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英Zodia Markets CEO、「非米ドル建ステーブルコイン市場にチャンス」 活性化する日本のステーブルコイン市場

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銀行営業時間外の取引に対応

 

機関投資家向けの暗号資産(仮想通貨)取引と仲介を提供する英Zodia Marketsのウスマン・アーマドCEOは、ステーブルコイン市場が回復に向かう中、特に米ドル以外のステーブルコインに対する関心が高まっていると、現地メディア「Financial News」のインタビューで語った。

アーマド氏は、多くの法人顧客がステーブルコインに興味を示しており、そのほとんどが複数の国・法域で取引を行なっている企業だと指摘。ステーブルコインを「銀行の営業時間外でも、瞬時に国際取引を可能にする外国為替の代用のようなもの」と形容した。

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Zodia Marketsの顧客の多くは、週末に業務を停止する銀行の営業時間が仮想通貨取引に影響を与えることに不満を感じているという。一方、ステーブルコインを使用することで、銀行の休業日にも取引は「数分以内」に可能だとアーマド氏。

アーマド氏によるとステーブルコイン市場の約94%は米ドル建だが、非米ドル建の市場にチャンスがあると考えているという。その中で、英ポンド建のステーブルコインが有力な選択肢だと同氏は付け加えた。

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現在、USDCなどの米ドルステーブルコイン以外では、Circle発行のユーロステーブルコインEUROCが使われている。

Zodia Markets

Zodia Marketsは、英大手金融グループ、スタンダード・チャータード銀行(SCB)の支援を受けており、2022年7月、仮想通貨取引所及びブローカーとして英国金融行動監視機構(FCA)に登録し、事業を開始した。

同社は2021年、SCBのテクノロジー・ベンチャー部門SCベンチャーズと、香港のBCテクノロジー・グループの提携により、ロンドンを拠点として設立された。BCテクノロジー・グループは、香港証券先物委員会(SFC)の認可を受け、機関投資家及びプロ投資家向けに、デジタル資産の仲介、保管、取引、SaaSサービスを提供する「OSL」を傘下に持つ。

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市場規模と日本の動き

仮想通貨ヘッジファンド「Brevan Howard Digital」のレポートによると、2022年にオンチェーン取引で使用されたステーブルコインの決済額は、約1624兆円(11兆ドル)を超えた。この額は、世界大手決済企業VISAの決済総額に匹敵するという。

また、取引所で保有されているステーブルコインは全体の1/3に満たないことから、多くのユーザーが投機としてではなく、実際の取引にステーブルコインを使用していると推察される。

日本では2023年6月1日に改正された資金決済法により、法定通貨を裏付けとするステーブルコインが電子決済手段として認定され、その発行が可能となった。この制度下では、銀行、資金移動業者、信託会社などが発行者として認められている。

ステーブルコインの国内発行の解禁により、国内外の企業間決済における効率化が進むことが期待されている。企業間決済市場は1000兆円前後で、企業と個人間の取引市場の約3倍以上の規模。ステーブルコインの利用でグローバルな取引の増加につながれば、多国籍企業間の決済などの手数料を得やすくなる可能性が指摘されている。

関連:6月1日施行の改正資金決済法で国内ステーブルコイン発行可能に、多国籍企業にメリットも

ステーブルコインの発行と収益性

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、海外で流通している主要なステーブルコインの発行に向けた協議を海外事業者と進めている。同グループが開発する各種デジタル資産の発行・管理基盤「Progmat」(プログマ)を活用する。

関連:「ステーブルコイン発行の世界的ハブ」へ、MUFGが海外向けの新プロジェクト進行中

三菱UFJ信託銀行デジタル企画部デジタルアセット事業室プロダクトマネージャーの齊藤 達哉氏は、7月に開催されたCoinPost協力の国際カンファレンス「WebX」で、ステーブルコインの発行者や流通業者の収益性について次のような点を指摘した。

  • 米ドル建てのステーブルコインの裏付け資産からの金利収入(FEDレートにより4~5%)
  • 円建てステーブルコインと米ドル建てステーブルコインの交換需要による手数料収益

さらに同氏は、ステーブルコインによって、巨大な法人間決済市場を自動化すれば、強力なビジネスインパクトを生む可能性があると付け加えた。

関連:国内ステーブルコイン解禁の影響は?|WebXレポート&インタビュー

一方、Binance Japan(バイナンス・ジャパン)の千野剛司代表は、日本市場における戦略の一つとして、日本円ステーブルコインに対する商機に注目しているようだ。8月末に行われた事業説明会で千野氏は、仮想通貨の需要だけでなく、貿易取引やセキュリティトークン、プログラムが可能な決済といった多角的なユースケースで、日本円ベースのステーブルコインが流通する可能性について言及した。

関連:Binance Japanが国内戦略を発表、「Web3普及とステーブルコイン事業」に注目

最新の動き

5日の日経新聞の報道によると、MUFG傘下の三菱UFJ信託銀行が中心となり開発している「プログマ」を基盤としたデジタル通貨発行の枠組みに、みずほファイナンシャル・グループ(みずほFG)が参加することが明らかになった。プログマ事業を主軸とした、独立した新会社が近く設立される。

三菱UFJ信託銀行は昨年12月、プログマを、広く業界を挙げて「ナショナルインフラ」とする取り組みを開始すると発表。プログマ事業は分社化され、三菱UFJ信託銀行、日本取引所グループ(JPX)、NTTデータの他、三井住友フィナンシャルグループ、みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、SBI PTSホールディングスの大手7社が出資する合弁会社の設立の計画が明らかにされていた。

関連:三菱UFJ信託銀行など国内大手7社、デジタル資産で新会社設立へ

プログマはデジタル証券であるセキュリティトークン(ST)の基盤として、すでに野村證券やSBI証券などにより活用されている。

三菱UFJ信託銀行は昨年11月、ステーブルコインのワーキンググループを設置。プログマ上でステーブルコインを発行する計画を進めてきた。同行はステーブルコイン発行管理基盤「Progmat Coin(プログマコイン)」の開発をリードしている。

関連:三菱UFJ信託銀行ら3社、ステーブルコインのクロスチェーン基盤構築へ

新会社ではステーブルコインの発行を通して、企業間決済の効率化とコスト削減を目指すが、この決済網にみずほFGが加わる形だ。2024年にもステーブルコインを発行し、貿易決済分野での効率化や利便性の向上が期待されている。

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