「プログマコイン」のクロスチェーンインフラ
三菱UFJ信託銀行株式会社は2日、株式会社DatachainおよびTOKI FZCOと提携して、ステーブルコインのクロスチェーンインフラを構築していくと発表した。
三菱UFJ信託銀行はステーブルコイン発行管理基盤「Progmat Coin(プログマコイン)」の開発をリードしているところだ。今回発表のクロスチェーンインフラは、「プログマコイン」を利用するステーブルコインを対象としたものとなる。
6月1日には、日本国内で法定通貨を裏付けとするステーブルコインを発行可能とする改正資金決済法が施行された。
これを受けて、仲介業者が必要なライセンスを取得次第、今後「プログマコイン」を利用して、様々なパブリック・ブロックチェーン上でステーブルコインが発行・流通可能になる見込みだ。
対象となるパブリック・ブロックチェーンとしては、イーサリアム(ETH)、コスモス(ATOM)、アバランチ(AVAX)、ポリゴン(MATIC)が挙げられている。将来的には、その他のブロックチェーンにも拡大していく構えだ。
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ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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NFTやセキュリティトークン発行も視野に
東京都を拠点とするDatachainはブロックチェーンの相互運用性に関する研究開発で実績があり、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイを拠点とするTOKIは、グローバルに提供するクロスチェーンブリッジの開発を行っている。
三菱UFJ信託銀行は、両社と提携してクロスチェーンインフラを構築し、主に次のような機能を提供していく見込みだ。2024年第2四半期の実現を目指している。
- クロスチェーンスワップ(異なるチェーン上のステーブルコイン同士の交換)
- クロスチェーン決済(NFTなどについて異なるチェーン上のステーブルコインによる決済)
- クロスチェーンレンディング(異なるブロックチェーン上のレンディングプロトコルでステーブルコインを活用した取引を実行)
TOKIは、ブロックチェーンごとに流動性プールを設置し、Datachainの提供するクロスチェーンブリッジのソリューション「LCP」と異なるブロックチェーン間のトークンを送信するための通信規格「IBC」を用いて、ブロックチェーン間を接続する。
これにより、日本の信託銀行が提供するステーブルコインを、様々なブロックチェーンに渡って、スワップ、支払い、融資などに利用できるようにする仕組みだ。
さらに、TOKIは「プログマコイン」が将来的にNFT(非代替性トークン)などの発行も目指すとして、次のように説明した。
「プログマコイン」は、ステーブルコインだけでなく、会員権やトレーサビリティなどを表わすセキュリティトークンやNFTの発行も目指している。
こうした分野は、日本において、現実世界の資産を、仮想通貨領域に統合する上での重要なマイルストーンとなるだろう。