合意しており、Sparkの上場が2022年6月12日までに承認された場合、Sparkトークンの付与が行われる予定です。また、個人でXRPを管理している場合も、請求は可能ですが、その場合期限はスナップショットの半年後の2021年6月11日となります。

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RippleX

RippleXとは、アプリに貨幣を統合するために必要な開発者ツール、サービス、およびプログラムを提供している、開発者向けプラットフォームです。以前は「Xpring」の名称で知られていましたが、20年にサービスのリブランディングと共に、名称も変更されました。

リップル社が円滑な国際送金ソリューションを提供しているのに対し、RippleXでは、リップルのソリューションを稼働している中核的技術のサポートを行い、資料やツールを開発者に提供することにより、XRPの信頼、有用性および流動性構築を目標としています。

関連Xpring、「RippleX」に名称変更

Ripple Swell

Ripple Swellとは、17年から毎年開催されている、リップル社主催の国際会議です。

Ripple Swellには、世界各国から金融および決済業界のトップが一堂に会し、ブロックチェーン実装の成功体験や、実用的なブロックチェーンのユースケースについて、議論が交わされています。

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Ripple Impact

Ripple Impactとは、ミッションドリブン組織(使命や課題解決を重視した組織)、大学、およびNGO等と共に、金融包摂および持続可能な未来を目指し、リサーチ、教育および慈善活動を通じて、経済的公平性および機会を全ての人にもたらす取り組みを行うプロジェクトです。

現在世界中には、17億人のアンバンクト(unbanked/銀行口座を持たない人々)人口が存在していると言われています。Ripple Impactでは、デジタル資産および分散型台帳技術を活用し、アンバンクト、およびアンダーバンクト(underbanked/金融サービスを十分に享受できない人々)が、基本的な金融サービスにアクセスできるよう、活動を行っています。

Paystring

PayStringとは、異なる決済ネットワーク間での相互運用性を高め、送金を簡易化することを目的として開発されているウェブベースの送金プロトコルです。以前は「PayID」と呼ばれていましたが、オーストラリアの地元企業「NPP Australia」が、商標知的財産に関する訴訟を起こしたことを受け、現在の名称に変更されました。

関連リップル社、新たに2つの商標申請『RIPPLEX・RIPPLE IMPACT』

PayStringプロトコルを利用することにより、ユーザーは任意の通貨で送金する際に、読みやすいアドレスを使用できるようになり、送金がより高速かつ簡単になると期待されています。

PayStringはオープンかつ無料の規格であるため、誰でもPayString上に実装および拡張機能を構築できます。

関連リップル社、新たに商標申請『PayString』

パートナーシップ協定

SBIホールディングス

リップル社は、北尾吉孝氏が社長を務める日本の金融サービス企業「SBIホールディングス」と提携し、日本を拠点として「SBI Ripple Asia」を設立しました。

SBI Ripple Asiaでは、金融機関向けに前述のRippleNetやODLの提供を行うなどして、SBIグループとリップルの知見と技術を融合させることにより、日本およびアジアにおける「価値のインターネット」の実現を目指しています。

SBI Ripple Asiaは、これまでに日本ータイ間および日本ーベトナム間での送金サービス開発などに取り組んできました。

注目される裁判の進展

XRP(リップル)は21年4月7日、18年3月以来、約3年ぶりの水準となる1ドルまで高騰しました。過去最高値は18年1月に記録した約400円です。

XRP/JPY週足(bitbank)

20年12月、リップル社が米SECより未登録証券問題で提訴されたことで混迷を深めていましたが、論点の一つとなっていた「ビットコインとイーサリアムを有価証券と見なさない理由」について、裁判官が証拠開示手続きを判断したことなどが前向きな進展だとして好感されました。

関連:リップル訴訟まとめ──仮想通貨XRPへの影響・弁護士の見解

XRPの上場投資商品(ETP)

SECのリップル社に対する訴訟に伴い、スイスの資産運用企業21Sharesが、提供する仮想通貨ETPのリストからXRPを除外する事例がありましたが、最近では英大手仮想通貨投資企業のCoinSharesがXRの上場投資商品をスイスの証券取引所SIXに上場させる予定が判明しました。

関連:XRPの上場投資商品(ETP)、欧州の大手証券取引所に上場へ

XRPでDeFi可能に

21年4月10日には、中国系の相互運用性プロジェクト「Wanchain」が、XRP専用の分散型クロスチェーンブリッジが近々メインネットで稼働すると発表。Wanchainやイーサリアム(ETH)上でDeFi(分散型金融)活動を行うことが可能になるとしました。

Wanchain(ワンチェーン)の創設者でCEOのJack Lu氏は、今後仮想通貨XRPを活用した流動性マイニングやイールドファーミングが可能になると発言しており、リップル社バイスプレジデントの吉川絵美氏も「XRPのエコシステム(生態系・経済圏)が、DeFiという新たなユースケースに拡大した」と期待を寄せています。

XRPを取り扱う仮想通貨取引所

国内の仮想通貨(暗号資産)取引所は、GMOコイン、bitbank、コインチェックなど、合計20社です。

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