CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨取引所Binanceなど3社「違法運営のおそれあり」NY司法長官が異例の名指し批判

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

アンダーウッドNY司法長官が報告書でKrakenらを名指しで批判
グローバル仮想通貨取引所の「整合性」に関する最近の報告書の中で、アンダーウッドNY司法長官がBinanceやKrakenら複数の取引所を名指しで批判した。背景には、ビットライセンスに端を発する従来からのKrakenと州当局との対立に加え、今回の調査協力を拒んだこと、およびKrakenがOTCサービスの本格開始に踏み切ったことへの警戒があると見られる。
ビットライセンスとは
米国ニューヨーク州で2015年8月に施行された、仮想通貨事業に関する法律および免許制度の総称。「仮想通貨の送金」「他の代理として仮想通貨の保存/保有/保管/維持管理を行うこと」「業として仮想通貨の売買を為すこと」「業として仮想通貨の両替を行うこと」「仮想通貨の発行/運営/管理」の5業態のいずれかを行う事業者に付与される。申請負担が大きいことなど課題が指摘され、ライセンス取得済の取引所は少数に留まる。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

米ニューヨーク州のバーバラ・アンダーウッド司法長官が、グローバル仮想通貨取引所の「整合性」に関する最近の報告書の中で、Krakenほか複数の取引所が法に触れる可能性があるとかなり激しい調子で警告していたことが分かりました。

報告書の内容

報告書は次のように述べます。

「仮想通貨取引所の利用者は、プラットフォーム(Binance、Gate.io、Huobi、およびKraken)が今回の調査への参加と回答を拒否したこと、そしてそれにより特定のトレーダーに提供している取引(CoinPost編集部注―本記事の後半で触れます)を部分的にしか開示していない可能性があることに注意すべきだ。それら特定のトレーダーは他の利用者をいわば食い物にすることで優先的扱いを受けている可能性がある。結果、一般利用者の取引にもマイナスの影響を及ぼしかねない状況だ」

アンダーウッド司法長官はさらに、Binance、Gate.io、およびKrakenについて、「ニューヨークで違法な形で運営を行っている懸念がある」とニューヨーク州金融サービス局に報告しました。

上記4社はNY州での取引所業務は行なっていないと主張しているものの、Huobiを除いて、NY州での違法な運営を行なっている疑いがかけられていることになります。

CoinMarketCapのデータによると、Krakenは米国でも有数の取引所で、1日の取引高は1,330万ドル(約14.9億円)、またBinanceは世界最大の取引所として1日10億ドル(約1,123.7億円)の取引を記録、Huobiは1日6,700万ドル(約75.3億円)の出来高を有しています。

今回の報告書「Virtual Markets Integrity Initiative report」(仮想通貨市場の整合性に関するイニシアチブ・レポート)では、前述のBinanceGate.ioHuobiKrakenのほか、BitfinexbitFlyerBitstampBittrexCoinbaseGeminiitBitPoloniexといった仮想通貨取引所に言及しています。

報告書は「主たる事業運営の場所」「取引ポリシー」「利益背反時の対応」「セキュリティ」「顧客資産へのアクセス方法」を骨子とした5章立ての構成で、アンダーウッド司法長官は各章の末尾でBinance、Gate.io、Huobi、Krakenを「今回の資料や調査結果からは、取引所として(の整合性を)認めることが出来ない」と警告しています。

Krakenが調査に協力しなかった理由

Krakenの場合、今回の報告書に対し情報提供を拒んだ理由は明確です。

2015年8月にKrakenは正式にニューヨークから事業を撤退しました。

Krakenは同8月8日に申請期限を迎えたビットライセンスへの加盟(CoinPost編集部注―本記事冒頭の解説囲み参照)を、費用負担が大きい割に銀行からの支援や無登録業者への罰則が不十分であることなどを理由に見送りました。

当時Krakenは、

「まったく残酷で腹の立つライセンスだ。汚らわしい怪物に立ち向かうのは当社だけではない」

述べ、物議を醸しました。

そしてこの2018年4月、Krakenの創設者ジェシー・パウエルはアンダーウッド司法長官からの協力要請に公然と拒否し、ツイッターで、

「要求された情報を『手元に用意しろ』と簡単に言うが、たった2週間で、要求の枠組みに合致するように書類を山と積み上げることなど出来るものか」

述べました

このパウエルCEOの発言が司法長官に火を付けたのかどうかは定かではありませんが、報告書は次のように結論づけています。

「仮想通貨取引所の利用者は、自らのニーズと経験により、取引所を選ぶのが大原則だ。あくまで一般論ではあるが、当レポートの質問に十分に答えていない取引所は利用を避けるのが賢明だろう」

KrakenがOTC大口取引サービスを開始

そのKrakenが9月17日に公式ブログで、

「Krakenはこの度、OTC取引プラットフォームの提供を開始することをお知らせします。これにより当社の世界中のお客様は、大口取引の選択肢が増えることになります。当社は大口取引を必要とされる機関投資家と十分な取引資産をお持ちの個人投資家の皆様に対し、流動性資産およびプライベート資産の取引サービスを拡充して参ります」

と、OTCサービスの開始を発表しました。

本記事の前半でアンダーウッド司法長官と報告書がKrakenに対し、「特定のトレーダーに提供している取引(を部分的にしか開示していない可能性がある)」と指摘した際に念頭にあったのが、このOTCサービスであったことは十分に考えられます。

Krakenはまた、この新たなプラットフォームにはOTCデスクを併設予定であるとも述べています。

これにより利用者は1億ユーロ(約131.2億円)、10万ドル(約1,123.3万円)、2,000BTC(約14.3億円)といった様々な単位での大口取引が可能になります。

OTC取引とは

OTC(Over-the-Counter)取引とは、従来の証券取引では「店頭取引」「相対取引」などと呼ばれてきたもので、金融機関の店頭カウンター(Counter)越しに(Over)取引を行うことに由来します。

売り手と買い手の二者取引を、ブローカー(仲買人)とその分散型ネットワークが仲介します。仮想通貨取引でもしばしば同様の形態が取られます。

運営コスト削減の中で

Krakenは9月初旬に多数の従業員を解雇しました。

従業員によるセキュリティ違反があったとするReddit等の噂をパウエルCEOは否定、解雇の真の目的は同社の運営コスト削減であると反論しています。

参考記事1: New York Attorney General Warns That Kraken Cryptocurrency Exchange Could Be Breaking The Law

参考記事2: Cryptocurrency exchange Kraken to initiate its Over-The-Counter block trade service

CoinPostの関連記事

大量の資金が行き交う「OTC取引」が、ビットコイン価格に及ぼす影響を解説
一般に知られるビットコインの取引高には、実は含まれていない要素がある。それが店頭取引(OTC)。本記事ではOTCとは何かを解説すると共に、特に富裕層にとっての魅力とリスクについて、いくつかのシナリオを交えてご説明する。
クラーケンCEO「仮想通貨市場の時価総額は2018年中に1兆ドルになる」
クラーケンのCEOは、仮想通貨市場の時価総額が2018年中に1兆ドルに到達すると予想しました。Powell氏は、自己責任での投資を投資家に呼びかける一方で、クラーケンの新規上場通貨は綿密に精査された安全な通貨であると明言しています。
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
05/17 金曜日
10:00
ブラックロックのビットコインETF、アナリストが高評価
ブラックロックの仮想通貨ビットコインETFの購入者数は記録的な数字であると、ブルームバーグのシニアアナリストが高評価。レポートが提出され、ビットコインETFのパフォーマンスを分析した。
09:30
SECの仮想通貨保管ガイドライン覆す決議案、米両院で可決
米連邦議会上院は、下院に続き、SECが発行した仮想通貨の保管に関する会計公報を覆す決議案を可決した。議員やSECがコメントを発表している。
08:35
TON基盤の「Notcoin」、800億トークンをエアドロップ
仮想通貨NOTトークンはエアドロップの実施に際しBybitやOKX、バイナンスに新規上場した。現在0.0075ドルで取引されている。
08:00
「BTCの短期の上値余地は限定的」JPモルガン
仮想通貨ビットコインの短期の上値余地は限定的であるとJPモルガンは予想。他にもビットコインの生産コストやマイナーの状況を分析した。
07:10
モルガン・スタンレー、420億円相当のビットコインETFを保有
米金融大手のモルガン・スタンレーが第1四半期の時点(3月末まで)で、420億円相当の仮想通貨ビットコインの現物ETFを保有していたことが13F書類で確認された。
06:20
ソラナ基盤のリステーキングSolayer、わずか45分で目標の31億円入金上限額を達成
Solayerの「epoch 0」は招待のみのアクセスで、仮想通貨ソラナネイティブステーキング、mSOL、JitoSOL、bSOL、INFのステーキングを対象としたもの。TVLが最も高いのは、mSOLで、833万ドルに達した。
05:45
コインベース、3つのソラナ銘柄の永久先物提供
米仮想通貨取引所大手コインベースは16日、3つのソラナ基盤の銘柄のパーペチュアル先物取引を新たに提供した。JupiterやJitoが対象となった。
05/16 木曜日
15:14
アークとフィデリティが牽引するビットコインETFの資金流入
米国のビットコイン現物ETFに巨額の資金流入が2日間続いている。直近ではブラックロックのiシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)への資金流入が一服した一方、ARKBとFBTCが注目され、累積純流入額は121億ドルに達した。暗号資産(仮想通貨)投資信託に対する直近の流入動向を分析。
14:30
メタマスク、ボット対策の取引機能を提供開始
米Web3ソフトウェア企業Consensysは、 仮想通貨ウォレットのMetaMaskで同社が開発した新技術「スマート・トランザクション」が利用可能になったと発表した。
14:10
米デリバティブ大手CME、ビットコイン現物取引の提供を計画
現物の仮想通貨ビットコインへの直接アクセスは、規制された最大のデリバティブプラットフォームを通じて、金融商品として本格的な普及につながる見込みだ。
13:04
SBI VCトレード、ジパングコインの貸暗号資産で特別年率を提供
暗号資産(仮想通貨)取引所SBI VCトレードがジパングコイン取扱いを開始し、貸コインで年率99%の特別キャンペーンを実施中。デジタルゴールドでインカムゲインを得る機会が期間限定で提供される。
13:00
米資産運用大手Vanguard、ビットコインETFに前向きな新CEO就任へ
バンガードは、ブラックロックでIBITの立ち上げを主導したラムジ氏を新CEOに指名。ビットコインETFに対する同社の姿勢が変化する可能性が注目される。
11:10
米ミレニアム、3000億円近くのビットコインETFを保有
米ヘッジファンド大手のミレニアム・マネジメントが第1四半期の時点で、20億ドル相当の仮想通貨ビットコイン現物ETFを保有していたことが確認された。他の複数のヘッジファンドも投資していたことがわかった。
10:45
「FTXの返済が仮想通貨相場の上昇につながる可能性」K33
FTXの顧客への返済は、仮想通貨相場の強気要因になる可能性があるとK33リサーチは分析。その根拠や影響を書いたレポートを公開している。
10:10
NFTカードゲーム「Cross the Ages」350万ドル調達 アニモカら出資
Web3ゲーム「Cross the Ages」はアニモカブランズ主導で約5.4億円を資金調達した。同時にCTAトークンを様々な仮想通貨取引所へ上場させている。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア