仮想通貨やブロックチェーンは、メインストリームの金融との距離が近づいていく中でどのような変化を遂げていくのでしょうか。今後は分散型と中央集権型のハイブリットなモデルが、金融において普及していくと私は考えています。
また仮想通貨はさらに市場を拡大していくのか。本コラムではその点についてもお話ししていきます。
分散された金融システムは必ずしも必要ではない
分散された金融システムは必ずしも必要なのでしょうか。私はそうは考えてなく、結局は、お客様目線でよりよいサービスを、早さと安さをもって提供できることが重要だと思っています。
さて、ビットコインの誕生にさかのぼるとその年は2009年で、前年にはリーマン・ブラザーズが経営破綻、先行きの見えない経済に人々の不安感が募った時期でした。
これまで信用をおいていた銀行が破綻。そのような状況の中で、自分のお金や資産は自分で守ろうという意識が醸成されはじめました。つまりは、「個人にパワーを」というところが非中央集権といった考えのスタートであり、その根本概念は、金融システムだけでなく全てに応用できるものでしょう。
ただ、そのような思想が根幹にある一方で、トークンを使った証券化などメインストリームの金融における様々な分野での活用がされていくほど、法令の影響を受けるようにもなります。
そうなると浮かび上がる疑問が、分散化されたままでいいのか、あるいはしっかりと発行体や取引所などによって管理されるべきなのかという部分です。その点について私は、分散台帳の良いところと、セントライズされたサービスの良いところを融合させた、ハイブリッドな形態が最適な選択なのではないかと考えています。
分散型の利点は、個人が自身の資産を管理できる点です。しかし鍵の管理などが全部自身の責任となります。一方、その管理を安心できるところに預けれるのが今まで金融システムであって、今後はそれらが融合していく上での境目が検討されていくでしょう。
そういった意味で、ハイブリット型のモデルが特に金融の分野で進んでいくと思っています。その部分が進んでいくことで、よりおもしろく、良いサービスというのが生まれていくことでしょう。
5年後仮想通貨はどうなってる
私が起業をしたのは5年前で、そのときはビットコインやライトコインなどいくつかの通貨がありましたが、イーサリアムはありませんでした。
そしてイーサリアムが誕生してしばらく経ってからDAOがでてきて、その後にERC20が発行されるように。様々なトークンが生まれました。
ビットコインはスマートコントラクトの部分が弱く、それを補おうとイーサリアムが誕生しました。しかしイーサリアムはコンセンサスアルゴリズムに弱点があるので、イーサリアム2.0やEOSなどが出てきています。
このようにコンセンサスアルゴリズムやスマートコントラクトは進化していて、新しいトークンもこれからどんどん出てくるでしょう。
また5年前はビットコインしかなかったのが、今はユーティリティトークンやセキュリティトークン、ステーブルコイン、デリバティブ、ETFなど広がりを見せています。ここで重要な点は、それがたったの5年間での話であることです。
金の歴史は7千年ありますが、ビットコインは今年で10年目。そう考えると、5年後はメインストリームに入って進化を遂げていく可能性は十分にあります。
そうなるとGDPだったり経済力のある国を中心に伸びざるをえないため、米国や日本、あるいは中国が国としてどう対応していくかといったところで、そこでの仮想通貨市場の発展が左右されるでしょう。一方、新興市場でもともと自国の法定通貨が弱い所では、フェイスブックのリブラなどステーブルコインを含めて広がりをみせていくと思っています。
それなのでリブラは法令の部分をクリアできれば、決済や送金でとてもおもしろくなっていく可能性はあります。また5年後に関しては、米国を中心に経済大国で広がっていく可能性もあるでしょう。
仮想通貨の黄金期はこれから
考えてみると、世界中のインターネットや金融のリテラシーがある人はビットコインという名前は聞いたことがあるはずです。
おそらく2014年のマウントゴックスの事件があるまではほとんどの人が聞いたことがありませんでしたが、いまや多くの人が知っていて、5年間でここまで認知が広がったのはすごいことだと思います。
それを踏まえると、これからの5年、10年、20年というのは、仮想通貨の黄金期となってくるでしょう。ただ、それらを潰さないようにイノベーションを起こしていかないと、再びアンダーグラウンドや法令のゆるい国に集まってしまい、仮想通貨は危ないという認識になってしまう恐れがあります。そこのバランスを考えていきたいところです。
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