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米FRB副議長、銀行が仮想通貨業界とつながるリスクを指摘

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨のリスクに言及

米連邦準備制度理事会(FRB)のマイケル・バー監督担当副議長は12日、金融イノベーションのリスクについて講演を行い、暗号資産(仮想通貨)のリスクについても言及した。

まず、銀行が仮想通貨分野に参入することは「新たなリスク」をもたらす可能性があると述べている。バー氏は、5月以降の仮想通貨市場の債務不履行連鎖を示唆しつつ「仮想通貨企業の集中化と相互接続が進み、それがストレスの増幅に寄与していた」と話した。

仮想通貨市場の悪影響は、今回銀行に直接影響を与えなかったが、「潜在的なリスクを浮き彫りにした」としている。バー氏は次のように指摘した。

銀行の預金が仮想通貨市場に集中している場合、その預金は仮想通貨市場と相関し、密接につながりながら変動する可能性がある。

さらに、仮想通貨企業の預金保険に関する不正確な説明が顧客の混乱を招くことも考えられる。その場合、仮想通貨関連企業などに預金サービスを提供している銀行では、市場に何かストレスを起こすイベントが起こった際、引き出しが増加する可能性がある。

FRBは、こうしたリスクについて、監督下にある銀行などの金融機関に注意を促しているところだと続けた。「銀行が仮想通貨事業者にサービスを提供することを抑制する意図はなく」、リスクが適切に管理されることを確実にするための取り組みだとしている。

「預金保険に関する不正確な説明」という発言には背景がある。米連邦預金保険公社(FDIC)が複数の仮想通貨取引所に対して、仮想通貨関連の商品に、FDICの保険が適用されるかのような説明をしていたとして中止通告書を出しているところだ。

関連米FDIC、仮想通貨取引所FTX.USら5社に預金保険の言及に関する中止通告書を発出

また、今後数か月から数年以内に、他の種類の仮想通貨関連活動についても、銀行セクターにガイダンスを提供していく必要があるかもしれないと付け加えた。

米国では11日に、大手信託銀行のBNYメロンが、機関投資家向けの仮想通貨のカストディサービスを正式開始するなど、銀行業界のデジタル資産参入の動きが見られている。バー氏の発言は、こうした状況も念頭に置いたものと考えられる。

関連米BNYメロン、仮想通貨保管サービスを開始

バー氏は、銀行が分散型台帳ネットワーク上でドル建てのトークンを発行することについても意見した。銀行は、そうした新たな試みを行う前に、様々なトークン化モデルについてリスクを特定・評価し、それらのリスクが克服可能であるかどうか判断することが重要だとしている。

また、そうしたトークンを使った違法行為を追跡できない可能性もあり、未解決の問題がある以上は、銀行は限定的な方法でしか行ってはならないと続けた。銀行が新たな実験を行う際には、早い段階から規制当局に連絡を取ることを期待するとも表明している。

ステーブルコインについて

バー氏は、ステーブルコインについても言及した。特定資産の裏付けがない仮想通貨は価格が不安定なため取引の決済手段として定着する可能性は低い一方で、ステーブルコインは民間セクターが発行する貨幣として機能する可能性が高いと指摘している。

このためステーブルコインは今後、金融の安定にリスクをもたらす可能性もあり、そうなる前に規制の枠組みを正しく構築することが重要だと論じた。「議会はステーブルコインのプルデンシャル規制のために、強力な枠組みを提供する措置を取るべきで、規制当局も既存の権限を活用していく必要がある」としている。

FRBは6月にも、旧TerraUSD(UST)ディペッグ騒動に言及しつつ、ステーブルコインのリスクを指摘していたところだ。

関連米FRB、ステーブルコインを金融安定性へのリスクとして言及

プルデンシャル規制とは

金融システムの健全性・安定性を維持するための政策の総称。

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