はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

破産法適用申請の目的は? FTXのチャプター11申請の重要性を考察

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

チャプターイレブンの仕組み

暗号資産(仮想通貨)取引所FTXが11日に発表した米連邦破産法11条(チャプターイレブン)にもとづいた破産申請。チャプターイレブンは、日本の民事再生法に似た再建型の倒産法制度。経営を継続しながら負債の削減などを実施し、企業再建を行うことを目的とする。

22年には仮想通貨取引・融資プラットフォームVoyager Digitalや、同Celsius Networkもこのチャプターイレブンの適用申請を行ってきた。どちらも、FTX同様に22年の仮想通貨相場急落の影響を受け、財務状況が暗転したCeFi系企業だ。

この記事では、リストラと倒産を​​専門とする弁護士wassielawyerの解説を参考に、チャプターイレブンの仕組み、そしてFTXの債権者への影響について紐解いていく。

関連:FTX、破産法適用を申請 対象はFTX Japan含む130社超

チェリーピック

wassielawyer弁護士によれば、企業がチャプターイレブンの手続きに入る利点の一つは、事業者スポンサーや投資ファンドが、FTXの資産と負債の中から「有望な部門だけを選別して買収を試みるいわゆる「チェリーピック行動」が可能になること。

FTXグループ(アラメダリサーチ/FTXなど)の破産申請書類によると、負債は100億ドル(約1.3兆円)から500億ドル(約6.9兆円)に上り、流動性の低い資産を含む資産も100億ドルから500億ドルある。また、FTXグループが出資してきたプロジェクト数(ポートフォリオ)は250超え。

出典:The Block

その中から、対象事業の保有する以下のような事業や資産を、一括して引き取る施策を講じ易くなることにある。

  1. 顧客/営業権
  2. 技術
  3. 残りの暗号資産
  4. ライセンス
  5. 回収可能な貸付金

wassielawyerはデューデリジェンスの末に買収契約から手を引いたバイナンスを例に、巨大な穴を抱えるFTX Internationalやその姉妹会社アラメダを切り離し、仮想通貨投資家の資産保護が求められるローカル事業のみを救済することも可能になると語る。

もし他企業が実際にFTXの顧客を救済することを考えるなら、連邦破産法第11条の手続きからそれを行う方がはるかに理にかなっている。なぜなら、燃え盛る家屋の中に不要なものを残していけるからだ。

BloombergやFinancial Timesが匿名関係者に基づいて報じた内容によると、150億ドルの資産を保有するアラメダを支援するため、FTXから少なくとも40億ドルの資金を移管し、流動性危機のきっかけを招いたと見られている。

関連:「大失敗した」FTXのサムCEOが謝罪

FTX USの顧客資産

FTXの破産申請対象企業は全部で130社強あり、取引所のFTX JapanやFTX US、姉妹企業のアラメダリサーチなどが含まれる。

この中でとりわけ注目を集める会社は、FTXの元CEOサム・バンクマン=フリード自身が「FTX Intlernationalやアラメダの財務危機から全く影響を受けない」と指摘した、FTXとは構造上隔離された事業体FTX USだ。

wassielawyerはサム氏の発言が本心であれば、FTX USが最も魅力的な事業部門や資産として買収交渉の切り札として使用される「クラウンジュエル」になると推測。

チャプターイレブン適用申請により、FTXの現行事業は凍結され、噂される不公平な資金の流出(バハマの投資家、拘束されたTRXの1:1外部交換など)をストップしつつ、正当な債務回収方法をじっくりと模索することができる。

バイナンスにとっても、FTX USの負債を買い取り顧客資産の返済に務めることが以前よりはるかに実現可能になったわけだ。

実際のところ、破綻前にFTX自体もこうした取引を行ってきた。FTXとアラメダは、Voyager Digitalの資産を約2,000億円(14億2,200万ドル)で買収し、顧客アカウントを移管し、拘束された顧客預金1ドルに対して0.72ドルを返済する計画を進めていた。

wassielawyerはまた、「Voyagerと同様の取引をバイナンスが行うことが理想」と指摘。資金がすぐに戻ってくるわけではないが、「Voyagerのような取引が成立すれば、そう遠くない将来に顧客が出金できる世界がくる」と加えた。

一方、最悪のシナリオは顧客資金のあるFTX IntlernationalとFTX USが清算されること。債権者の手元にほとんど何も残されない。

FTXの新たなCEOには、米エネルギー企業エンロンの破産を監督した経験を持つジョン・J・レイIII氏が就任。これから134社の選別が行われていく。企業構造に不透明な部分が多いが、マーケットメイカー事業を運営してきたアラメダのローンや担保が清算され、投入資産の回収などもより現実的になったとwassielawyerは語っている。

関連:FTXのボイジャー資産買収、連邦破産裁判所から承認

破産申請後の見通し

wassielawyerはその後、FTXの債権者からの問い合わせに回答しており、資金回収に向けた今後の見通しや、訴訟手段などの関心について見解を示している。

まず、FTXグループは11月11日に破産申請を出しており、同日付けで資産記録が固定される可能性が高いこと。つまり、その後FTXプラットフォーム上のトレーディングで資産を増やしたとしても、将来的に返還される資産に影響しない可能性が高いという。

また、FTX.comで保有している資産がビットコイン(BTC)であれイーサリアム(ETH)であれ、米ドルUSD)で帰ってくる可能性が高い。

債権者としてできることは、あまりないようだ。8桁(10億円以上)~9桁の資産を預けていない限り、弁護士を立てて独自に資産を取り立てるメリットは無いとしている。また、連邦破産法第11条の適用を受けた以上、FTXへのいかなる訴訟が保留される。

一方でwassielawyerは、FTXの元CEOサム氏に対するクラスアクション(集団訴訟など)などは、別途起こる可能性が高いと見ている。

実際に、8月に破産申請をしたVoyger Digitalの幹部は、11月になって集団訴訟に直面。原告はVoygerが提供した貯蓄口座と独自トークン(VGX )が未登録証券を提供したとして、購入者への損害補償を要求している。

米法律事務所BakerHostetlerのTeresa Goody Guillén弁護士もまた、FTXのサム元CEOがこれまで自身に対して不利な発言を自ら多くツイートしていたため、今後刑事告訴もありうるとCoinpost提携メディアTheBlockにコメントした。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
09/18 木曜日
13:40
ウォーレン米議員ら、トランプ政権の仮想通貨特命官に対する倫理調査を開始
エリザベス・ウォーレン米上院議員ら8名の民主党議員が、トランプ政権のAI・仮想通貨特別顧問デービッド・サックス氏の特別政府職員としての任期制限超過疑惑について倫理調査を開始した。130日の上限を超過している可能性を指摘し、詳細な勤務日数報告を要求している。
13:35
米SECが承認、BTCやXRP投資のマルチ仮想通貨投資信託のETF転換
米SECがグレースケールのマルチ仮想通貨ETPを承認し、ビットコインやイーサリアムなど5銘柄への一般投資家アクセス投資が可能になった。新たな包括的上場基準も同時に導入されている。
13:02
ポリマーケットでの裁定取引で年間60億円の利益発生か 研究者ら分析
分散型予測市場ポリマーケットでミスプライシングを利用した裁定取引により年間60億円の利益が発生しているとの論文が発表された。研究者による分析を解説する。
12:04
FRB利下げ決定も仮想通貨の市場反応は限定的、BNB前週比9.2%高で1000ドルの大台迫る
FOMCでは米FRBが0.25%利下げを決定したが、暗号資産(仮想通貨)への影響は限定的だった。主要アルトコインでは、BNBが前週比9.2%高の1,000ドル目前に。背景としては、バイナンスの規制環境の進展の兆しとMegadropなどの需要が挙げられる。パウエル議長は年内2回の追加利下げを予想するも慎重姿勢を維持。
11:03
業界の行方を決める「天王山」に臨む──ビットバンク廣末氏が描く未来戦略
ビットバンク廣末紀之CEOが語る、預かり資産1兆円規模への成長と今後の展望。金商法への移行と分離課税実現に向けた2025年後半は業界の「天王山」。
11:00
ビットコイン・トレジャリー企業の勢い減速か、4社に1社が純資産割れで取引=K33報告
K33リサーチなどが報告したところによると、ビットコイン・トレジャリー企業の4分の1が純資産価値を下回る時価総額で取引されており、業界の統合が進む可能性が指摘された。
10:02
ヴィタリック、イーサリアムの開発計画をプレゼン
ヴィタリック・ブテリン氏は、仮想通貨イーサリアムの開発計画についてプレゼンを行った。大阪で開催されているイーサリアムのカンファレンスEDCONに登壇した。
09:40
フォワード・インダストリーズ、最大5900億円規模の資金調達でソラナ戦略を推進
米上場企業フォワード・インダストリーズが最大40億ドル規模のATM増資で仮想通貨ソラナトレジャリー戦略を推進する。DeFi Development Corpもソラナ買い増しを発表した。
08:45
トランプ・ジュニア出資のサムザップ、750万ドージコインを初購入
米ナスダック上場のサムザップメディアが750万ドージコインを200万ドルで公開市場から初回取得したと発表した。
07:20
米SEC、仮想通貨ETF上場手続きを大幅簡素化へ
米証券取引委員会が、ナスダック、Cboe BZX、NYSEアルカの3大取引所による包括的上場基準を承認。今後、仮想通貨を含むコモディティベース株式の上場プロセスが大幅に簡素化される見通しである。
07:10
SBI新生銀行、トークン化預金「DCJPY」の導入を検討へ
SBI新生銀行は、円建てトークン化預金DCJPYの導入を検討すると発表。JPモルガンらが参加するプラットフォームを活用し、トークン化預金での多様な外貨の取り扱いも検討する。
06:50
仮想通貨取引所Bullish、NY州からビットライセンス取得 米国展開へ
機関投資家向け仮想通貨取引所ブリッシュが17日にニューヨーク州金融サービス局からビットライセンスと送金業ライセンスを取得したと発表した。
06:25
マネーグラム、ステーブルコイン送金サービス開始 
国際送金大手のマネーグラムが9月17日にクロスミントと提携しステーブルコインを活用した新たな送金サービスを南米コロンビアで開始すると発表した。
06:02
カルシ、予測市場エコシステムハブ開始 ソラナとベースと提携
予測市場プラットフォーム大手Kalshiが17日、ソラナとベースとの提携によるエコシステム支援ネットワーク「カルシエコ」の開始を発表した。
05:45
米CME、ソラナとXRPの先物オプション取引を10月に提供予定
世界最大のデリバティブ取引所CMEグループが10月13日にソラナとXRPの先物オプション取引を開始すると発表した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧