CoinPostで今最も読まれています

投資家のリスク回避強まり仮想通貨の資金抜け加速、アラメダ関連銘柄中心に大幅続落

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

マクロ経済と金融市場

前週末11日の米NY株式市場では、ダウは前日比32ドル(0.1%)高で取引を終えた。

同日発表されたミシガン大学消費者態度指数(速報値)もFRBの利上げ減速期待に一定の根拠を得たが、前日までの大幅高の反動で利益確定売りに押されたか。

仮想通貨市況

暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比4.9%安の16,035ドル。

BTC/USD週足

ここ1週間ほどで市場の不確実性が極端に高まったことで、投資家のリスク回避姿勢が強まり資金抜けが止まらない状況にある。

時価総額2位のイーサリアム(ETH)は前日比6.4%安、同7位のXRPが9.6%安となった。渦中のアラメダ・リサーチ関連銘柄はより下げが厳しく、ソラナ(SOL)が前日比13.7%で時価総額16位まで後退。FTTは前日比30%安と大幅続落した。

アラメダの主な投資先には、流動性ステーキングのLido Finance(LDO)、ソラナ基盤DEX(分散型取引所Serum(SRM)、初期投資したL1ブロックチェーンのソラナ(SOL)などがある。

ソラナチェーンのエコシステムは、dApps(分散型アプリケーション)やNFT(非代替性トークン)市場などが高度に発展しており支持者も多い。この窮地を乗り切れるかどうかが注目される。

一方、中央集権型の海外大手取引所を中心に信頼を失った結果、一部資金のDeFi(分散型金融)流入でDEX(分散型取引所)のDYDXやGMXの出来高が急増。投機的な値動きが主導し、関連銘柄のDYDXなどが上昇する場面もあった。

7日には、アバランチ財団がGMXに対し、アバランチネットワークの流動性向上を目的とした400万ドル相当のAVAXトークンを付与するインセンティブプログラム(助成金)を発表していた。

FTXが破産申請

前週末には、FTXが米国で米連邦破産法11条(チャプターイレブン)に基づいた破産申請を出した。チャプターイレブンは日本の「民事再生法」に近く、企業再建を行うことを目的としたもの。

14年2月に巨額のビットコインが不正流出した国内取引所Mt.Goxの事例では東京地裁に「民事再生法」を申請した。債権者視点では、企業の破産手続きよりも民事再生手続きに移行した方が、より多くの資産の返済可能性が見込まれる。

関連:破産法適用申請の目的は? FTXのチャプター11申請の重要性を考察

FTX破綻の背景には、FTXと同じ創業者サム・バンクマン・フリード氏の関連投資会社アラメダ・リサーチの債務超過懸念が強まり、アラメダの大量保有する独自トークンFTTの資産価値が暴落。

さらに、FTXから預かり資産(資金)流出が加速して資金繰りが行き詰まったことにある。

業界最大手のバイナンスが、リークされたアラメダの財務状況から「リスク回避のため保有するFTTを売却する方針」を打ち出したのは、今月7日のこと。

その後、バイナンスは急転直下の流動性危機に陥ったFTXの救済について検討。法的拘束力のない買収の基本合意書を締結したものの、デューデリジェンス(財務・経営調査)の結果、想定を超える負債額や顧客資産流用の可能性が発覚。米規制当局の捜査リスクなども鑑みて、買収を断念した。

いずれにせよ、アラメダおよびFTXの財務状況はすでに限界近くを迎えており、「手元現金が枯渇して資金繰りのショートが顕在化するのは時間の問題だった」との指摘も強い。

関連:FTXと姉妹企業アラメダ、FTT頼りの資金繰りを解明

混乱に乗じてハッキング被害か

一連の騒動に追い討ちをかけるようにして発覚したのが、FTXオフィシャルのウォレットのハッキング被害だ。

ブロックチェーン分析企業Nansenのデータジャーナリストによれば、24時間で約920億円(6.6億ドル)相当の暗号資産(仮想通貨)資金が、FTXの管理するホットウォレットから不正流出した疑いがある。

ハッキングおよび秘密鍵漏洩については、内部関係者の疑いが浮上するなど情報が錯綜している。

この点についてFTX USの法律顧問であるRyne Miller氏は、本家FTXと米国法人FTX.USにおいて、残存するすべての顧客資金をセキュリティレベルの高い「コールドウォレット」に避難させたことを報告した。

また、米TheBlockが報じたオンチェーンデータによると、FTXの独自トークン(FTT)のデプロイヤーコントラクトは13日、何者かが1億9200万FTTを発行し、新たなウォレットに送信したことを捕捉した。

FTXが破綻後に内部システムがハッキングされたことに起因する可能性がある。これを受け、最大手取引所のバイナンスはFTTの入金を臨時停止した。

FTX Japanへの影響

一方、子会社で日本法人であるFTX Japanは、出金停止措置をとっている顧客の預かり資産について、資産保全および分別管理されていることを発表。日本円の出金等については、「システムの復旧状況等に応じて随時案内する」と表明した。

金融庁(関東財務局)は10日、FTX Japanに業務停止命令を発出。11月10日~12月9日の期間、交換業業務や利用者からの資産受け入れを停止するよう命じた。監督官庁として、国内の利用者保護と資産保全を兼ねて早期に動いたものとみられる。

関連:FTX JP、仮想通貨や法定通貨残高など「顧客資産」の管理状況を報告

なお、FTX本社のある王立バハマ警察は証券委員会と協力して「組織的な犯罪について」捜査を進める。 米コインテレグラフが報じたところによれば、FTXのサム・バンクマン・フリード元CEOや共同創設者ら3名は、バハマ当局に拘束された可能性がある。

今回の騒動は、アラメダリサーチやFTXグループのほか、出資していたファンドや提携先企業、出資を受けていたプロジェクトにも広範な影響を及ぼしており、事態収束まで長い期間を要することが予想される。

まずは可能な限りの真相解明と、各国の規制面や企業のシステム面など、抜本的な対策が業界再建の焦点となりそうだ。

関連:仮想通貨市場に激震、アラメダショックとFTX騒動の動向まとめ

過去に掲載したマーケットレポート一覧はこちら

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
05/18 土曜日
21:00
Clearpool Prime、アバランチでデビュー RWA対応のプライベート・クレジット市場
Clearpool Primeがアバランチでローンチし、RWA分野に新たな進展。機関投資家向けに安全かつ効率的な取引環境を提供するプライベート・クレジット市場。
17:20
バイナンス上場銘柄の80%が価値低下、ミームコインは異例の上昇 過去6か月の分析
31トークン分析が示す課題 暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(グローバル版)で、過去6か月に新規上場したトークンの80%以上が、その後に価値を落としていることがわかった。ミ…
13:00
米国のビットコイン現物ETFへの5月の流入額、4月の流出上回る
ブルームバーグのETFアナリストは、5月に入ってからの米国ビットコイン現物ETFへの流入は、4月の流出を埋め合わせたと指摘した。
11:10
米下院、SECの仮想通貨規制役割明確化の「FIT21法案」を採決へ
米国下院は、仮想通貨に対する規制を明確化し、CFTCに追加権限を与える「21世紀のための金融イノベーション・テクノロジー法」の採決を行う。
10:15
米コインベース、「来週イーサリアム現物ETF承認確率は30~40%」
米仮想通貨取引所コインベースはイーサリアムの今後を予測するレポートを発表した。ETH現物ETFが承認される時期などについて分析している。
08:50
仮想通貨取引所クラーケン、欧州でUSDT非対応を検討
テザーCEOは最近、MiCA規制を批判し、仮想通貨USDTで規制を受けるつもりはないと述べた。この姿勢が、欧州で事業を行っているクラーケンが、それらの通貨ペアの提供を停止する理由と見られる。
08:00
「仮想通貨上昇の鍵はマクロ経済」コインベース分析
仮想通貨相場上昇の鍵は今もマクロ経済であるとコインベースは分析。他にも、イーサリアム現物ETFの審査など規制動向も注視すべきだとした。
07:10
ソラナ価格、月末までに200ドル復帰か ヘッジファンド創設者が予測
仮想通貨ソラナの今後の価格について、ヘッジファンドSyncracy Capitalの創設者は強気な予測を示した。その根拠とは?
06:10
zkSyncエアドロップ期待再燃、分散化加速のアップグレードを実施予定
zkSyncは未だ独自の仮想通貨をリリースしていないが、主要zkロールアップであるライバルのStarkNetは2月にエアドロップを実施した。
05/17 金曜日
17:34
東京ビッグサイトで第5回ブロックチェーンEXPO【春】開催へ 無料申し込み募集開始
東京ビッグサイトで、日本最大級のブロックチェーン専門展である第5回ブロックチェーンEXPO【春】が開催されます。最新の研究からアプリケーションまで、ブロックチェーン技術のすべてが一堂に出展するイベントは必見です。
13:00
ワールドコイン、秘匿化技術で生体認証データの保護・オープンソース化を発表
暗号資産(仮想通貨)でベーシックインカム実現を目指す、ワールドコイン・ファンデーションが生体認証データ保護にSMPC技術を導入。そのシステムをオープンソース化した。セキュリティとプライバシーを強化するとともに、システムの普及拡大を目指す。
12:32
短期トレンド変化のビットコイン続伸なるか、ミームコインが牽引する場面も
CPI発表で急反発を見せた暗号資産(仮想通貨)相場ではビットコイン(BTC)が下降チャネルをブレイクアウトした。16日には賛否両論渦巻くミームコインが相場を牽引する場面も。
12:00
世界最大の証券清算機関DTCC、チェーンリンク活用した「Smart NAV」を実験
世界最大の証券清算・保管機関DTCCは、チェーンリンクを活用した「Smart NAV」の実証実験を行った。JPモルガンなど金融大手10社が参加している。
11:10
Slash Fintech、暗号資産決済でVプリカ販売サービス開始 NFT特典も実施中
Slash FintechがVプリカ販売サービスを開始。暗号資産(仮想通貨)決済でVプリカ購入可能。特典としてSlash Genesis NFTをプレゼント。利用方法から使い方まで解説。
10:00
ブラックロックのビットコインETF、アナリストが高評価
ブラックロックの仮想通貨ビットコインETFの購入者数は記録的な数字であると、ブルームバーグのシニアアナリストが高評価。レポートが提出され、ビットコインETFのパフォーマンスを分析した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア