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仮想通貨ソラナ(SOL)の将来価格予測|技術的注目点と成長の見通し

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ソラナ(SOL)とは

ソラナ(SOL)は、高速かつ低コストなスマートコントラクト基盤として代表的なブロックチェーンです。元クアルコムの開発者であるアナトリー・ヤコヴェンコらによって考案され、2020年3月にメインネットが起動。並列処理による高スループットと低コストを特徴とし、最もアクティブな取引市場のひとつを形成しています。

初期支援を受けたFTX.comの創設者サム・バンクマン・フリードの破綻による影響を受けたものの、2023年には940%の大幅成長を遂げ、時価総額で4位以内に返り咲きました。さらに、米国で現物ETFが申請されるなど、先行するイーサリアムを脅かす最有力プロジェクトとして注目を集めています。

この記事では、ソラナの特徴や価格動向に焦点を当て、今後の価格予測や成長の見通し、投資のリスクについても解説していきます。

💡この記事でわかること
  1. ソラナ(SOL)の価格、時価総額の比較
  2. ソラナ(SOL)の将来価格シミュレーション:VanEck
  3. ソラナ・ブロックチェーンの課題
  4. ソラナ(SOL)のファンダメンタルズ
  5. ソラナ(SOL)の今後の注目点
  6. ソラナ(SOL)の投資リスク

ソラナの価格、時価総額の比較

2024年10月時点で、ソラナの価格は150ドルから160ドルの間で推移しており、時価総額は約730億ドル。2021年11月に記録した過去最高値259.96ドルと比べると、約27%の乖離があります。

ソラナの時価総額は仮想通貨市場で5位に位置し、スマートコントラクト分野ではイーサリアム(ETH)、バイナンスコイン(BNB)に次いで3位です(コインマーケットキャップ調べ)。以下の表では、ソラナの時価総額とTVL(Total Value Locked:預入総価値)を他の上位プロジェクトと比較しています。TVLはユーザーの利用状況や資金流入の指標となる重要な基準です。

プロジェクト 時価総額 セクター内順位 ソラナに対する倍率 TVL
ソラナ(SOL) 730億ドル 3位 1倍 687億ドル
イーサリアム(ETH) 3150億ドル 1位 5倍 483億ドル
バイナンスコイン(BNB) 880億ドル 2位 1.2倍 472億ドル

米投資会社グレースケールは、スイ(SUI)に関する分析で、TVLが一部競合より高いにもかかわらず時価総額が低い点から「過小評価」と評価しました。この理論をソラナに当てはめると、BNBと比較した際に過小評価されている可能性があります。ただし、時価総額やTVLだけでなく、エコシステムの発展状況やステーキングのメリットなど、他の要素も考慮することが重要です。

ソラナ(SOL)への投資に

ソラナの将来価格シミュレーション:VanEck

米資産管理大手VanEck社は2023年10月に、ソラナの2030年までの価格を『ベースケース(標準)、ベアケース(弱気)、ブルケース(強気)』の3つのシナリオで評価したレポートを発表しました。現段階では、参考になる理論として注目に値するため、ここで紹介します。

3つのシナリオ

VanEckのシミュレーションは、ソラナが将来どれほど収益を生むかに基づいています。金融、ゲーム、メタバースなどの分野でのソラナの普及率を想定し、ブロックチェーンが取引処理で得るキャッシュフロー(手数料収益)を見積もっています。ソラナ・チェーンの利用が増えれば増えるほど、収益力が高まり、その結果、トークンの価値にも反映されるという理論です。

出展:VanEck『VanEck’s Base, Bear, Bull Case: Solana Valuation by 2030』

本記事で示されたソラナの情報や価格目標は、金融アドバイスや売買推奨ではない。実際のパフォーマンスは異なる可能性があり、リスクや未考慮の要因が影響を与えることがある。リサーチに基づくシミュレーションであり、各自で調査し、独自の判断を行うことが推奨される。

『ベースケース』シナリオでは、ソラナが2030年までにブロックチェーン市場の約30%を占めた場合、SOL価格は335ドルになると試算されています。

『ブルケース(強気)』シナリオでは、ソラナが2030年までにイーサリアム並みのシェア(約70%)を獲得した場合、SOL価格は3,211ドルに達するとされています。

『ベアケース(弱気)』シナリオでは、ソラナが2030年までに5%のシェアしか得られなかった場合を想定し、SOL価格が9.81ドルに留まるとされています。

出典:VanEck

ソラナの技術的優位性と普及の可能性

仮想通貨やブロックチェーン技術が広く普及するためには、「キラーアプリケーション」の登場が鍵となります。VanEckは、ソラナが1億人以上のユーザーを獲得するキラーアプリをホストする最初のブロックチェーンになると予測しています。これは、現在のソラナのアクティブアドレス数が約500万件/日にとどまる中で、驚異的な成長を見込んでいることを意味します。

VanEckによると、ソラナのデータスループット(処理能力)は他の既存ブロックチェーンを上回り、アプリケーションにおける取引処理をより高速かつ使いやすく、アクセスしやすいものにすることが可能です。さらに、今後予定されている大型アップグレード「Firedancer」により、データ容量は現在の10倍以上に拡大すると見込まれています。

他の機関によるSOL価格予想

他の金融機関からもソラナ(SOL)に対して強気の予測が出されています。例えば、2024年10月に発表された英金融大手スタンダードチャータード銀行の予測では、トランプ氏が再選を果たした場合、ソラナの価格が2025年末までに5倍に上昇する可能性が示されています。この予測の背景には、米国での現物ETF承認の可能性や、ソラナの技術的進化、特に「ファイアダンサー」の稼働による取引処理能力の向上が挙げられています。

さらに、仮想通貨に対する規制の動向も、ソラナの価格に大きな影響を与える要因として注目されています。VanEckのデジタル資産部門トップ、マシュー・シーゲル氏は、ソラナ現物ETFの承認が、米証券取引委員会(SEC)の委員長交代に左右される可能性があると指摘しており、政治情勢も無視できない要素であることが強調されています。

ソラナ(SOL)への投資に

ソラナの課題

また、VanEck社はソラナの課題として、収益性の欠如と技術的な安定性を指摘しています。運営コストが手数料収入を大幅に上回っている点や、2022年1月から2023年2月までに発生したダウンタイムが信頼性の課題となっています。

2024年4月にはミームコイン取引の急増がネットワークに大きな負担をかけ、取引の75%が失敗するという混雑問題が発生しました。

さらに、イーサリアム互換チェーンと比べた際の競争力の不足も成長に影響を与えていると述べています。そのような改善すべき課題も存在する一方で、ソラナのコミュニティは強力であり、FTXの崩壊後も回復力を示していることは、エコシステムにとって重要な強みとされています。

VanEckは以上を総括して、「投資家のポートフォリオで、ソラナが意味のある割合を占めることは正当である」と述べています。

ソラナ(SOL)のファンダメンタルズ

TVL(預入総価値)

TVL(Total Value Locked)は、ブロックチェーン上に預入された資産の総価値を示し、そのエコシステムの活発さと安定性を評価する重要な指標です。2024年10月現在、ソラナのDeFiプロトコルにロックされているTVLは、約680億ドルです。

出典:DeFiLiama

アクティブウォレット

The Blockのデータによると、ソラナのアクティブウォレット数は過去1ヶ月で約300%増加しています。この飛躍的な需要の増加は、ネットワークへの信頼が回復し、ユーザー数が増加している証と見られています。

出典:The Block

ミームコイン/DePIN

ソラナは、その圧倒的なスピードと低コスト・高速な取引処理能力により、DeFi(分散型金融)、NFT(非代替性トークン)の用途で、多くのユーザーと開発者に支持されています。

中でも、ミームコイン取引やDePIN(分散型物理インフラネットワーク)分野で特に注目を集めています。BONK、WIFなどのミームコインが2024年の市場をけん引し、ソラナのDEX取引量は大幅に増加。ソラナの効率性を求めて分散型GPUクラウドレンダリング「Render」や分散型IoTネットワーク「Helium」などのDePINプロジェクトが他のチェーンから移行しています。

企業連携/機関投資家の採用

ソラナは大手企業との提携も進展しており、2024年5月にはPayPalがソラナ上でステーブルコインPY USDを導入し、決済分野での成長を加速させています。また、ステーブルコイン(USDC)の発行元であるCircleは、ソラナがステーブルコイン転送の主要なプラットフォームであることを強調しています。機関投資家の関心は高く、CoinSharesによると15%の投資家がSOLへのエクスポージャーを増やしています。

ソラナ(SOL)の今後の注目点

Firedancer:Solana FoundationとJump Crypto が開発するクライアントソフトウェア「Firedancer」は、ソラナのトランザクション処理能力とネットワーク全体の回復力を大幅に向上させるように設計されています。iredancerにより、ソラナは現在の処理能力を超えて、1秒あたり数百万件のトランザクションを処理できるようになる見込み。

このアップグレードは2025年のアップデートが予定されており、ソラナのスループットを最初に20,000TPSに拡張し、最終的に100万TPSを目指す予定です。

米国の現物ETF申請:2024年6月、投資会社21SharesとVanEckがソラナ現物ETFの上場を申請しましたが、SOLを扱う先物市場がないため、承認されるかどうかは不透明です。ブルームバーグのアナリストによると、最終決定は2025年3月頃になる可能性があります。

リステーキング(Restaking)市場:ソラナ上でのリステーキング市場が発展しています。特にJitoとSolayerが有力視され、独自のSOL代替資産「JitoSOL」をリリース、その発行総額は20億ドルに上ります。)今後さらに多くのプロトコルが、これらの代替資産に対応し、ソラナの運用手段が拡大すると期待されます。

ステーキング総額は40億ドル、その内リキッドステーキングのシェアは7% 出展:DUNE

規制当局との連携:ソラナはオンチェーンガバナンスの強化に取り組んでおり、分散化を進め、SEC(米国証券取引委員会)の規制上の監視を軽減することが期待されています。また、ステーブルコインTRUST法案への支持を得るため、共和党へのロビー活動も行われています。

ステーブルコインTRUST法:過度な規制からステーブルコインのイノベーションを保護しつつ、顧客資金の安全を確保し、連邦準備制度理事会(FRB)が過度に介入することを防ぐことを目的とした法案。

Superteam Japan:2023年5月にスタートした日本コミュニティ「Superteam Japan」は、ソラナのエコシステムの成長を日本市場で推進することを目的としています。技術の進展や市場の動向に加え、国内での普及、ユーザー獲得もソラナのエコシステム拡大に影響を与える可能性があります。

ソラナ(SOL)の投資リスク

最後にソラナ(SOL)に投資する際のリスクについて見ていきます。

規制当局SECやCFTCの監視

2023年6月、SEC(米国証券取引委員会)はソラナ(SOL)を証券として扱うと発表しましたが、ソラナ財団はこれに反論しています。2024年7月にはSECが一部の暗号資産を証券から除外する意向を示しましたが、依然として最終的な決定はされていません。

また、今月14日にはSECが「仮想通貨証券」の表現を削除し、誤解を避ける措置を取ると発表しました。SECのスタンスに変化はあったものの、ソラナに対する規制不確実性は残っています。11月の選挙で民主党が議会を制する場合、規制圧力が強まる可能性があります。

加えて、CFTC(米国商品先物取引委員会)がJump Cryptoの取引と投資活動を調査しており、過去のハッキング事件やFTX崩壊への関与が背景にあります。特に、Fire Dancerプロジェクトでの貢献が大きいJump Cryptoの活動縮小は、プロジェクト進行に遅れを生じさせる可能性があります。

「ソラナキラー」と呼ばれるアプトスやスイなどの台頭

ソラナの競争相手として注目されているのが、いわゆる「ソラナキラー」と呼ばれるAptos(APT)やSui(SUI)の存在です。これらのプロジェクトはFacebookのLibraプロジェクトで培われた技術や人脈を基に開発されており、Moveプログラミング言語などの新しい技術を活用して、高い処理能力とスケーラビリティを実現しています。

特にAptosとSuiは、並行処理技術を使うことで、ソラナと同等またはそれ以上のトランザクション速度を提供できる点で注目されています。

また、ソラナネットワーク最大のDeFiプロトコルの1つであるSolendが、Suiに移行し「Suilend」として展開されたこともあり、これらの競争がソラナにとって大きな課題となっています。この動きは、Suiの技術的特徴が、特定のユースケースにおいてSolendのニーズに合致したためです。

Move言語によるセキュリティの強化や、並列処理による高速かつ柔軟なスケーリング機能が、特にDeFiアプリケーションにおいて有用と判断されました​。Solendはこれにより、新たなコミュニティと技術を取り入れ、より広範なエコシステムでの成長を図っています。

この競争の激化は、ソラナが技術革新やエコシステムのさらなる強化を求められる契機となり、今後の成長にとって重要な要素となるでしょう。

記事の監修者

各務 貴仁各務 貴仁
株式会社CoinPost 代表取締役CEO、株式会社SUDACHI Tech 代表取締役、一般社団法人WebX実行委員会 理事。
2017年に日本最大(2024年現在)の暗号資産・Web3メディアCoinPost、2023年よりグローバルカンファレンスWebXを立ち上げる。また、次世代テックを活用した福祉事業Wave3やWeb3に特化した開発支援事業SUDACHI Techも展開する。
2024年には、経済産業省「Web3.0・ブロックチェーンを活用したデジタル公共財等構築実証事業」にて有識者委員として選任される。

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