
ドル指数とリスク資産の関係性
仮想通貨分析企業Cryptoquantが2日に発表した分析によると、米ドル指数(DXY)が2022年以来の安値を記録した。ドルに対する信頼感の低下を示すシグナルとして、ビットコイン(BTC)や金、S&P500への影響が注目されている。
S&P500は2日に再び史上最高値を更新し、6212ドルで取引されている。2025年4月のマクロ経済不安による急落から回復し、ドルから株式などのリスク資産への資金ローテーションが進んでいる状況が確認される。
金については年初から強い上昇を見せたものの、過去2カ月間は狭いレンジ内での値動きが続いている。ドル安にもかかわらず金価格が一時停止状態にあることが分析で指摘されている。

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また、ビットコインは現物ETFへの大幅な資金流入や企業購入にもかかわらず、レンジ相場から抜け出せない状況が続いている。9万8000ドルから11万1800ドルの約10%のレンジ内で推移し、前回の高値から約4%下落した水準で取引されている。
ビットコインと金の相関関係は依然として正の関係を保っている。両資産ともに過去2カ月間はレンジ相場で推移し、マクロ経済の大きな変化にもかかわらず横ばいの値動きが続いている状況となっている。

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さらに、Cryptoquantの登録アナリストDarkfost氏は、長期保有者(LTH)の含み益がビットコインが最高値付近にあるにもかかわらず減少していると分析した。一部で利益確定が進んでいるか、長期保有者が最近の高値で買い増しを行っていることで実現価格が上昇している可能性が考えられる。
MVRVレシオ(Market Value to Realized Value Ratio)は、CryptoQuantが提供する仮想通貨の評価指標で、資産の時価総額(Market Cap)をその実現時価総額(Realized Cap)で割った値を示す。この比率は、過大評価(MVRV値が高い、例: 3.7以上)または過小評価(MVRV値が低い、例: 1以下)されているかを判断するのに役立ち、市場のピークや底を予測する手がかりとして投資家に利用される。
含み益は2024年10月の調整時に見られた水準に近づいており、MVRVレシオの平均含み益は約220%となっている。しかし、過去の市場高値と比較すると、2024年3月と12月の長期保有者の平均含み益はそれぞれ約300%と350%だった。長期保有者の実現価格は現在3万9000ドルに設定されており、利益水準としては依然として高い状況にある。(実現価格が市場価格より低い場合、投資家は平均的にその資産を現在の市場価格よりも安く取得しているため、含み益を持っている状態となる。)
過去のサイクル高値で観測された利益水準(相場の天井)に戻るには、ビットコインが14万ドルに到達する必要があるとの分析が示されている。
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