Voyagerの資産売却へ
大手暗号資産(仮想通貨)取引所FTX.USと、破綻した米レンディングプラットフォームVoyager Digital(ボイジャー・デジタル)の資産買収契約について、連邦破産裁判所から承認が降りたことが明らかになった。
21日に公表された再建計画のアップデートによると、ニューヨーク南部地区破産裁判所は、Voyagerの資産を約2,000億円(14億2,200万ドル)でFTX USに売却する計画を承認した。
背景として、Voyagerは22年6月に顧客資金の出金を停止し、7月に連邦破産法第11条の適用を申請。その後、単独再建計画と並行して、株式と資産の売却の選択肢を探っていた。9月にFTX USがVoyagerの資産売却オークションを落札したが、テキサス州証券局が異議を唱えた。
当局はニューヨーク南部地区破産裁判所に提出した書類の中で、FTX USのグループ会社でバハマに本拠地を置くFTXトレーディングが米国の居住者に未登録証券を提供している可能性があると主張。
「FTX USやその関連会社が法律を遵守しているかどうか判断するまで、債務者(ボイジャー)の資産を購入することを許可すべきではない」と述べていた。
これに対し、FTXの広報担当者は州当局と調整しているとして「当社は、現在保留状態にあるライセンスの下で、暫定的に行うことができるものの範囲内でサービスを提供している」と述べていた。
FTXのサム・バンクマン=フリードCEOは20日、「考えられるデジタル資産業界標準」と題して仮想通貨の自主規制草案を公開。米国政府の規制体制が整うまでの間、準拠すべきポイントを業界に呼びかけている。
FTXへの資産売却プロセス
なお、FTX.USへの売却契約が実現するには、11月29日までの投票で債権者(Voyagerの顧客)から賛成票を得る必要がある。VoyagerチームはFTXへの売却により、顧客に返却する資金を最大化できると強調している。
FTX USへの売却を含む本計画は、ボイジャーの債権者への回収を最大化すると考えているため、全ての顧客と債権者に本計画に賛成するよう要請する。
投票が可決されると、早ければ12月初旬から中旬頃に破産裁判所が資産売買契約を承認し、資産売却が完了する。Voyagerの顧客とその資産がFTX USプラットフォームに移行し、顧客資産の返却プロセスへとシフトする。
米連邦破産法11条(チャプターイレブン)とは
日本の民事再生法に似た再建型の倒産法制度。経営を継続しながら負債の削減などを実施し、企業再建を行う。申請後に債権取り立てが停止され、債務者は負債の整理に取り組み、原則120日以内に再建プランを策定する。
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